東洋熱工業
「2022年度 省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞」を受賞した「熱源最適制御コントローラ『E-SCAT®シリーズ』」が話題だ。熱源システムのエネルギー効率を上げることで、省電力に貢献できるという。このソリューションは一体、いかなるものなのか。開発・提供元である東洋熱工業のトップに話を聞いた。
■「2022年度 省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞」トロフィー
省エネ性に優れた製品・ビジネスモデルを表彰する同賞を「E-SCAT®シリーズ」で受賞
業界に先駆け確立したクリーンルーム施工技術や、静音性が求められる放送局の空調ニーズに対応したエルボ型消音器の開発など、革新的な技術開発を次々と成し遂げ、業界をリードしてきた東洋熱工業。空調設備を中心に、設計・施工・販売・保守などを行う総合エンジニアリング企業である同社が開発した「熱源最適制御コントローラ『E-SCAT®(イースキャット)シリーズ』」が、日本の優れた省エネ製品や取り組みを表彰する「省エネ大賞」で「資源エネルギー庁長官賞」を受賞した。同社代表取締役社長執行役員の谷口昌伸氏は、受賞の感想をこう語る。
「『E-SCAT®』は、約20年前から開発を進め、現在までに35件の導入実績があります。当社ではソリューションは一度納入して終わりとは考えていません。納入後も利用するお客様からご意見をいただき、継続して機能や性能を磨いてきました。こうした取り組みを続けてきた結果、今回の『E-SCAT®シリーズ』受賞につながったと考えています。最もエネルギー効率を高められる熱源システムとして評価されたということで、喜びもひとしおです」
東洋熱工業
代表取締役社長執行役員
谷口 昌伸 氏
「E-SCAT®」は熱源システムのエネルギー効率を上げることで、省電力を実現するソリューションだ。これは谷口氏の言葉が示唆するように、脱炭素に取り組む企業が増加したここ数年の間に開発がスタートしたものではない。
「オフィスビルなどで消費されるエネルギーの大半は空調に起因します。よって、空調に関連する省エネやコスト削減効果を高めることは、お客様の事業に対する大きなインパクトになります。当社が設計・施工した設備を利用いただくお客様の業績や社会貢献度の向上が、当社の価値向上にもつながる。さらには、環境保全にも結び付く。こうした思いで技術開発などに取り組んできました。『E-SCAT®』もそのような考えの下で、取り組みを続けてきたものの一つです」(谷口氏)
「大型ビルや商業施設、生産設備など、大規模な施設では、冷凍機やチラー、ボイラー、ポンプなどの様々な機器を組み合わせて、空調に必要な熱源システムを構成しています。各機器メーカーの努力により、機器単体の性能は向上しておりエネルギー効率も上がっているのは事実です。しかしそれだけではやはり限界がある。そこで機器ごとではなくシステム全体を制御して、さらなるエネルギー効率化を実現しようというのが『E-SCAT®』のコンセプトです」(谷口氏)
「E-SCAT®」は複数の熱源機器をセンサーやネットワークでつなぎ、熱源システム全体のエネルギー効率が最大化できるよう各機器を統合してコントロールするものだ。刻々と変化する空調に対する要求や外気の条件などを予測しながら、熱源システムを構成する機器ごとにその性能と運転特性に合った最も効率の良い運転をさせるのである。
その効果は絶大。ある日系グローバル企業では、「E-SCAT®」を導入した生産拠点で、実に30%以上の省エネ効果を実現しているという。熱エネルギー効率が高い仕組みとして知られる「地域冷暖房システム」と比べても、エネルギー効率は約3倍というから驚きである。
また「E-SCAT®」の機能の中で、比較的大きなエネルギー効率化が期待できる冷却水の制御に特化することで、低コスト短納期を実現した「CT-X/CT-Light」や、配管で連結した建物間で熱を融通することでエリア全体のエネルギー効率を向上する「ゆずコン®」など、「E-SCAT®」から派生したソリューションが用意されているのも魅力的。ユーザーからすれば、ニーズに合わせて柔軟に導入できるのはありがたい。
■「E-SCAT®」の省エネルギー実績
表中の“3.2”という熱源システム効率は、ある日系グローバル企業の生産拠点における実績値。これは一般システム(地域冷暖房)の平均より数倍高い(東洋熱工業調べ)
今後の展望について谷口氏は語る。
「脱炭素社会を実現する中で、空調設備には、再生可能エネルギーなどを利用して効率よく熱を作る仕組みや、デマンドレスポンスに応じるために蓄熱し無駄なく熱を制御することが求められます。今後はこれらのニーズに向けた研究や開発にも力を入れていく考えです。また熱源システムの効率をさらに高めるため、人工知能を活用した実証実験などもスタートする予定です」
顧客や機器メーカーをはじめとする関係各社と着実に意見交換し、時代とともに変化する空調へのニーズを的確につかみながら、その高い技術力を生かしていく。「技術の東熱」を掲げて長年培われてきた同社の姿勢は、今後も変わらない。
「従来、熱源システムのエネルギー効率を上げるために講じられてきたのは、ハード面の対策がほとんどでした。しかしさらなる効率化を目指すなら、ハードとソフト両面での対策が不可欠です。『E-SCAT®シリーズ』の『省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞』受賞を機に、こうした認識がより広まれば幸いです」(谷口氏)
これまで対策を講じてきたものの、脱炭素に向けた課題解決が進まない企業にとって、東洋熱工業の技術、知見が貢献できる余地は大きい。
Contents
総論

アズビル

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東洋熱工業

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日立ジョンソンコントロールズ空調/日立グローバルライフソリューションズ

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