モダナイゼーションを阻む3つの経営・業務課題とは
思うようにモダナイゼーションを進められない原因は、技術的なことよりも意思決定の部分にあると考えています。外部環境の変化、複雑化によって、ビジネスを支えるシステムがどうあるべきか、的確な意思決定を行えなくなっているのです」。そう話すのはTISの石丸 明氏だ。
TIS株式会社
金融第1事業本部 金融ビジネス推進・営業統括部
金融モダナイゼーション推進室長
石丸 明氏
ここでいう外部環境の変化とは、レガシーシステムのブラックボックス化や保守費の高騰、IT人材の枯渇といった従来の問題にとどまらない。大規模リビルドの失敗事例が増加していることや、急速に発展する生成AIに対する期待と不安など、最近のトレンドも現場を惑わせる要因になっている。
具体的に、現在の企業・組織が直面する経営・業務課題は大きく次の3つにまとめられるという。
1つ目は、「現行システムの全体像が把握できない」ことだ。これにより、改修による影響範囲を特定できず、二の足を踏んでいる。2つ目は「刷新によるリスクの増大」。システムの規模が大きすぎるために、失敗のリスクを許容できなくなっている。そして3つ目は、「何を変え、何を残すべきか分からない」。どこまでを新しいシステムへと刷新し、どこを既存のロジックのまま守るべきかの線引きが難しくなっている。「これらの課題が、企業のモダナイゼーションへの歩みを止めさせている、最大の要因だと当社は考えています」と石丸氏は言う。
10年以上蓄積した経験・ノウハウを基に顧客を支援
このような迷いを払拭し、的確な意思決定によってモダナイゼーションを加速するためには、実績と経験豊富なパートナーと共に取り組むことが肝心だ。
そもそもモダナイゼーションは、一度システムを移行して完了するものではない。「何を変え、何を残すべきか」を的確に見極めるとともに、企業が目指すべき未来の姿を見据えた上で、事業継続性を確保することが最重要ミッションとなる。
この方向性のもと、多くの企業にパートナーとして選ばれているのがTISである。数々の大規模プロジェクトを成功させてきた実績を持ち、中には34万ステップに及ぶ移行案件を29カ月という短期間で完了させたケースもある。大規模障害ゼロも実現しているという。
「過去10年以上にわたり、15社以上のお客様の大規模プロジェクトをご支援してきました。そこで蓄積した経験やノウハウ、技術力を武器にお客様のモダナイゼーションを支援します」と同社の砂山 広行氏は語る。TIS自身も、企業のモダナイゼーション支援を中期経営計画における成長ドライバーの1つに位置付けている。単なる「老朽化システムの入れ替え」を超えた、顧客ビジネスに新たな価値を生むための挑戦と捉えて、戦略的に力を入れているという。
TIS株式会社
金融第1事業本部 金融ビジネス推進・営業統括部
副営業統括部長
砂山 広行氏
同社がモダナイゼーションの軸に据える手法は「リライト」だ。COBOLやPL/Iといったレガシー言語を、変換ツールを用いてJavaへ自動変換する。さらに、リライトによってレガシーシステムをオープン環境へ移行したのち、システムを現行業務にフィットさせて、ビジネス成長の基盤へと継続的に最適化していく。このように、リフト&シフトの全フェーズを通じて伴走型で支援できる点も大きな強みだという。
「リフトで終わってしまうと、得られる価値が限定的になってしまいます。TISは、様々な最新ITソリューションをご提案しながら、お客様と継続的な関係性を築くことで、中長期的なビジネス成長をご支援することを重要視しています」と砂山氏は強調する。
移行時の正確性や処理性能、稼働後の保守性も確保
同社のモダナイゼーション支援サービスを支える中核ソリューションが、リライトツール「Xenlon~神龍(シェンロン)Migrator」(以下、Xenlon)である。プロジェクトで要求される高い変換率や正確性、処理性能などを兼ね備えたTISの独自開発ツールだ。
具体的に、Xenlonは顧客の資産を可視化する「分析ツール」、レガシー言語をJavaに変換する「変換ツール」、変換したJavaを動かす「実行時ライブラリ」の3要素で構成されている(図1)。既存の業務ロジックを一切変えずに移行できる点が大きな特長だ。これにより、「移行したら業務のアウトプットが変わってしまった」というシステム刷新における最大の問題を排除する。国産ツールのため、日本企業のニーズに合わせた柔軟カスタマイズが可能なことや、充実した日本語サポートも特長だ。
図1 Xenlon~神龍(シェンロン)Migrator
業務ロジックではほぼ100%という高い変換率、動作再現の正確性など、多くの強みを持つマイグレーションツール。国産ツールのため、日本企業固有のニーズに応える機能を多く備えている点も特長だ
「また、もう1つXenlonで重視しているのが稼働後の保守性です。変換後のプログラムは、共通化やステップ数削減といったお客様ごとのチューニングを行うことで、将来的なメンテナンス性・保守性を向上しています。当社以外の既存のパートナー様でも保守できるため、運用が容易になるでしょう」と同社の川口 昌宏氏は説明する。
TIS株式会社
産業公共事業本部 産業ビジネス事業部 副事業部長 兼
産業モダナイゼーションビジネス部長
川口 昌宏氏
プログラム言語の変換はもちろん、データベース、帳票製品、ジョブ制御などのアーキテクチャ全体をオープン基盤に乗せ換えるといった難しいミッションにも対応可能だ(図2)。TISは独立系SIerのため、基盤部分からすべてを扱い、オープン基盤への移行をワンストップで支援できる。この点は、レガシーマイグレーション専門ベンダーにない同社ならではの強みといえるだろう。
「例えば、当社の伴走支援では『どの基盤上に持っていかなければならない』といった制約はありません。お客様が標準とする基盤やニーズを聞いた上で、最適な基盤上に移行することが可能です。特に近年はパブリッククラウドを意識したクラウドリフトのご相談が主流になっていますが、このようなご相談にも柔軟に対応可能です」(川口氏)
より網羅的なサービスを実現するため、他ベンターとの連携も強化している。加えて、先行してモダナイゼーションを成功させた顧客企業との協業に基づき、「社内稟議の通し方」などの現場の生の声を提供するサービスも展開しているという。
TISのようなパートナーの支援があれば、新たな基盤へのリフトを確実に遂行できるのはもちろん、変化に迅速に対応できる仕組みへのシフトも容易になるだろう。ビジネス価値の最大化に向けて舵を切りたい企業は、一度相談してみることをお勧めする。





