

DXを推進するためには、デジタル技術を活用した新製品・サービスの立ち上げや、社内システムのモダナイゼーションを進めていく必要がある。生成AIなどのテクノロジーもフル活用しながら、これまで以上のスピードで継続的な開発・リリースを行っていくことが、現在のシステム開発チームに求められている。
「一方、現在のアプリケーション/ソフトウエアはデータベースやERP、CRMなどの様々な技術要素が統合されており、複雑性が急速に高まっています。この状況のもと、ソフトウエア品質をどのように担保するかが各社の重要課題になっています」とTricentis Japanの東本 成紀氏は語る。
Tricentisは品質保証ソリューションを提供するベンダーとして、2007年に創業した企業。世界3000社以上の顧客を持つほか、同社製品の資格認定者は40万人を超える、テスト自動化分野のリーディングカンパニーの1社だ。
品質保証とテストに充てられるIT予算はかなりの割合に上っている。プロジェクトで費やされる時間も、テストプロセスが最も多いという。
「テストの効率化が必要ですが、現実には『何をテストすべきか』を把握できていないため、すべてのオブジェクトをテストするという非効率なことが行われています。テストに時間がかかれば当然、リリースも遅延します。とはいえ、むやみにテストを簡略化すれば欠陥やエラーを含んだコードが残ってしまう。このようにトレードオフの関係にある効率・スピードとソフトウエア品質のバランスをどのようにとるかが、難しい問題になっているのです」と東本氏は話す。
この状況を招いている要因の1つが、人手に依存したテストプロセスである。多くの組織で、属人的な経験・分析に基づく運用が常態化しており、自動化も部分的にとどまっている。
テストは「管理」「実施」「最適化」を繰り返す継続的なサイクルであり、これを効率化するためには品質工学の活用やプロセスの自動化が不可欠だ。
「そこでTricentisが提唱しているのが『品質インテリジェンス』という考え方です」と東本氏は紹介する。コードのカバレッジやビジネス要件の変更、テスト実行による影響などを継続的に確認することで、テストプロセスおよびソフトウエア品質を最適化するアプローチだ。
この考え方を用いることで、テストの抜け漏れを防ぎ、バグ/エラー発生のリスクを低減できる。また、変更によって影響を受けるコードにテストを集中させることで、テストの効率とスピードも高められるという。
「アプリケーション品質を定量的に測定できるようになるため、データに基づく意思決定も容易になります。高いソフトウエア品質を維持することでユーザー満足度を高められるほか、予測に基づくプロアクティブな障害対応も実現できるようになるでしょう」と東本氏は説明する(図1)。
図1 品質インテリジェンス
効率化やスピードアップ、リスク低減などテストプロセスの最適化を実現するアプローチ。データに基づく意思決定が容易になるほか、障害に対するプロアクティブな対応も可能になる
品質インテリジェンスを実現する上では、これまでとは異なるメトリクスを得る必要がある。
例えば、従来はテスト結果や障害報告数など、分断された静的なメトリクスを特定ステージに限定して適用しており、その解釈もプロジェクトごとに異なるのが一般的だった。一方、品質インテリジェンスでは、ソフトウエア品質のあらゆる側面のメトリクスをリアルタイムに可視化し、それらを相関的に捉えることが肝心になる。「同時に、その解釈には、できるだけ人の判断が入らないようにすることがポイントです」と東本氏は続ける。
そこでTricentisは、これらの点を踏まえた品質インテリジェンスソリューションを網羅的に提供している。
テスト最適化に向けては、SAP製品に特化した変更影響分析を行う「Tricentis LiveCompare」、ソフトウエアQAインテリジェンスを提供する「Tricentis SeaLights」を用意。テスト自動化の領域ではエンタープライズアプリケーションのE2Eテストツール「Tricentis Tosca」や製品開発チーム向けのWebテストツール「Testim」、さらにこれらと連携する生成AIアシスタントなどをラインアップしている。
「Tricentisは、高度な品質保証プロセスをお客様のシステム開発プロセスに組み込んでいただくために、長年にわたり品質に対する包括的なアプローチを行ってきました。AI/機械学習によって自動的・継続的な最適化を実現するツールも用意しているほか、Web、デスクトップアプリはもちろん、モバイルやAPI、エンタープライズアプリまで、幅広いシステムに対応可能なことも強みです」と東本氏は紹介する。
ユーザーコミュニティを通じて収集した要望を、製品に積極的に反映している点も特長だ。また、ソリューションの導入・活用に当たって支援が必要な顧客には、各種サポートサービスも用意している。
「品質インテリジェンスの取り組みや『品質保証DX』は一朝一夕に実現できるものではありません。一歩ずつ段階的に高度化していくことをお勧めしています」と東本氏(図2)。まずテスト管理の中央化を図ったのち、自動化や影響分析、レポーティングなどを行う。徐々にその仕組みを拡張していき、最終段階として予測に基づくエラー排除などを実施するといった進め方がその1例(図2)。ほかにも、顧客ごとに最適化した進め方で、品質インテリジェンスの実現をサポートすることが可能だという。
図2 品質保証DXに対するアプローチ
段階的に進めることがポイントだ。なお、この進め方はあくまで一例で、顧客ごとのニーズに合わせた進め方をTricentisは支援している
ソフトウエア開発プロセス、中でもテストプロセスの高度化は今やあらゆる企業の命題といえる。品質インテリジェンスのアプローチは、その取り組みを進める上で重要な価値を提供するものといえそうだ。
