コシヒカリを超えるおコメ!? 新潟で急拡大する「良食味多収米」

中食・外食向け業務用米として人気高まる

 日本一の米どころであり、コシヒカリの大産地でもある新潟県の米作りに大きな変化が起こっている。「良食味多収米」といわれる品種の生産が急拡大しているのだ。「良食味多収米」とは一言で言うなら“美味しくてたくさん獲れる米”のこと。コシヒカリに迫る、もしくはそれを超える食味があり、かつ単位面積(10アール)当たりの収穫量を示す反収ではコシヒカリに比べて3~4割多く獲れるものが多い。代表的なものとして「あきだわら」が知られており、広く作られているが、これ以外の多収品種の生産も拡大している。良食味多収米は、近年、中食・外食向けの業務用米として人気が高まり、市場からは引っ張りだこの状態が続く。今後の日本全体の米作りを大きく変える存在になりそうだ。新潟県における良食味多収米生産の現状を紹介する。

 「良食味多収米」は、生産者と需要側のどちらにとってもメリットのある米として、最近、大きな注目を集めている。

 生産者にとっては、ブランド米よりも多少単価は安くなるがその分収量でカバーできるため、同じ広さの水田から得られる収益は変わらない。むしろ多収米の方が収益性は高いと見る生産者もいるくらいだ。中食・外食関係者からの需要も高く栽培契約などで確実に売上を立てられる点も魅力。生産者が稲作経営を進める上で良食味多収米は心強い存在であり、これを生産品種の中核に据える大規模法人も出てきている。

 中食・外食の関係者からすると、これらの良食味多収米は、食味の面でブランド米と遜色がないにも関わらず、値段を抑えて購入できるメリットがある。もちろん、「国産米使用」「新潟米使用」などと謳えるため、消費者へのアピールもぬかりなくできる。コストダウンにもつながり、訴求力もある、実に便利な米と言える。また、業務用だけでなくスーパーの店頭などで売られるものも出てきた。手頃な値段で買える美味しい米として一般消費者の目に触れる機会が確実に増えてきている。

米どころ新潟県の多収米戦略とは

良食味多収米の代表的な品種「あきだわら」を紹介する、農研機構(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)のパンフレット。あきだわらは最近になって大手スーパーでも手に入るようになってきた。5キログラムで税込み2000円強。一般的な銘柄米と同等の価格で売られている。

 とはいえ、生産量の7割近くがコシヒカリという新潟県の米作り農家の中には、コシヒカリを作っておけば安心だという考え方が根強くある。そもそもコシヒカリは単価が高く需要も多い。しかも同県のコシヒカリは魚沼産を筆頭に、岩船産、佐渡産、新潟産という4つのコシヒカリ・ブランドが市場で確固たる地歩を占めている。ブランド米の頂点に立つ魚沼コシヒカリに至っては、その単価が決まってから他のブランド米の単価が決まるというほど別格の存在なのだ。

 ところが、国内の米消費を見ると、家庭内での消費が減り、中食・外食での消費が拡大している。いかに強いブランド力を持つ新潟県のコシヒカリといえども、消費構造そのものが大きく様変わりしている中で作りすぎてしまえば、需要に対して生産量がだぶついてしまう。こうなれば価格は下落し、せっかくの高いブランド価値を毀損してしまいかねない。

 こうした事態を防ぐために、新潟県では、県下の生産者に対して「需要に応じた米の生産」を推奨する戦略を採っている。そして、戦略の大きな柱となっているのが良食味多収米なのだ。