メインフレームが抱える
深刻な課題の解消を支援
メインフレームを始めとするレガシーシステムは、主に金融機関や製造業の基幹システムとして長年利用されてきた。しかし、老朽化・複雑化によるブラックボックス化や維持費・運用費の増大、他のシステムとの連携など、多くの面で問題を抱えているのも事実だ。さらに近年では、富士通が2030年の販売終了、2035年の保守終了を発表。これにより現在メインフレームを利用している企業は、早急にシステムを移行する必要性に迫られている。
こうした状況の打開に向け、多くのITベンダーがメインフレームの移行に向けたソリューションを強化している。シーイーシーもその1社だ。同社は、1968年に設立された独立系のSIer企業。「Re@nove」というサービスでマイグレーション事業を展開している。マイグレーションの進め方としては、まず無料診断という形でスモールスタートを提案。移行したい資産の本数などを記載したヒアリングシートを基に概算の規模を算出する。その後、資産棚卸し、調査分析、PoCなどを実施し、段階的にマイグレーションを進めていくアプローチを採る。
Re@noveの特長
株式会社シーイーシー
営業グループ
営業本部
エンタープライズ営業部
高橋 奈央氏
Re@noveの特長は大きく3つある(図1)。まず1つ目が、変換だけではなく、変換前のプランニングから開発、テスト、運用、保守に至るまで「すべての移行プロセスをワンストップで対応していること」。2つ目が「高品質、高効率、低リスクでマイグレーションを行えること」。「当社独自の変換ツールとこれまで培ってきたノウハウを生かし、人為的なミスや手戻りを抑制したマイグレーションを実現しています」と高橋氏は話す。
最後に3つ目が「マルチベンダー/マルチプラットフォームへの移行に対応できること」である。「独立系のSIerである強みを生かし、特定の言語や製品にとらわれることなく、お客様のニーズを的確にとらえ、最適な環境へのマイグレーションを支援しています」(高橋氏)。
シーイーシーが推奨する
「リホストマイグレーション」とは
一口にマイグレーションと言っても、メインフレームで構築されたシステムをオープン化する場合、主に3つの方式がある。1つ目がリホストだ。これは、現行のCOBOLなどで開発された既存アプリケーションとデータをそのままの状態で、ハードウエアプラットフォームをオープン環境に移行する方式。2つ目のリライトは、COBOLなどの資産を変換ツールでJavaに変換し、オープンプラットフォームで稼働させる方式。そして3つ目のリビルドは、業務仕様を見直して、COBOLで動いているシステムをJavaで再構築する方式だ。
シーイーシーではこの中でも、リホスト方式を推奨しているという。「その理由は、現行のシステム資産を有効活用できるため、変換やテストに伴うコストを抑えられるからです。それに対し、リライト方式は中程度のコスト・期間、リビルド方式は高コスト・長期間の開発となります」と同社の角氏は説明する。
それでは具体的にどのような形でメインフレームをマイグレーションしていくのか。ここからは同社がカバーする富士通とIBMのメインフレームに対するソリューションの中身を見ていきたい。
まず、富士通製メインフレームでは、日本ティーマックスソフトの「OpenFrame」を活用した移行方式を提供。具体的には、富士通製メインフレーム(AIM/DC)で動いているシステムを、オープンフレーム上で同等の機能を搭載して移行する。特に注目したいのは、COBOLやアセンブラ、JCLといった言語やデータベースについて、独自ツールを活用することにより、自動で移行可能な点だ。「メインフレーム上のシステムやプログラムを変更することなく、新環境で利用することができます」と角氏は話す。なお、帳票やジョブ管理、ジョブ監視など製品がカバーしていない部分については、シーイーシーによる個別開発で現行システムと同様の運用を実現しているという。
一方、IBM製メインフレームの移行では、AMC ソフトウェアジャパン(旧マイクロフォーカス)の「Enterprise Server」と日本ティーマックスソフトの「OpenFrame」を活用した2つの移行方式を提供している。こちらも、富士通製メインフレームの移行時と同様にCICSやIMSDCのオンライントランザクション処理や画面定義、COBOLプログラム、JCLなどを変更せずに移行可能だ。
金融系グループ企業が実践した
マイグレーションの成果とは
こうした特長が着目され、多くの企業がシーイーシーのリホストマイグレーションを採用している。ある金融グループ企業はその1社だ。
同社では、IBMメインフレームを徐々に廃止していく全体構想に向け、シーイーシーをパートナー企業に選定した。プロジェクトは2018年3月に計画フェーズを開始し、約3年間の開発期間を経て2021年3月に運用を開始。シーイーシーでは特に事前検討工程を重視し、全体の3年間のうち8カ月を事前検討に費やしたという。「移行資産の棚卸し、調査分析、PoC(概念実証)などを丁寧に行うことで、後工程での想定外の事象や手戻りの発生を防ぐことに重点を置きました」と角氏は語る。
こうした緻密なプロジェクトの進行により、多くの問題を回避することに成功した。処理性能に関する問題はその一つだ。オンライン中にエンドユーザーのオペレーションをきっかけに大量データを処理する「ディレードバッチ」という仕組みが、メインフレームと同等の性能で実現できるかが大きな懸念となっていたのである。
実際、事前検討工程でエンタープライズサーバー上に該当処理を構築して検証したところ、メインフレームより処理時間がかかるという課題が判明。そこでシーイーシーではサーバー構成の変更や顧客との協議を経て、エンドユーザーの業務に影響がない範囲での性能実現で合意し、課題を解決した(図2)。
こうした甲斐もあり、新システムはリリース後も安定稼働を続けており、多くの成果を得ているという。「通常の夜間バッチに関しては、メインフレームよりも処理時間を短縮することができました。また資産に関しても、棚卸しにより従来の21%を削減。PL/I、アセンブラなど多様な言語だったものをCOBOLに変換し、将来的な技術者確保のリスクを低減できました」と角氏は胸を張る。
IT資産のリノベーションを
トータルにサポート
シーイーシーがRe@noveで提供するマイグレーションサービスは、リホストマイグレーションだけではない。富士通製オフコンマイグレーションサービス、VBマイグレーション、Strutsマイグレーションを始めとした各種マイグレーションに加え、クラウド移行や基盤(インフラ)構築、セキュリティーサービスなど幅広いソリューションを展開している。
インフラ構築では、コンサルティングや要件定義からデータセンターの移転・廃棄までトータルでサポート。セキュリティーについても、専門技術者による脅威からの防御ソリューションを、コンサルティングやアセスメントから教育・啓蒙まで幅広く提供している。
システム移行後のサービスにも注力している。具体的には社内にサービスデスクを設け、継続的に安心してシステムを利用できる運用サービスを提供。加えて、災害に強い優れたロケーションに立地するデータセンターも持ち、顧客の事業継続を支援する体制を整えている。
メインフレームのサポート終了が現実味を帯びる中、レガシーシステムからの脱却は多くの企業にとって避けて通れない課題となっている。技術者不足や予算制約という現実的な壁に直面する企業にとって、実績に基づいた安全確実なマイグレーション手法は、DX推進の現実的な一歩となるだろう。



