新晃工業

労働集約型のモノづくりから脱却
業界構造のアタリマエを打破
社会を変えるチャレンジ精神

1950年の設立以来、業務用空調機のパイオニアとして日本初のAHU(空気調和機)、FCU(ファンコイルユニット)を開発するなど、多くの空調機器を世の中に送り出してきた新晃工業。現在同社では、脱炭素化や働きやすい環境づくりの実現、デジタル化などに向けた積極的な取り組みを行っている。

新晃工業
代表取締役社長
末永 聡 氏

「施設や建物の中で仕事をする人、買い物をする人、治療を受ける人はもちろん、保管される文化財や製造される製品、発熱するサーバーなど、施設の用途によって求められる空気の質は異なります。そこで、それぞれの空気の質に向き合い、温度、湿度、清浄度、音、振動、気流を調整し、最適な空気質を提供することが当社の事業の本質であると考えているのです」

コロナ禍を機に「空気質改善」というキーワードをよく耳にするようになった。大規模建物に採用される「セントラル空調」の空調機器の開発から、設計、製造、販売、アフターサービスまでをフォローする新晃工業では、自社を「空気をデザインする会社/AIR DESIGN COMPANY」と位置付け、ビジネスを展開している。冒頭のコメントはこの点について同社代表取締役社長の末永聡氏が説明したものだ。

■ライン生産方式で製造されるAHUの例
可能な限りモジュール化することでライン生産方式を実現

そして、最適な空気質の提供を実現するために、セントラル空調に欠かせないAHUやFCUを開発してきた。AHUを運転すると、音や振動が発生する。AHUにおいては運転試験を実施し、基準値以下の振動であることを確認できるまで、製品の納入は行わない。各場所に合わせた最適な空気質と環境づくりに対するここまでの徹底ぶりが、数多くの取引先からの厚い信頼を得る要因の一つになっていることは言うまでもない。

カーボンニュートラル実現に向けても積極的な取り組みを行う。具体的には、AHUの省エネ性を左右する基幹部品の研究開発に力を入れ、最大静圧効率を約14%向上させた新型ファンのほか、熱交換効率を約15%向上させた熱交換器を開発。オフィスビルで使用される電力のうち、約40%は空調に使用されている。そのため空調機器の電力使用量が削減できれば、大きなインパクトを与えられる。さらに製造工程においても、溶接の削減やリサイクルの材料の採用などによる取り組みを推進中だ。

製品開発だけでなく
業界全体の課題解決にも挑戦

■2019(令和元)年11月に完成した国立競技場
新晃工業の製品は日本を代表する大規模プロジェクトに採用されている(写真提供:独立行政法人日本スポーツ振興センター)

「当社製品が納入される建物は、設計事務所様、建築業者様などが設計し、建築業者様が建設する大規模建築物がほとんど。そのため空調機も建物に合わせて、その都度設計、製造します。さらに同じ建物内でも、設置するフロアや方角、用途によっても求められる仕様は異なるため、1台ずつ打ち合わせを行い、設計、製造しなければなりません。

それゆえ一つひとつの製品には図面で表現しきれない細かな要求が存在します。これが業務のDX化を阻む要因となっていました。また、納入する建築物の工期に合わせて、1台ずつ製造を行うことに加え、生産量や出荷のタイミングも工事状況に左右されるため、計画的な生産が難しい。どうしても労働集約型のモノづくりになってしまうのです」

末永氏がこう説明する、AHUメーカー共通の課題を解消すべく、同社では業界に先駆け「SIMA(SINKO Innovative Manufacturing of AHU)プロジェクト」という新しい業務体系を確立するための取り組みをスタートさせている。

「具体的には、部門ごとに散らばっていたデータを集約します。そしてユーザーの細かな要求に応えられるよう、高度なノウハウをデジタルに変換することで、作図や生産計画の自動化を推進。AIや3D CAD、産業用ロボットやAGV(無人搬送車)といった技術を採用しながら、営業による打ち合わせから、モノづくりの上流工程である設計や積算、製造、アフターサービスまでの効率を向上させる仕組みを構築しています」(末永氏)

また労働集約型のモノづくりから脱却すべく、可能な範囲で部品を標準化し、ライン生産方式による生産体制を構築。大量生産前提の製品では当たり前のライン生産を、一品一様で個別対応が必要となるAHUの製造に取り入れたのは画期的だといえる。現在ライン生産が行われているのは、比較的コンパクトな製品に限られているが、さらなるデジタル技術の活用により、今後その範囲を広げていく考えだという。

■標準化された製品だけではなく一品一様の製品も製造されるライン生産
作業パートを細分化することで組立効率を30%向上させることに成功

職場に多様な人材を!
現場の声を反映し具現化へ

多様な人材が働きたいと思える職場環境の構築に向けた取り組みも本格化していると、末永氏は強調する。

「会社の方針を全従業員に直接伝えるトップからのビデオメッセージ配信のほか、経営陣が全国の拠点に出向いて若手と直接意見を交わす座談会の実施、若手からのアイデアを吸い上げ具現化する取り組みなどを行うことで、年齢に関係なく活躍できる環境づくりに取り組んでいます。また、性別や国籍、これまでの経験にかかわらず、誰もが働きやすい環境を実現すべく『ダイバーシティ推進委員会』を設置し、現場の声を反映できる取り組みにも力を入れているところです」

前述のSIMAプロジェクトの適用範囲を拡大することで供給網のレジリエンスを強化するとともに、新しい働き方の提案を通し、様々な面で業界に貢献できる企業を目指していく。同社の取り組みが、空調業界にどう波及し、ユーザーである私たちにどのような恩恵をもたらすのか。その動向から当分、目が離せなくなりそうだ。

お問い合わせ

新晃工業株式会社

URL:https://www.sinko.co.jp/

MAIL:sk-mail@sinko.co.jp

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