2020.08.26
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傑作ムーブを載せたドレスウォッチ
CARTIER カルティエ
サントス デュモン
カルティエのアイコンに加わった機械式モデル。比較的大ぶりのケースサイズだが、7.5㎜という薄いケースが極めて優れた装着感をもたらす。ムーブメントには、カルティエの傑作と誉れ高い430MCを採用。手巻きの軽くて密な巻き感はいかにも高級感がある。価格も非常に戦略的だ。
手巻き、SSケース、縦46.6×横33.9㎜、59万5000円
飛行中に時間を確認したい、という要望から生まれた「サントス」ウォッチ。その1世紀以上にわたるコレクションの歴史の中で、際立ってドレッシーなのが、依頼主の名を冠した新型の「サントス デュモン」だ。
アルベルト・サントス=デュモンは発明家にしてヨーロッパ航空界のパイオニア。伊達男としてもその名を轟かせた人物である。それゆえ、彼の愛した時計のデザインは、ドレスウォッチを思わせるほど端正。それでいて時間の見やすい大きな文字盤と袖口を邪魔しない短いラグが、この時計の“飛行機乗り用”という出自を物語る。
昨年クオーツモデルが発表され話題となったが、2020年は待望の機械式モデルが追加された。しかも、搭載するのはカルティエを代表する傑作手巻きムーブメントの430MCである。世に優れたムーブメントは多いが、薄型の手巻き時計で、430MCに肩を並べるものが果たしていくつあるだろうか?しかもカルティエは、これほど優れたムーブメントであることを、大声で喧伝しないのである。実力ある者は多くを語らず。そんな紳士にこそふさわしい1本だ。