ITインフラSummit 2026 review

〜AIによる業務自動化を実現するITインフラの最適解〜

ITインフラSummit 2026 review〜AIによる業務自動化を実現するITインフラの最適解〜
クラウド基盤最適化 Forum
デル・テクノロジーズ

もうハイパーバイザー“ガチャ”に振り回されない
持続可能なプライベートクラウド基盤のすすめ

ハイパーバイザーのライセンスモデルの変更を端緒とした、ここ2年ほどの市場の混乱は記憶に新しい。既に多くの企業が「次の一手」を模索しているはずだ。このような状況の中、デル・テクノロジーズが提唱するのが、特定の製品に縛られず持続可能性と柔軟性を両立させたプライベートクラウド基盤だ。同社の講演ではこのような「ハイパーバイザーの選択に翻弄されない」インフラを実現するためのポイントが紹介された。

3-TierとHCIの特徴を兼ね備えた
新たなインフラ

デル・テクノロジーズ インフラストラクチャー・ソリューションズ SE統括本部 アドバイザリーシステムズエンジニア 平原 一雄氏

デル・テクノロジーズ
インフラストラクチャー・ソリューションズ
SE統括本部
アドバイザリーシステムズエンジニア
平原 一雄

企業のインフラはこれまで、サーバー・ネットワーク・ストレージを組み合わせる「三層アーキテクチャ(3-Tier)」と、それらを垂直統合した「HCI(ハイパーコンバージドインフラ)」の二つの流れで進化してきた。いずれにも一長一短があり、ユーザー企業はいずれかを選ばなければならなかったわけだ。

三層アーキテクチャは、コンポーネントごとに最適なものを組み合わせる「ベスト・オブ・ブリード」が可能で、柔軟なスケーリングやハイパーバイザーを選ばない点が大きなメリットだ。しかし管理ポイントが多岐にわたるため、運用負荷の増大が課題となっていた。

これに対してHCIは、構成をシンプルにすることでライフサイクル管理を劇的に簡素化できる。その一方で「特定のハイパーバイザーとの密結合」という制約が生まれてしまう。そのため一度HCIを採用すると、別のハイパーバイザーへ移行する際にインフラの再利用が困難になってしまう。これは昨今のライセンス問題において、大きな課題として浮き彫りになった。

「これによって多くのお客様が『次の一手』を真剣に検討されるようになりました。ここで重要なことは、その選択が新たなレガシー(遺産)になってしまわないこと。つまり、インフラの持続性をいかに保つかが重要になるのです」と平原氏は説く。

この要件を満たすために、デル・テクノロジーズが提示しているのが「Dell Private Cloud」だ。このプラットフォームは、三層アーキテクチャが持つ「柔軟性」と、HCIが持つ「運用のシンプルさ」を両立させている。DPCコンピュートノード(PowerEdge)、PowerStoreやPowerFlexなど要件に応じて選択可能なDPCストレージをベースにしながら、ソフトウエアによる高度な自動化を組み合わせることで、特定のハイパーバイザーに固定されない自由な環境を実現できるという(図1)。

「三層アーキテクチャの柔軟性と、HCIのシンプルさをいいとこ取りしたインフラができないか。そんな発想から生まれたのがDell Private Cloudなのです」(平原氏)。

図1 Dell Private Cloudの全体像

図1 Dell Private Cloudの全体像

三層アーキテクチャの柔軟性と、HCIのシンプルさを兼ね備えている。その心臓部ともいえるのが、自動運用を可能にする「Dell Automation Platform」の存在だ

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検証済みのブループリントで
構築を確実に自動実行

Dell Private Cloudの心臓となるのが「Dell Automation Platform」と呼ばれる強力な自動化プラットフォームだ。これは運用の全工程を自動化する「オーケストレーター」を核としているが、ここで重要な役割を果たすのが、どのような作業をどの順番で行うかという「ワークフロー」を定義した「ブループリント」だ。

これは、デル・テクノロジーズが自社で開発・テストを繰り返した、いわば「完成されたワークフロー」。そのためユーザーは、ゼロから自動化プログラムを書く必要がない。主要なハイパーバイザー(Broadcom VMware vSphere、Red Hat OpenShift、Nutanix AHV)に対応したブループリントがあらかじめ用意されており、それを実行するだけで、環境構築から設定までが完結する。今後はMicrosoft Azure Localにも対応する予定だ。

この仕組みにより、導入時の作業時間は劇的に短縮される。例えばハイパーバイザーのクラスタ展開では、手作業で行う場合と比較して最大90%の工数削減が可能。さらに、BIOSやファームウエアのバージョンチェック、設定値の流し込みといった「人間が間違いやすい作業」をプログラムが代行するため、構築の品質が均一化され、初期不良や設定ミスのリスクを最小化できるというメリットもある。デル・テクノロジーズが徹底的にテストした手順書をそのまま実行すればよいため、安心して利用できる。

平原氏はそのイメージを伝えるため、動画によるデモも披露。実際のクラスタ展開が簡単に行えることが示された。

例えばvSphereをクラスタに展開する場合には、事前に設定したJSONファイルを読み込むことで、BIOSやファームウエアのバージョンチェックやアップデート、ESXiのインストール、クラスタ構成、vCenterサーバーへのプラグイン追加までの一連の作業が、自動で確実に行われる。そのために要する時間はわずか3時間。ハードウエアベンダーならではのきめ細かさで、ファームウエアとハイパーバイザーの互換性を確保した、安定したフルスタック環境を提供できるのだ(図2)。

図2 ブループリントを活用したvSphereクラスタの自動デプロイ

図2 ブループリントを活用したvSphereクラスタの自動デプロイ

ブループリントを活用すればvSphereクラスタの自動デプロイがわずか数時間で実行できる

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導入後のDay2運用においても、使い慣れたvCenterのメニューに「Dell Private Cloud」が追加され、ハードウエア管理をシームレスに行うことが可能。 ハードウエア状態の確認、問題発生時のフルスタックでのログ収集、ハードウエアとハイパーバイザーのバージョンアップなどを、単一コンソールで実行できる。

異なるハイパーバイザーへの
リソース移行も容易

ここで注目したいのが「レイトバインディング」というコンセプトだ。ハードウエア自体が特定のソフトウエアに縛られない汎用的な構成であるため、稼働中のハイパーバイザーAのクラスタを縮小し、そこで浮いたノードを別のブループリントを使ってハイパーバイザーBのクラスタへ再投入する、といった運用が可能なのである。

「つまりインフラ構築後にハイパーバイザーを切り替えることが容易になるわけです」と平原氏は話す。今後長期的に使用するハイパーバイザーを決めかねている企業は少なくないが、ハイパーバイザーを切り替えることが容易なのであれば、インフラへの投資を無駄にすることなく、最適解を模索し続けることができるだろう。

さらにもう1つ見逃せないのが、AIアシスタントによる開発支援も実現している点だ。

「独自の運用要件に合わせてブループリントをカスタマイズしたい場合、ブループリントの開発が難しいのではないかという不安を持たれるかもしれません。その場合には、GitHub Copilotと連携してブループリントを作成できる『ブループリントアシスト』をご利用いただけます。これにプロンプトを与えることで、雛形となるブループリントを簡単に生成できるのです。今後はAIエージェント型の機能を提供することも予定しています」(平原氏)。

また保守契約を締結している顧客には、AIを活用した運用監視サービス「AIOps」サービスも提供。インフラの健康状態をスコア化し、性能やキャパシティの問題だけでなく、設定変更に伴うセキュリティリスクなども自動で検知する。問題の予兆を捉えた場合には改善策(アクション)まで提案してくれるため、管理者は迅速な意思決定を行えるようになる。

「ハイパーバイザーのライセンス問題は、多くの企業に『特定のベンダーに依存しすぎることのリスク』を再認識させることになりました。この問題意識に対して、新たな選択肢を提示し、持続可能な次世代プライベートクラウド基盤を提供するのがDell Private Cloudであり、これによってインフラの主導権をユーザーの手に取り戻すことが可能になります。特定の製品の都合に振り回されるのではなく、ビジネスの要件に応じて最適なテクノロジーを選択し、それをシンプルに運用し続ける。これこそが、次世代のプライベートクラウドが目指すべき姿といえるでしょう」と平原氏は指摘した。

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