

2025年の崖に象徴されるように、レガシー・モダナイゼーションの必要性は以前から指摘されてきた。しかし、今なおメインフレームを使い続けている企業は少なくない。
メインフレームは信頼性・安定性の非常に高い基盤インフラだ。長年にわたりビジネスを支えてきた。高コスト体質やエンジニアの高齢化によるスキルセット不足などの課題もあるが、一番の問題は時代遅れなメインフレーム・アプリケーションである。これがイノベーションの妨げとなっている。
レガシーシステムはブラックボックス化しており、改修や新技術の対応も難しい。なかなか手を付けられなかったが、生成AIの登場で"潮目"が大きく変わりつつあるという。「生成AIがモダナイゼーションへの道のりを加速し、リスクを軽減するための新たな視点や機会として着目されています」とアバナードの中野 恭秀氏は語る。
クラウドの利用が広がりを見せ、テクノロジーやエンジニアの"世代交代"も進んだ。デジタル化を背景に、経営サイドもモダナイゼーションの必要性を痛感するようになった。ハイパースケーラー各社も生成AIを活用し、モダナイゼーション事業を積極的に推進することを表明している。「機は熟しています。今こそ、生成AIとクラウドの力を活用して、モダナイゼーションの実現を加速する時です」と中野氏は強調する。
モダナイゼーションの第一歩は、レガシーコードの理解から始まる。コードは数十年前に書かれ、当時を知るエンジニアの多くは現場を離れている。ただ、生成AIを活用すれば、ブラックボックス化したレガシーコードの"読み解き"させることもできる。ドキュメントを生成し、ビジネスルールを把握し、既存コードからユーザーストーリーを作成するわけだ。移行先の新基盤にはクラウドを採用することで、脱メインフレームを実現できるだろう。
しかし、生成AIによるアプリケーション開発はスタートしたばかり。そのノウハウを持つ人もほとんどいないのが実情だ。
この課題を解決すべく、アバナードは生成AIとクラウドを活用したモダナイゼーションを幅広く支援している。同社はコンサルティングファーム大手アクセンチュアの戦略的グループ企業。AIの可能性に早くから着目し、モダナイゼーションにおける最適なAI活用のプロセスとノウハウを持つ。
アバナードのモダナイゼーションプロセスでは、まずアプリケーションとデータの依存関係を分析し、レガシーコードを見える化する(図1)。「モダナイゼーションにおいて、現行把握・現行システムのドキュメントは重要な情報です。これまでは有識者のノウハウに頼らざるを得ない領域でしたが、AIの活用により、作業を効率化し、精度も向上します」と中野氏は話す。その情報をAIにインプットして処理設計書、機能設計書、業務設計書を作成し、現行把握に必要なドキュメント化を進めていく。
図1 アバナードのモダナイゼーションプロセス
すべてのプロセスに生成AIを有効活用する。レガシーコードとビジネスロジックの理解が進み、ユーザーストーリー基づくシステム機能と要件の把握も適正化できる。テスト工数の削減とテスト品質の向上も可能になる
次にコードのリファクタリングと最適化、コードレビューなどを行い、テストケースを作成。テスト実施後に問題なければクラウドへの移行を実施する。稼働後もシステムをモニタリングし、履歴データの分析などを行う。「生成AI及びその関連製品を活用することで、一連の作業を大幅に効率化・省力化することができるのです」と中野氏は説明する。
多くの支援実績の中で培った"失敗しない"ための知見も大きな強みだ。例えば、生成AIによるコード変換はハルシネーションリスクへの考慮が不可欠だという。「生成AIによるコード変換は、ハルシネーションが数%は発生します」と中野氏は指摘する。
この数%が曲者だ。100本のプログラムに対してコード変換を行った場合、数本のプログラムに影響が出るというわけではない。100本の中にそれぞれ数%ずつハルシネーションが紛れ込むリスクがある。これを探し出すだけでも大変な手間とコストがかかり、品質の担保が難しくなる。「大規模なコードベースの解析や自動変換を生成AI単独で行うのはリスクが大きい。コード移行ツールとの組み合わせが、現状ではベストプラクティスです」と中野氏は提言する。
クラウドの特性も理解する必要がある。クラウドはネットワークを介して利用するため、モダナイズ後のシステムが分散していると、処理遅延などでタイムラグが発生することがある。数ms(ミリセック)の遅延でも致命的なワークロードもある。「物理的な構成環境、ネットワーク帯域なども考える必要がある」と中野氏は続ける。
こうした知見を生かし、アバナードはコンサルティングファームとして中立的な立場で活動する。アバナード自身はプロダクトの開発や販売は行っていない。モダナイゼーションの手段として、ベンダーのプロダクトを活用する。「各ベンダーのプロダクトの特性をよく分かっています。ベンダーニュートラルな立場で目利きし、お客様にとって最適な提案をします」と中野氏は話す。
アバナードの支援を受けた多くの企業がモダナイゼーションで大きな成果を上げている。あるグローバル大手金融機関はリバースエンジニアリングによるメインフレーム環境のモダナイゼーションを実施。AIの活用で要件生成の労力を50%削減し、テストケース作成の自動化によりテスト効率も30%向上した。プロジェクトコストも200万ドル削減することに成功したという。
ただ、同社がAI至上主義というわけではない。AIの活用において、アバナードが最も大切にしているのは「人ファースト」という考えだ(図2)。AIは生産性向上やコスト削減、自動化を推進するだけでなく、従来は活躍の場が限られていた人たちの才能を引き出す力がある。AI活用の根底には、こうした"哲学"がある。
図2 アバナードの「人ファースト」戦略
AIやクラウドなどの先端技術は生産性向上や自動化を促進するだけでなく、人の可能性を高めてくれる。アバナードは戦略的なガバナンスや推進組織体制、データプラットフォームなどを整備し、「人ファースト」のAI活用を支援する
「モダナイゼーションはAIファースト、クラウドファーストで推進しますが、それは人の能力を最大限に引き出し、人をエンパワーするため。すべては人ファーストのためなのです」と中野氏は主張する。
この一環として、モダナイゼーションを検討している企業向けのワークショップも提供している。アバナードのモダナイゼーションコンサルタントとお客様がディスカッションを重ね、モダナイゼーションの必要性、進むべき方向性、実施体制などについて理解を深められる。CxOクラスや部門長以上が対象で、2025年12月末実施分まで無償で参加できる。もしモダナイゼーションに課題を抱えているなら利用してもよいだろう。
