

カナダに本拠を置き、180の国と地域で事業を展開するOpenTextは、ビジネスに不可欠なデジタルコンテンツの管理やプロセスの自動化、AIツールなどを提供する独立系ソフトウエアベンダーである。
近年はAI時代の情報活用のあり方を再定義するため、コンテンツ管理プラットフォーム「OpenText Content Management」に対話型の生成AI「OpenText Content Aviator」を統合。より高度な情報管理・活用を実現するためのビジョンを示している。
「生成AIの価値を引き出すためには、トレーニングされたLLM(大規模言語モデル)と社内に散在するコンテンツをどう組み合わせて使うかを考えなくてはいけません。見積書や請求書、報告書、技術文書や営業資料といったコンテンツを、価値ある情報に変えることが重要です」とOpenTextの西野 寛史氏は話す(図1)。
図1 LLMとコンテンツの組み合わせで価値を生み出す
生成AIの価値は、トレーニングされたLLMと企業独自のコンテンツの組み合わせで決まる。価値を最大化するためには、コンテンツ管理のガバナンスが肝心だ
そのためのアプローチとして同社は、適用業務を洗い出す「ユースケースの選定」、様々な落とし穴を回避するための「情報ガバナンス」、実用的な解釈を導き出す「業務との統合」という3つのポイントを提唱している。
1つ目のユースケースの選定では、少し視点を変えることが肝心だという。
AI活用のユースケースは一般的に技術視点、または業務課題視点で選定されることが多い。しかし、前者では技術選定に偏って、業務ニーズと乖離するリスクがある。後者ではAIが解決できない課題も含まれてくるため、導入の議論が長引きがちだ。PoC(概念実証)のお試しフェーズが延々続く要因の1つもここにあるという。
「そこで我々は、第三の選択肢として『コンテンツ視点』を提案しています。保有するコンテンツを軸にして、AI/生成AIを適用する方法を考えていくアプローチです」(西野氏)。実在するコンテンツが前提になるため実現可能性が高く、現実的なユースケースを洗い出しやすいという。
例えば、販売・営業の現場には、社内報告資料や提案書、議事録などが大量に存在している。それらをOpenText Content Managementで管理するだけで、OpenText Content Aviatorを用いて必要な情報や提案方法に関するインサイトを素早く得られるようになる。
「『退職した担当者から顧客を引き継いだものの、どこに情報があるか分からない』といったケースは多いと思います。そのような課題を解決する仕組みを構築できます」と西野氏は紹介する。
2つ目の「情報ガバナンス」は生成AIの価値を引き出し、かつ安全性を高める上で不可欠な要素といえる。コンテンツを一元的に管理するとともに、古いコンテンツの削除やメタデータの付与、ユーザーごとのアクセス制御などを徹底することが肝心だ。
同社のOpenText Content Managementはそのための機能を網羅的に備えている。例えば、記録管理、バージョン管理機能を使うことで、古いファイルや作成時期が分からないファイルを発見して修正・削除できる。これにより、生成AIの回答へのノイズ混入を防ぐことが可能になる。
「メタデータを自動付与することもできます。メタデータを基に製品、取引、顧客といった軸で部分集合を形成すれば、一層、回答精度を高めることができるでしょう」と西野氏は付け加える。メタデータ付与はコンテンツ管理において非常に重要な取り組みだが、人手で行うのは現実的ではない。自動で付与できることは、OpenText Content Managementを活用する大きなメリットといえるだろう。
さらに情報セキュリティーの強化も必須だ。ユーザーごとの職務や権限と生成AIが連携していなければ、本来開示するべきではない情報をユーザーに伝えてしまうリスクが生じる。これについては強力なアクセス権限管理機能によって適切に対処することが可能だ。
そして3つ目の「業務との統合」は、生成AIの精度を高める取り組みといえる。具体的には、コンテンツに業務のコンテクスト(文脈)を付与することで、各コンテンツが「いつ」「なんのために」「どのような経緯で」作成されたものなのかを可視化するのである。
「生成AIは、文脈を持たないコンテンツを正しく判断できません。しかし、特に日本企業のITシステムではコンテンツがクラウドストレージやファイルサーバーなどに存在しており、どのアプリで、どのような目的で使われるコンテンツなのかの情報が欠けていることが多いのです」(西野氏)
OpenText Content Managementでは、業務アプリや関連する文書などの情報を自動でコンテンツとひも付けてコンテクストを付与する。これにより、生成AIは整理されたコンテンツやデータソースに基づいた高精度な回答を行えるようになるという。
OpenText Content Management(図2)は今後も継続的に進化していく。直近では、マルチテナント型SaaS「OpenText Core Digital Asset Management」をリリースした。これは、画像や動画、音声などのメディアコンテンツを一元的に管理・配信するDAM(デジタル資産管理)ソリューションだ。マーケティング領域における資産・著作権管理、生産性向上などに寄与するという。
図2 OpenTextのコンテンツ管理プラットフォーム
(OpenText Content Management)
生成AIの回答精度やガバナンス、セキュリティーを向上させるため必要な「記録管理」「バージョン管理」「一元管理」「メタデータ管理」「権限管理」などの機能を網羅的に備えている
生成AIの活用促進に向けて、企業・組織は情報資産の一元管理とガバナンス、セキュリティー強化を真剣に考える必要がある。OpenText Content Managementは、その際の有力な選択肢になるだろう。
