新菱冷熱工業
新菱冷熱工業は最新ITと先端技術を融合しお客様に新しい価値を提案する。ビルに関するすべてのデータを統合し、お客様に分かりやすく説明していく。カーボンニュートラルをはじめお客様の要望を技術で解決する。「建てたら終わり」ではなく、長く寄り添い伴走できるパートナーを目指す。
■CFDを活用した検討会の様子
施工前にビジュアルで見せ理解を深めやすく工夫している
「赤が強め、青が弱めの風が吹いています」「冬は22度に設定しており、足元まで暖かい風が行き届いていることが分かります」――。新菱冷熱工業がお客様向けに取り組む検討会での様子だ。時に技術者も施工前にお客様を訪問し、丁寧に説明する。数値流体シミュレーション(CFD)によって、目に見えない温度や風の流れを可視化している。一級建築士の五十嵐瞳主任は「解析結果をビジュアルで分かりやすく見せることで、お客様からも好評」だと話す。新菱冷熱は施工前にお客様と事前にミーティングを重ね、空調システムの冷暖房能力の適正化を図る。
経営統括本部イノベーションハブの植田俊克副ゼネラルマネージャーは「CFDがなかった頃は模型を作って実験するなど時間と費用がかさんでいた。CFDなら多くのパターンを試し最適解を見いだしやすい」と話す。新菱冷熱が開発した「CFD省エネ提案ツール」によって、全体空調のロスを省き、最小の風量で温度、湿度、清浄度などを満足できるよう設計品質を高めていく。
CFDをはじめ新菱冷熱は最新のIT(情報技術)、豊富な施工実績に裏打ちされた卓越した技術力を有する。
まず、最新のITを見てみよう。建築業界では高品質で短工期が強く求められている。新菱冷熱が出した答えは、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)だ。3次元CAD情報を活用し、建築に関するあらゆる情報をBIMに統合していく。工事の企画から改修まで、様々な場面で情報を活用できる。
「建てたら終わり」ではなく、長くお客様に寄り添えるパートナーとしての情報基盤を整えている。「BIMを起点に新しい価値を提供できる」(デジタル推進企画部の齋藤佳洋部長)。
新菱冷熱工業
技術統括本部副本部長
佐原 恭彦 氏
総合的な技術力にCFDやBIMなどのデジタル技術が加わることによって、お客様からの要望にも柔軟に取り組めている。今お客様からの要望が多いのが、温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」への対応だ。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の開示をはじめ、地球温暖化抑制に向けた企業姿勢が問われている。ビルの冷暖房システムも例外ではない。「お客様の多くは投資コストを抑え、かつ省エネの実現を重視する姿勢が明確になりつつある」(技術統括本部の佐原恭彦副本部長)。
BIMはカーボンニュートラル対応でも効果を発揮する。省エネ対応製品に変えた場合も試算可能だ。現在、茨城県つくば市に建設中のイノベーションハブ本館はBIMを活用し、事前にCO₂削減量を分析できる。
BIMは既築にも対応し、3Dスキャナーを利用して現場を実測することでモデリングできる。今後、増加が見込まれるリノベーションや建て替えを検討する際にも最新技術を活用できるのだ。
情報を蓄積することでお客様の利便性を追求しているが、卓越した技術力も見逃せない。新菱冷熱の最新技術を結集したビル「新菱神城ビル」が2020年に竣工した。国際学会で世界最優秀賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けている。代表的な7つの技術を紹介しよう(下図)。
■新菱神城ビルの概要
同じ高さで1フロア増やせることに空調機器が貢献し、経年劣化による故障を未然に防ぐことで資産価値向上に貢献する(イラスト提供:三菱地所設計)
■世界最優秀賞を受賞
空調分野の世界最大の国際学会「ASHRAE(米国暖房冷凍空調学会)」の世界最優秀賞を受賞した(三菱地所設計、芝浦工業大学秋元孝之研究室との共同受賞)
ビルの生産性や収益性を考える際に同じ高さであれば、階数が多いほうが効率的となる。同じ高さで1フロア増やせることにも空調機器が貢献できる。
新菱神城ビルでは、ダクトレス方式を採用したため、天井裏のダクトスペースも不要となり、階高を低くできる。実際、階数を1フロア増やせた。
それを実現する技術が、「ダイナミックレンジ放射空調システム」と「変風量コアンダ空調システム」だ。
ダイナミックレンジ放射空調システムは、新菱冷熱が独自開発した放射空調システムで、省エネルギー性と快適性に優れた静穏な放射空調システムをベースにしている。自然エネルギーを活用するプレクール冷却塔に、放射能力を安定させる「還水温度可変カスケード制御」などの新開発制御を組み合わせることで、冷房期間の実に70%に自然エネルギーを活用(実績値)するなど、従来の放射空調から大幅な省エネルギーを実現した。変風量コアンダ空調システムは、天井面に向けて吹き出した空気が、平滑な天井面に付着して移動する現象(コアンダ効果)を利用する。従来のダクト搬送方式と比べて天井内のスペースが不要で、天井高を高くできるのだ。
ビルの資産を高めるには、経年劣化によるトラブルを未然に防ぐことも欠かせない。新菱冷熱の無薬注型防食システム「Corro-Guard」が注目だ。空調配管や冷凍空調機器の熱交換器銅チューブに発生する局部腐食を、
建設業界で30年以上継続して腐食の研究に取り組んでいるのは、現在新菱冷熱だけ。地道な研究の積み重ねにより実現できた技術だ。今後も変化が激しい時代に流れを先読みし、お客様に新しい価値を提供していく。
Contents
総論

アズビル

荏原製作所

新菱冷熱工業

新晃工業

東洋熱工業

高砂熱学工業

日立ジョンソンコントロールズ空調/日立グローバルライフソリューションズ

三菱重工サーマルシステムズ
