メイソンコンサルティングでは、このようなリスク診断を幅広くサポート。規制やガイドラインを網羅的に調査した上で、サプライヤーの成熟度を評価し、サイバーリスクを診断している。グローバルなサプライチェーンにも対応し、現地に出向いた実地監査も必要に応じて実施しており、その実績も多数である。さらにリスク対応策も、応急措置を行うべき“止血的”なものと、抜本的な対応策の両方を顧客と共に策定し、セキュリティー強化までを支援している(図2)。
「サプライチェーンセキュリティーの強化では、技術面だけではなく組織・業務プロセスの評価も行う必要があるため、IT部門だけで対応するのは限界があります。購買部門や経営企画部門など、部門横断型でのチーム対応が求められるのです。また社内・社外のステークホルダーが多いため、トップマネジメントの関与が大きな成功要因となります。そのため、経営陣にサプライチェーンセキュリティーの重要性と、セキュリティー投資の必要性を認識してもらうことが不可欠になります」と藤田氏は話す。
ただし、経営層に投資の必要性を認識してもらうには適切なアプローチが必要となる。それは「危機感の醸成」と「投資対効果」だという。
「危機感の醸成」とは、自社がリスクに晒されていることを正しく認識できる情報のこと。例えば、ダークウェブへの情報流出事例や、ホワイトハッカーの攻撃による脆弱性の把握、同業他社のインシデント事例などが挙げられる。これらはいわば、セキュリティー対策の重要性を理解するための定性情報だ。
一方「投資対効果」は、どれだけの投資を行うべきかを判断するための定量情報だ。具体的にはROIのセキュリティー版である「ROSI(Return On Security Investment)」を算出して経営層に提示することになる。
ROSIの計算式は、リスク削減額(想定損害額×発生確率)÷情報セキュリティー対策投資額で表される。ある大手出版社では、想定被害額を3億3500万、ランサムウエアの発生確率を38%(日経の記事などから他社事例を確認して算出)、セキュリティー投資額を3500万として計算。その結果、レピュテーション被害を除いてもROSIは364%となり、セキュリティー投資が高いリターンを生むことを経営層に報告したという。
ただし、想定被害額を算出することは難しい。そうした場合はIPAのWebサイトに、情報セキュリティ10大脅威にかかわる事象が発生した場合の計算シート「NANBOK」が提供されているため、これを活用すると良いだろう。
「これら2つの情報を準備するためには、いずれも技術面・経営面の両面で、専門的な知見が欠かせません。経営層に対しては、技術的な情報をベースに『経営の言語』でコミュニケーションを行う必要があります。メイソンコンサルティングはこうした場合もサポートしています」と藤田氏。同社では今後もサプライチェーンセキュリティーの強化に向け、伴走支援していく考えだ。