レガシーシステムのままでは、
AI開発を取り込めない
生成AIが広くビジネス現場に浸透する中、注目を集めているのが「AI開発」だ。要件を入力すれば、AIが自動でコードをプログラミングしてくれる。これにより、人間のエンジニアはより上流の企画・設計や新たな価値創造、顧客対応に集中できるようになる。少ない人員で開発が可能になれば、人手不足の解消にもつながるだろう。
生成AIによるプログラム生成・改善力は、既に相当高いレベルに達している。特にJavaは、オープンソースのリポジトリが豊富に存在するため、多くのコードがAIの学習データとして利用されている。「そのため、AIによるコードの自動生成や高度なコード補完などが可能です。機能追加や仕様変更を行う場合、生成AIが修正箇所を特定し、コーディング規約に準じたコードが自動で生成できます」とソフトロードの大橋 順二氏は紹介する。
また、熟練エンジニアでも数時間かかる作業を、生成AIを使って数分で終わらせることも可能になっている。さらにRAG(検索拡張生成)を活用すれば、多様なデータソースをナレッジとして利用できるようになり、データの収集・分析作業は大幅に効率化できるだろう。
「既に米国や中国ではAIによるプログラム生成・改善が本格的に利用され始めています。3年後には4割、6年後には8割のプログラマーが不要になるという予測データもあります」と大橋氏は警鐘を鳴らす。
旧態依然のレガシーシステムを抱えたままでは、この急速な変化に付いていくことは難しい。レガシー言語の無償OPENソースが少ないため、AIの学習材料が不足し、その結果、精度が低く、適用が困難だ。
「IMDが発表した『世界デジタル競争力ランキング2024』で、日本は『ビジネスの俊敏性』が67カ国中64位でした。この状況を脱却し、企業・組織が“新しい翼”を得るためには、早急に脱レガシーを図ることが不可欠です」と大橋氏は言う。
マイグレーションは
一般的なシステム開発と大きく異なる
「マイグレーションは、通常のシステム開発とは根本的に考え方が異なります。マイグレーションの最大の特徴は、自動変換・自動テストを駆使して開発を行う点にあり、新規開発のようなサービス業的なアプローチではなく、むしろ製造業に近いものです。そのため、高度な専門技術と自動化された生産プロセスの管理が重要で、たとえITのベテランであっても、謙虚に根本から学ぶ必要があります」
これを認識しておかなければ、思わぬ“落とし穴”に陥るという。
安易なストレートコンバージョンの利用はその代表的な例の1つだ。例えば、COBOLをJavaに変換しても、プログラムのレガシー要素やデータのレガシー構造などがそのまま残ってしまうので、「JaBOL」という怪物が誕生してしまう。「JaBOLはJava本来のメリットを無くしただけではなく、COBOLとJavaの両方に精通したスキルが求められるため、移行前よりも状況が悪化し、以後の更新も困難になります」と大橋氏は話す。
「今流行りのLLMを用いてリライトを行う方法もあるが、学習用OPENソース不足により変換精度が低く、バグ発生箇所も掴みにくいという課題があり難しい手動補正および膨大なテストが必要になるので、頼りすぎるのは危険です」と大橋氏は続ける。
また、既存のパートナーであるITベンダーとシステム刷新に取り組む場合、どうしても従来型のシステム開発手法に則って進めてしまいがちだ。もちろん、昨今のモダナイゼーションニーズの高まりを受け、レガシー言語に精通したエンジニア人材を拡充するベンダーは増えているが、モダナイゼーションは一朝一夕でできるものではない。「かつ、従来型のシステム開発手法ではシステムを再構築することになるため、コストや期間が大幅に増大しがちです。リスクも大きいため、あまりお勧めはできません」と大橋氏は語る。
ルールベースAIが自動で変換
納品後バグ密度はほぼゼロ
このような“落とし穴”を回避し、モダナイゼーションを成功させる手法としてソフトロードが提案しているのが「システムリフォーム」だ。ルールベースAIを用いることで、蓄積されたノウハウデータベースを参照しながら、ルールエンジンが既存システムコードを理解し、それに基づき、人が書いたようなJavaを自動生成できます。これでほぼ100%の自動変換率を実現しながら、ストレートコンバーションのようなレガシー要素を残す事態を避けます。また、既存システムコードを厳格に把握しているからこそ、テストポイントを自動的に厳格に見出すことができ、高い品質を保証できます。「既存のシステム開発手法に則るのではなく、システムリフォームのような機械的な方法を駆使して、工場生産のプロセスのように進めるのがITモダナイゼーションでは肝心です」と大橋氏は言う(図1)。
図1 「システムリフォーム」のイメージ
ストレートコンバージョンや人手によるリライトは変換率が低く、改悪になることもある。変換後のテストの負担も大きい。システムリフォームなら、AIベースの自動化によってこれらのリスクを回避できる
また、システムリフォームの強みは、核となるルールベースAIが、膨大な実績に基づく知見を注ぎ込まれたものであることだ。過去10年以上、850以上のシステム移行実績を基に、累計20億円以上を投資して開発・改善を繰り返してきた。実態に即したモダナイズによって、他社では実現困難な高品質なシステムを、コストを抑えて実現することが可能だという。
具体的な進め方は次のようなものだ。まずルールベースAIに既存のソースや処理ロジック、移行ルールなどを理解させる。これを基に、AIロボットが移行作業を自動で実行し、高精度な言語変換やDBの構造変換を実現する(図2)。「人手での移行作業に比べ、格段に高品質・低コストで、リスクを抑えたモダナイゼーションが可能です。属人性を排除できるため、移行後のシステムの保守性も向上できます」と大橋氏は説明する。
図2 システムリフォームの変換機能
変換前後の言語構文、ルール、データベースの特徴、フレームワークの構成などの要素を構造化し、辞書データベースに投入する。 これを基に、AIロボットが移行作業を自動で実行していく
データの安全・確実な移行も可能だ。膨大なデータの構造変更、フォーマット変換、文字コード変更、可視化対応、特殊データ修正などを同じくAIが自動かつ高精度に実施し、品質を保証する。「万一、データの移行にミスがあれば、業務上のトラブルが発生しかねません。データ移行はモダナイゼーションにおける重要なポイントといえますが、過去850以上のプロジェクトの大半でデータ移行も行い、すべて確実に移行を完了しています」と大橋氏は紹介する。
移行後の新旧比較テストや本番処理の再現比較テストも自動化している。これにより、数千におよぶ技術ポイントを網羅し、オンライン系/バッチ系ともに抜け・漏れのないテストが可能だ。「AIが確実なテストを実行するため、煩雑で手間のかかるテスト作業をお客様自身が行う必要はありません。工数を大幅に削減できる上、高い業務機能品質を確保できます」(大橋氏)。
そのアウトプットの品質の高さは外部機関の調査との比較でも明らかになっている。JUAS(日本情報システムユーザー協会)が定義するシステムのバグ密度の標準目標は0.25だが、システムリフォームの過去実績では、ほとんどが0.05以下またはゼロだという。
加えて、充実したサポート体制がソリューションの強みをさらに盤石なものにしている。ソフトロードの専門技術者約500人に加え、コンソーシアムのパートナー企業のエンジニア約1700人が、ニーズに合わせてきめ細かに対応するという。
今後もAIはますます進化していくだろう。システム構築の世界もさらに大きく変わることが予想される。AI開発の潮流に乗り遅れないようにするには、レガシーシステムをAIなどの新技術が利用できる形にし、特にストレートコンバーションのような改悪を避けるのはシステム更新ではとても重要だ。ソフトロードは、実績豊富なシステムリフォームでその実現を支援する。顧客企業と共に、AI開発の歴史の幕を開けていく考えだ。



