キリン流・CSV経営学
キリン流・CSV経営学

人と人とのつながりを生み、幸せの輪を広げる課題解決型ビールサーバーを通じた飲食店支援 人と人とのつながりを生み、幸せの輪を広げる課題解決型ビールサーバーを通じた飲食店支援

「CSV経営」を掲げるキリングループは、
「CSVパーパス」という長期経営目標を達成するための指針を策定している。
取り組むべき重点課題として掲げているのは、
「酒類メーカーとしての責任」と「健康」「コミュニティ」「環境」の4領域だ。
グループ各社の経営戦略にもしっかりと根付いたこれらの取り組みにより、
こころ豊かな社会を実現し、お客様の幸せな未来に貢献していくことを目指している。
その中でも、今回は「コミュニティ」をテーマに、
人と人とのつながりを創出する、キリンビールの飲食店支援活動を紹介する。

※内容や出演者の所属は、取材当時のものになります

人々が笑顔で語らい、つながる場所
コロナ禍で浮き彫りになった
飲食店の存在価値

何かいいことがあったとき、楽しい気分になりたいとき、あるいは悩みや迷いがあるときも、人はなじみのお店に集い、おいしいものを食べたりお酒を飲んだりすることで、仲間と共に気持ちや時間を分かち合ってきた。
それはどこにでもある、日常的な光景だった。

その日常が、コロナ禍で一変した。働き方や暮らし方が大きく変わる一方で、深刻な影響を受けたのが外食産業だ。外出や会食が自粛される中、緊急事態宣言が初めて発出された2020年4月の飲食店売上高は、前年同月比-62.4%※1と過去最大の減少幅となった。その後も緊急事態宣言やまん延防止等重点措置(以下、まん防)により時短要請や休業要請が行われ、厳しい経営環境が続いている。

※1 総務省統計局「サービス産業動向調査」より

東京・四谷で魚介中心の和食店「志ら井」を営む白井直樹氏も、この2年は過酷な時期だったと打ち明ける。「感染拡大を防ぐために緊急事態宣言下ではずっと休業、まん防の期間は19時や20時までの時短営業でやってきました。うちは夜しかやっていないため、とくに時短期間はつらかったですね。むしろ店を開けた方が損をするくらいでした」。

それでも、朝の市場通いや仕込みを疎かにせず、わずかな時間でも営業を続けてきたのは、「志ら井」を訪れるお客様をがっかりさせたくないという想いからだ。

来年で創業50年を迎える「志ら井」は、四谷のしんみち通りでバーを営んでいた初代が、独学で和食の技術を磨いて始めた店だ。2005年からは、「なだ万」などで修業を経た二代目の直樹さんも厨房に立ち、現在では、二代目夫婦が主に切り盛りしているという。

「昔ながらの商店街であるしんみち通りでも、家族経営の和食店はもううちだけ。父親の代からのお客様も多く、地元のお客様には『魚といったら志ら井さんだよね』と足繁く通っていただいています」と白井氏。創業時より注ぎ足し重ねてきた同店の“煮付けのタレ”と同じように、人々のつながりもまた世代を超えて続いている。だからこそ、この灯火を消すわけにはいかないのだという。

飲食店は、人と人とをつなぐ場所だ。コロナ禍を経て、多くの人々がその大切な存在価値を再認識している。世界の大手酒類メーカーが加盟するIARD(責任ある飲酒国際同盟)の発表したレポートによると、日本を含む調査対象10ヶ国の45%の人がバー、カフェ、レストランの閉鎖が自分の社会的・精神的なウェルビーイングへ悪影響があると回答。さらに、5人に1人が飲食店を「孤独を解消するために重要な場所」と認識。また、行動制限が解除されたエリアにおいては45%が「家の外で友人・家族との社交が幸せにつながる」と実感しているという※2

※2 Insights:The value of hospitality venues to social and mental wellbeing
調査はYouGov社が2021年7~8月に、世界10か国の18歳以上を対象にオンラインで実施。

東京で4回目の緊急事態宣言が明けた昨年10月、「志ら井」には「久しぶり!」と乾杯し合う笑顔があふれた。「『ああ、やっぱりおいしいね』と幸せそうに料理やお酒を召し上がるお客様の姿を見て、苦しかったけど続けてきて本当によかったなあと思いましたね」と、白井氏もしみじみと、そして心から嬉しそうに笑った。

日本料理店「志ら井」
店主

白井 直樹 氏

イノベーションで飲食店の課題を解決
TAPPYで実現する
おいしい生ビールと幸せな時間

飲食店の営業制限や外食頻度の減少は、飲食店経営者だけでなく、つながりを求める人々や社会にも大きな影響を及ぼしている。こうした状況を打破するために、飲食店に向けた具体的な支援策を打ち出しているのがキリンビールだ。

同社は、飲食店を応援するイノベーションとして、新型業務用サーバー「TAPPY(タッピー)」を発表。小型の3リットルPETボトルを採用することで、従来の樽生容器と比べて1本を使い切るまでの期間を短縮し、よりおいしい「キリン一番搾り生ビール」の提供を可能とした。

開発に携わった同社企画部 主幹の日髙大彰氏は、「ビールサーバーの“TAP”と、お客様そして外食産業に関わる全ての人が“HAPPY”になることへの願いを掛け合わせ、TAPPYと命名しました」と由来を明かす。「生ビールは、飲食店で最初に召し上がることの多い飲みものです。口にした瞬間、『ああ、おいしい!』と笑顔になっていただけるような生ビールをたくさんのお客様にお届けし、飲食店の方々にも喜んでいただきたい。そんな思いから開発しました」(日髙氏)。

キリンビール株式会社
企画部 主幹

日髙 大彰 氏

TAPPYは2020年11月に全国6県でテスト導入をした後、大好評を受けて2021年4月から全国展開している。その構想がスタートしたのは2017年。奇しくも、それがコロナ禍でのデビューとなり、多くの飲食店の支援につながった。

「志ら井」においても、2021年の9月にTAPPYを導入したことで、店主を悩ませていた問題を解消できたという。「以前は20リットルや15リットルの大樽でビールを用意していたんですが、コロナ禍で7リットル樽に変更。それでも時短営業中は余ってしまうことが多く、泣く泣く廃棄していたのです。一度、お客様に『今日はいつもと味が違うね』と言われたときは、もう生ビールを出すのをやめようかとも考えました」と白井氏は当時を振り返る。

そんなときに出会ったのが、TAPPYだった。「3リットルPETボトルであれば、生ビールの鮮度が高いうちに十分消費できます。何より、これまでと同じ『一番搾り』なのにお客さんの満足度が非常に高く、『神ビールだ!』と喜んでくださる方もいらして(笑)。おかげで生ビールの注文が増え、店全体の売り上げも向上しました。最近は比較的ご来店数も増えてきたので、3リットルでは足りない場合もあるのですが、常連さんたちの強いご要望もあって、当店では今後もTAPPYを愛用していくつもりです」(白井氏)。

TAPPYに変更してからは、重く大きな樽を保管して返却する手間も削減。サーバー洗浄も従来は約15分かかっていた作業が1分以内で済むようになり、大きな負担軽減にもつながったという。実は、この洗浄時にかかる生ビールのロスも相当なものだったようだ。日髙氏によれば、ビールロス削減と労務負担削減によりTAPPY導入メリットは年間約16万円にも上るという。

「従来のビールサーバーは内部に10m程のホースがあり、これを水洗いする際に1日ビールジョッキ1杯分、約300ccのロスが毎日生じていました。また樽交換の際にもロスが発生しており年間では約140リットルにもなります。これをほぼゼロにしました。従来型ビールサーバーの課題を解決することで、フードロスやオペレーションの負荷軽減、労働力不足問題の解消を目指し、外食産業に貢献していく。さらには、PETボトルを採用することで空樽回収作業を不要とし、物流負荷の低減やCO2排出の抑制にも寄与できるなど、業界が抱える課題の解決にもつながります。このように広く社会の課題と向き合い、解決に向けて貢献していくことがTAPPYの狙いであり、我々キリンビールの務めであると考えています」(日髙氏)。

「TAPPY」でお客様も飲食店様もみんなHAPPYに!

「TAPPY」は、キリンビールが飲食店の現場や社会の課題と向き合うことで生まれた次世代サーバー。コロナ禍でお酒の提供量が減る中、3リットルPETボトルと冷蔵機能付きサーバーの採用により、鮮度の高い「キリン一番搾り生ビール」の提供を可能とした。フードロスや従業員の負担軽減、労働力不足の解消、物流負荷低減など、多くの課題解決に貢献する。2タップ式の機器では、「キリンサワー」や「キリン陸ハイボール」も併せて提供可能だ。

飲食店にとっての「TAPPY」3つのメリット!

おいしい

生樽より容量が少ないので、鮮度の高いうちに使い切りやすく、ビール容器を丸ごと保冷しているのでおいしい生ビールが提供できる!

かんたん

生樽より容器が小さく軽いので持ち運びやすく、サーバーへの装着や洗浄も簡単に。これまでのサーバーと異なり毎日の水通し洗浄も不要なので、飲食店の作業負担を減らして、人手不足のお悩みにも貢献!

おトク

洗浄・交換時のビールロスがほぼゼロ!

より豊かな人と人との
つながりを創るために
新しい飲み方を提案、
その輪を社会に広げていく

コロナ禍を経て、“つながりの場”である飲食店の存在価値がより一層高まると同時に、利用者の意識にも変化が現れている。「にぎやかに騒ぐよりも、気心の知れた数人の仲間同士で、ゆっくりと時間をかけて料理とお酒、会話を楽しみたいという方が多くなってきましたね。」(白井氏)。

大勢でお酒をたくさん飲むのではなく、親しい仲間と、料理とのペアリングや会話と共にお酒を味わう。そうしたシーンでこそ、絆もより深まるといえるだろう。これは、キリングループが推奨する「スロードリンク®」の考え方とも合致する。

スロードリンク®とは、だれかと楽しさを分かち合いながら、おいしい料理と一緒にお酒を飲む「時間」をゆっくりと楽しむこと。ほどよい量をスローペースで味わうことで、豊かなひとときを堪能してもらいたいという、キリンからの新しい飲み方の提案だ。

その舞台を提供してくれる飲食店は、同社にとってもかけがえのないパートナーであると、日髙氏は言う。「コロナ禍になり、キリンビールの存在意義は、『人と人とがつながる幸せを届ける』ことと改めて実感しました。人と人がつながるところには、喜びや楽しさが生まれます。お酒はそんな喜怒哀楽に寄り添える稀有な飲み物であり、飲食店はそれを体験させてくれる貴重な存在。お料理とお酒という千差万別の組み合わせを通じて、新しい文化やストーリーを育んでくださる貴重な空間です。そうした飲食店さんを応援していくためにも、おいしいお酒をよりおいしい状態でご提供し、お客様や店主をはじめ外食に関わる全ての皆さんを幸せな笑顔にしていくことが我々の使命。開発から営業まで社員一人ひとりのその努力は、キリンのCSVや社会的な存在意義を実現するために向けられています」(日髙氏)。

おいしい生ビールでお客様の笑顔が増えれば、飲食店もハッピーになり、ビール業界や関連市場も盛り上がる。ひいては、社会全体にこの幸せの輪を広げていくことができる。

人と人とのつながりを生み、よろこびを創ることを目的に開発されたTAPPYは、飲食店ソリューションとしてのみならず、よりよい社会を実現していくためのツールとして注目され、2022年度も順調に設置店数を増やしている。まさに、キリングループが取り組む社会との共通価値の創造(CSV)の好例といえそうだ。

  • ※撮影時のみマスクを外しています。
  • ※取材は感染対策徹底の上、2022年7月7日に実施しました。
  • ※「志ら井」では、東京都の感染防止のガイドラインに則り、感染拡大防止に配慮の上営業しています。