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Vol1 自然エネルギーを効率的に変換制御する電力変換技術

晴れでも曇りでも最高のパフォーマンスを! 99.9%の最大発電量確保を可能に

飯島

2つ目の特徴は、最大電力追従制御で99.9%という高い制御機能を備えていることです。日射の条件や温度によってソーラーパネルが出力できる発電量は異なります。

しかし、TMEICのPCSは曇ってしまった場合も、その時の最大電力を取り出せるよう、常に99.9%のパフォーマンスを出せるようにしているのです。

柳田 理科雄

なるほど、太陽光発電は晴れているときだけを想定しているわけではないのですね。曇りの日でも、パネルが最高のパフォーマンスをするポイントを的確に捉えれば、太陽エネルギーを最大限に活かすことができる。

季節の変化に富む日本の企業だからこそ開発できた先進技術だと思います。
最大電力追従制御とは? 電流・電圧・電力の間には「電力=電圧×電流」の関係があります。また、ソーラーパネルの場合、太陽光線の強さによって、電圧と電流の関係がグラフのように変化します。  この結果、どのグラフの上にも「電圧×電力」すなわち電力が最大になる点が存在します。TMEICのPCSは、そのときの 太陽光線で最大電力(電流B・電圧B・動作点B)が得られるポイントを探り当て、刻々と変化させているわけですね。

柳田 理科雄

話は変わりますが、今、再生可能エネルギーの導入が拡大しています。東日本大震災以降、受注量は急増したのではないでしょうか。

飯島

ソーラープラントに納入されたTMEIC製のPCSについて、写真をもとに設置イメージを紹介する飯島氏

欧州で始まった再生可能エネルギー利用の世界的潮流から、新製品の開発を行い製造体制を整えて準備していましたが、2012年7月から再生可能エネルギーの全量買取制度がスタートし、受注が増え、それに合わせて生産能力の増強を行いました。

2012年7月以降、TMEICで受注したPCSの総容量は約2GW以上です。まだ数は少ないですが、TMEICでは風力発電の発電機とPCSも作っています。

柳田 理科雄

2GWですか!
これは大出力の発電所くらいの発電量ですね。

飯島

今後は、蓄電池用PCSの活用による、自然エネルギーの安定供給化も注目されています。設計開発をしている李 海青(り・はいちん)をご紹介します。
2GWってどれくらい?  2GW=200万kWは一般家庭67万世帯分の消費電力量です 200万kW÷3kW=670,000世帯 G(ギガ)とは「10億倍」を表す接頭語で、「1000倍」を表すk(キロ)や、「100万倍」を表すM(メガ)の仲間です。したがって、2GW=20億W=200万kWです。前述したように一般家庭の消費電力は3kWほどですから、TMEICが2013年受注したPCSで約67万世帯が使う電力を変換できるということですね。 世帯数だけで考えれば、656,937万世帯(平成25年10月末時点)ある山口県で使う電力を補えるということです。すごいことですね。

自然エネルギーの安定化対策 蓄電池の利用にもPCSが必要不可欠

飯島

初めまして。李 海青(り・はいちん)と申します。
柳田さん、自然エネルギーは天気によって発電量が左右されてしまうところが弱点ですよね? その弱点をカバーするのに蓄電池が注目されているのをご存知ですか?

柳田 理科雄

晴れた日にたくさん発電した電気を蓄電池に充電し、曇りや雨の日の発電量が足りない分を蓄電池から放電すれば、安定的に電力を供給できるということですね?

しかし、蓄電池を使う場合は、充電のときに交流から直流へ、放電のときに直流から交流と、2回の変換をしなければならない。……もしかして、この電力変換部分で李さんの開発したPCSが活躍するわけですか!

パワーコンディショナーの役割

飯島

蓄電池用PCSの構造について説明をする李さんと柳田さん

そうなんです。先ほど電流の変換効率のお話がありましたが、蓄電池を使う場合は、蓄電と放電の際に2回ロスが生じます。

いかに効率的に電力変換をするか、というのが大きな課題となります。

柳田 理科雄

ふむふむ。それで肝心の電力変換効率は?(笑)

飯島

待ってました!

業界最高レベルの98.5%(充放電平均)です!

柳田 理科雄

さすが!
これを99%、99.9%と限界まで高めていく研究、開発を行っているのですね。

蓄電池は、太陽光発電の不安定な発電出力を安定化させることはもちろんですが、災害時や停電時にも太陽光発電の発電電力を有効活用するのにも役立ちますね。ぜひ、技術を発展させていただきたいです。

熱対策に必要な冷却ファンを取った!? メンテナンス不要のPCSとは?

飯島

最後にもう1つ紹介させてください。李が開発に携わった蓄電池用PCS(100kW)です。高く評価され、「第62回電機工業技術功績者表彰・奨励賞」を受賞しました。

柳田 理科雄

それは素晴らしい!
どんな点が評価されたのですか?

飯島

SOLAR WARE 100

自然冷却構造(ファンレス)を実現したことです。パソコンとACアダプタをつなげているとACアダプタが熱を発生するように、我々の作るPCSも熱を持つのです。

熱を持ったPCSはオーバーヒートを防ぐための対処をする結果、性能を低下させてしまいます。これを防ぐため、PCSには通常、外気を取り込む換気扇(ファン)を付けています。

しかし、今回開発した自然冷却構造(ファンレス)は、ファンを使用しないで済むようにしたので、信頼性があがり、寿命部品であるファンの交換も必要無いので、保守費用を大変安くすることが出来ます。この技術は、太陽光発電用のSOLAR WARE 100にも適用しています。

柳田 理科雄

構造を単純化させることで、メンテナンスの手間を省いているということですね。技術者がなかなか現場に行けない不便な地域でも活躍できるし、メンテナンス費用がかからないのも、すごく嬉しいことですね。自然冷却とはどんな技術なのでしょう?

飯島

そ、それは企業秘密ということで……(笑)

柳田 理科雄

そうですよね(笑)
日々、最新技術に磨きをかけて、やっと手にした成果ですからね。エンジニアとしてやりがいがありそうですね。

飯島

そうですね。新しい技術を追求するため、色々チャレンジできることに大きなやりがいを感じています。

柳田 理科雄

今日は本当にありがとうございます。電力って普段当たり前に使っていますが、そもそも発電したばかりの電気は、ダイヤモンドの原石のように荒削りなもの。

それをPCSで丁寧に磨く過程があって、初めて企業や家庭で使えるようになるのですね。目立たないけれど、PCSが無ければ電気は使えない。とても重要な部分ですよね。もっと皆さんに知っていただきたいですし、もっと前に出て行くべき技術だと思います。
Vol2 24時間、365日安定した電力供給を支えるバックアップ電源技術