日経ビジネスオンラインスペシャル

LEADERS INTERVIEW2020.04.28

リーダーが語る「経営と相棒時計」

苦しい時期をともに歩み、経営者としての成長を知る“戦友”

Indeed Japan 代表取締役/ゼネラルマネジャー 高橋 信太郎 氏

高橋 信太郎氏

米国に本拠地を置く求人検索エンジン運営会社、Indeed(インディード)。その事業内容は、既存の求人情報メディアとは明らかに異なる。

これまでの採用市場では、掲載される情報がそれぞれ違うため、求職者はいくつもの求人サイトを訪れて仕事を探さなければならなかった。Indeedは、その利便性の悪さを解消。各企業の採用サイトや求人情報サイトなどをプログラムが巡回し、求人情報をまとめてIndeed上に掲載する。それによって、求職者はオンライン上のあらゆる求人情報を一括で検索することができるのだ。

現在、60カ国以上でサービスを提供し、2018年9月時点で月間ユニークビジター数は、2億5000万人以上(Google Analytics調べ)。いまや世界最大規模の求人専門検索エンジンに成長した。

その日本法人、Indeed Japanを16年から率いるのが、高橋信太郎氏だ。左腕では、ロレックス「サブマリーナー」が静かにリーダーの仕事を見守っている。

ロレックス「サブマリーナー」
以前働いていたグループの代表から、常務になった際に激励として贈られたロレックス「サブマリーナー」。経営者としての原点、これまで重ねたチャレンジを思い出させてくれる大切な1本だ。

「以前働いていたインターネット広告事業を手がける会社で、06年に社長に就任したんです。経営者になるという、そのチャンスを与えてくれたのが、グループの代表でした。そして13年には、兼務でグループ本体の常務に。それは、経営のトップコミュニティに入った瞬間でもありました。その際、代表から贈られたのがこの時計だったんです」

だが、プロの経営者としての日々は、「修業」とも呼べるほどの苦しいものだった。競争環境は刻一刻と変わり、社員数もどんどん増えていく中、立ち現れるのは初めて直面する難題ばかり。判断を誤って、グループ代表から叱責されたこともあったという。だが、最終的には自社の業績を安定させ、グループの新規事業でも成功といえるような結果を残すことができた。

そこで重ねた経験が、「経営者としての自分の基礎となっている」と高橋氏。苦しい時期をともに歩み、様々なチャレンジを見届けてきた“戦友”ともよべる存在が、このサブマリーナーだ。

「この時計は自分を振り返るキーであり、原点となる大切なもの。目にするたび、さらなる成長を目指していこうと励まされます。経営者になるチャンスを与えてくれた彼と、苦しい修業をしていた当時を思い起こさせ、『初心忘るべからず』と襟を正してくれるんです」

今はオンもオフも、時計はこの1本で通しているという高橋氏。「あまり気にせずにあちこちぶつけるので、小さな傷がたくさんあるんですよね」と笑う。もともと「ストーリーのあるもの」が好きで、1つを大切に使い続けるタイプだという。

「この時計を贈られてから着けることはほとんどなくなりましたが、もう1つ大事な時計があって。それは同じロレックスのボーイズモデルで、私の生まれ年、1965年に製造されたもの。もともと妻が持っていたのですが、結婚した時に『使っていいよ』と言われ、以来、ずっとそれを着けていました。他にも、愛車は7年間変わらないし、長年使っているサングラスは愛娘がロンドンの蚤の市で買ってくれたもの。手にした時にストーリーがあり、さらに一緒に過ごすことで愛着が増していくんです」

1つのものとじっくりつきあう高橋氏は、ビジネスにおいても腰を据え、本質的な問題に真摯に立ち向かう姿勢を貫いている。

現在、同社が中長期的に注力しているのは、「オウンドメディアリクルーティング」を広く社会に認知させる取り組みだ。オウンドメディアリクルーティングとは、企業が自社の採用サイトやSNSを持ち、求める人材や企業文化、労働環境などの詳細な情報を発信して能動的に人材を募集する手法のこと。

「労働力不足が叫ばれる日本において、まだ手をつけられていない重要な課題の一つが、求めている人材を採用できない、あるいは採用した人材が企業にマッチしていないという『雇用のミスマッチ』です。これを解消して、企業が効率的に人材を確保できるようにしていくには、企業自身が自社の魅力を再認識し、主体的に情報発信をして求職者にそれを正しく届けることが欠かせません」

一昨年末からすでに4回、日本の採用のあるべき姿について議論する「オウンドメディアリクルーティングサミット」を開催。オウンドメディアリクルーティングに取り組み、能動的かつ先進的な採用活動をする企業を表彰するアワードも創設した。

同時に、アプリを大幅にリニューアル。求職者が直感的に自分に合う仕事を探しやすくする、日本独自の工夫も施す。

「日本の採用市場をアップデートすることが、我々のテーマ。これからもすべての求職者が自分に合った仕事と出合えるよう、その一助となる事業を展開していきたいと考えています」

文=いなもあきこ 写真=阿部 了

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