ITインフラSummit 2026 review

〜AIによる業務自動化を実現するITインフラの最適解〜

ITインフラSummit 2026 review〜AIによる業務自動化を実現するITインフラの最適解〜
クラウド基盤最適化 Forum
レッドハット

ITインフラ領域の「AIOps」を実現する
Ansibleによる高効率運用とその先の未来

様々な分野でAI活用が進む中、ITインフラ領域へのAI適用には課題も多い。求められているのは、煩雑な運用・保守業務を自動化すること。こうした考えのもと、レッドハットではAIを活用した運用の自動化を推進するために、「Red Hat Ansible Automation Platform」の活用を推奨している。これを活用すれば人とAIの間の分断を解消できる。ITインフラから出力されるイベントやログをAIが判断し、その後のアクションを実行する、高度で柔軟な自動運用システムの構築といったことが可能になる。同社の講演ではAnsibleがもたらすメリットとAIOpsのベストプラクティス、その成功ポイントが紹介された。

人は増えず仕事が増える
ITインフラ部門の課題が深刻化

レッドハット株式会社 技術営業本部 シニアソリューションアーキテクト 中島 倫明氏

レッドハット株式会社
技術営業本部
シニアソリューションアーキテクト
中島 倫明

ITインフラ部門の業務は増え続けている。PCやサーバー、ストレージといったIT機器やシステム、ネットワーク環境、基盤ソフトウエアなどの運用や保守に加え、データの流出やウイルスの侵入などコンプライアンスやセキュリティー面の対応も求められる。

その一方、クラウド化やデジタル化の進展に伴い、ITインフラはハイブリッド化が進み、複雑化している。「守るべき領域や、やるべき仕事が増大しているのです。ただ、必要な人材は慢性的に不足しており、増え続ける仕事量に、限られたリソースで対応しなければならないのが現状です」とレッドハットの中島 倫明氏は指摘する。

こうした課題解決策として期待されているのがAIの活用だ。しかし、多くの企業では、AIの能力を引き出すITインフラ環境が整えられていない。この状態でAIを導入しても、人の思考や判断をサポートすることはできても、実際のアクションは人が行わなければならず、抜本的な解決策とは言い難い。

「ITインフラ領域においてAI活用を成功させるカギは『自動化』です。サーバー、ストレージ、ネットワーク、仮想基盤などの設定、あるいは受信したイベントに対する即時対応を人の介在なしに自動実行する。これによって、ITインフラ部門の運用業務を大幅に効率化することが可能になるのです」と中島氏は説く。


多様なシステムやAIと連携し、
運用業務を自動化する

こうしたITインフラの運用業務を自動化するソリューションとしてレッドハットが提供しているのが、自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」(以下、Ansible)だ(図1)。特徴の1つは、APIによる多様なAI連携やシステム連携やインフラ操作の自動化、が可能なこと。OpenAIやGeminiなどの主要なAIと連携できるだけでなく、オンプレミスで運用するローカルLLMとも連携できる。

図1 Ansibleの利用イメージ

図1 Ansibleの利用イメージ

多様なシステムとの連携を自動化し、パブリック及びローカル環境のAIとも柔軟に連携可能だ。Playbookに定義した処理内容をもとに、人に依存していたさまざまな運用業務を自動化できる

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Ansibleは様々なタスクを実行するための豊富なモジュールを実装している。これをベースに必要な処理をPlaybookに記述することで、人が行っていた設定・運用作業などを自動化する。AnsibleではAI連携をサーバーやネットワークの自動化と同じ1つの自動化として扱うことができる。

「Ansibleを用いると、インフラエンジニアのスキルセットの延長線で、AIをインフラ運用に組み込むことが可能となります。」と中島氏はメリットを述べる。

例えば、サーバーからアラートが上がった場合、担当者は深夜・休日に関わらず即座の対応が求められる。対応手順書に従い、サーバーにログインしてログを確認。必要に応じてサーバーから解析用の情報も収集しなければならない。「Ansibleなら、こうした作業を自動化できるのです。ログの確認や情報収集だけでなく、AIによる解析や絞り込み分析も可能です」(中島氏)。

イベントの原因やそれに応じた対処を定義しておけば、多くの障害対応作業を自動化できる。サーバーのアラートだけでなく、セキュリティー侵害のアラート発生時もこうした自動化処理が可能だ。一刻を争うセキュリティーインシデントの場合は、ネットワークや端末の遮断などを迅速・的確に行い、被害の拡散を防止できる。さらに原因分析や影響範囲調査のための情報収集、ITSMツールやチケット管理ツールへの記録、関係者へのメールやチャットによる連絡など周辺作業も人手を介さずに行える。

ただその一方で、AIにすべてを任せることに懸念を持つ企業もあるだろう。そうしたケースでは「Policy enforcement for AI」を活用すればよい。これは、AIが実行しようとする自動化処理がコンプライアンスやポリシーに準拠しているかどうかを検証する「ガードレール機能」を有するツールだ。適切であれば、自動化が実行され、そうでなければコンプライアンスやポリシーに違反として実行がブロックされる。

また、AIの適用範囲を自由にコントロールできるのもAnsibleを用いたAIOpsの大きなポイントになる。「最初からAIによる本番システムの変更から始める必要はなく、環境非破壊のログの取得と分析などの変更を伴わない作業のみにAIを適用するだけでも十分な効果が上げられます。」と中島氏は語る。

元々Ansibleは大量のサーバーやネットワーク機器からログや設定情報を一括で収集することを得意とする。「単純なログ分析だけでも、Ansibleと組み合わせることで、複数のサーバーログの水平分析や、OS、MW、NWのログを垂直分析するなど自在に分析の自動化が実現できます」と中島氏は続ける。

ITインフラ部門を再定義し、
“攻め”の運用業務が可能に

従来、ITインフラ部門は基盤の安定性を確保する「守りのコストセンター」と位置付けられてきた。しかも手順書に基づく迅速かつ着実な運用が求められ、現場は疲弊している。

「Ansibleを中核とするAIOpsを実現すれば、運用業務の自動化が可能になり、現場の働き方も変えていけます。システムの信頼性を最重要視した自動化によるシステム運用方法『SRE(Site Reliability Engineering)』を実現できる。守りのコストセンターから『攻めのSRE部門』へとITインフラ部門を再定義できるのです」と中島氏は強調する。

Ansibleは単なる自動化ツールではない。インフラ作業をつなげる「標準インターフェース」としての役割を担い、組織内の業務をより高度化することも可能だ(図2)。

図2 Ansibleによる効率化のロードマップ

図2 Ansibleによる効率化のロードマップ

ITインフラ運用業務のタスクやプロセスの効率化に留まらず、イベント駆動型のプロアクティブな運用、さらに「人は何をしたいか」を定義するだけでAIと自動基盤がやるべきことを理解し駆動する自律型ITインフラへと発展する。このロードマップの「プロセスの効率化」を起点とする進め方が効果的だ

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仮想マシンの払い出し、セキュリティーパッチの適用なども自動化可能だ。「ITインフラ領域のAIOpsを起点として、自動化領域を拡大・進化させていくことができるのです。人はより重要な業務に集中し、チーム内でのコラボレーションも加速するでしょう。DXや戦略的なAI活用を支える最適なITインフラの実現に向けた取り組みに注力できます」と中島氏はメリットを述べる。

AI活用に欠かせないLLMにも得意・不得意分野がある。OSや主要なデータベース、クラウドサービス、汎用性の高いハードやソフトなど、学習データが大量に存在し構造化されている領域は得意分野だ。一方、企業が独自に開発したりカスタマイズしたアプリケーション、独自のビジネスロジック、個別具体的な知識や経験に基づく判断など、学習データの数が少なかったり、取り込むのが難しいものはあまり得意ではない。

「AIOpsを始める時はLLMの得意分野を選択し、スモールスタートする。そこから成功事例を積み上げていく。成果を実感しながら、徐々に適用領域を広げていくことが成功のポイントです」(中島氏)

国内でも既に多くの企業がAnsibleによるITインフラ領域のセルフサービス化を実現し、大きな成果を上げている。その最新事例はレッドハットのWebサイトで公開している。

ITインフラ部門のやるべきことは増え、その重要性も増しているにもかかわらず、リソースは限られ、人依存の作業が多い。この分野を自動化することが変革の大きな第一歩になる。レッドハットはAnsibleの提供を通じ、AIOpsによる企業のデジタル変革を継続的に支援していく考えだ。

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