

DXにおいて最も大きな障壁となっているのがレガシーシステムの存在だ。システム老朽化による保守・運用コストの増大、COBOLなどのプログラミング言語を扱える人材不足は、今後の企業成長を大きく阻害する。そこで日本企業では既存資産を生かしながら最新のテクノロジーに適合したシステムへ置き換えるモダナイゼーションの需要が拡大している。
しかし日本ではモダナイゼーションに不可欠なIT人材不足が深刻化しているのが実情だ。経産省の試算によれば、2030年に向けて約45万人、需要の伸びによっては80万人ものエンジニアが不足するという。そこで注目されているのが、若手のIT人材が多く地政学的にも不安定要素の少ないベトナムである。
「ベトナムには現在、ITエンジニアが56万人以上います。さらに毎年6万人の技術者がIT業界に参入しており、年齢別の構成比率でも20代と30代が80%を占めています。このため2030年以降も日本は長期的なスパンでベトナムのIT人材を活用することが可能です」と語るのは、FPTジャパンホールディングスの亀山 彰康氏だ。
1988年に創業したFPTグループは関連会社を含めて8万人以上の従業員を擁し、システム開発、通信事業、人工知能(AI)サービスなどを幅広く手掛けている。その中核子会社であるFPTソフトウェアは世界の中で日本市場での売り上げが4割を占めており、グループ全体の成長を牽引している。
「FPTソフトウェアはレガシーモダナイゼーションにおいて200件以上のプロジェクト経験があります。多様な移行実装方法と効果的な計画を支援するコンサルティング機能、自社で開発・改善を重ねてきたアセスメントや豊富なツール群を持ち、日本企業のDX推進を一貫したサービスで支援できるのが強みです」と亀山氏は言う。
中でも特長的なのがレガシーモダナイゼーションに不可欠なIT人材の育成だ。FPTグループはベトナムで小学校から大学まで一貫した教育機関を持ち、ITやAIなどの先端技術のほか日本語教育にも注力。全生徒数は17万人以上を数える。FPT大学は毎年約1万人が卒業するベトナム有数の私立大学で、そのうち約3割がFPTグループに入社。高度な専門知識と実践的なスキル、日本語能力を兼ね備えた人材がFPTグループに集うことで、日本のビジネスを深く理解し、共に成長できるITパートナーとしての信頼を勝ち取っている。
「現在日本国内にニアショア開発センターを4拠点を持ち、オフショアだけでは解決できない様々なニーズに応えることができます。またFPTソフトウェアはプロジェクトの特性に合わせて必要なスキルドパーソンを各国から調達してコスト低減を図るといった、ニアショアとオフショアと組み合わせたベストショアモデルを推奨しています」(亀山氏)
日本企業のレガシーシステムには仕様書が残されておらず、ノウハウが属人化しているケースが少なくない。既に稼働中のオープンシステムとの連携も難しく、「モダナイゼーションに向けた案件内容が非常に複雑化している」と亀山氏は指摘する。
FPTソフトウェアでは「レガシーシステム」「データベース」「オープン系システム」「グループウエア」と4つのマイグレーションサービスを手掛けているが、案件の大規模化・複雑化によって、これらを適宜組み合わせて実施するケースが増えているという。
そこで同社はレガシーモダナイゼーションの作業量を減らし、スピードと精度を大幅に向上する生成AIツール「xMainframe」や、AIを活用した設計・開発アシスタントなどのツール群を提供することで、効率的かつシームレスなモダナイズを支援。さらに、顧客のDX構想やデジタル戦略、IT組織やガバナンスの設計・構築も含めた上流コンサルティングも強化して、日本企業のDXをEnd to Endでカバーする(図1)。
図1 FPTが提供するレガシーモダナイゼーションサービス
FPTは数多くのプロジェクトで蓄積した豊富なノウハウと人材力、自社開発ツールや方法論をベースに、コンサルティングから開発、保守・運用まで、モダナイゼーションをEnd to Endで支援している
「当社はマイグレーションを効率化する自社ツールを多数持っていますが、世の中では多くのベンダーがそれぞれ特徴を持ったツールを開発されています。そこで自社製にこだわることなく、他社の良いツールも組み合わせて使うことがお客様のROIを最大化するという観点から、様々なパートナー企業とのアライアンス強化や協働プロジェクトなども積極的に行っています」(亀山氏)
レガシーモダナイゼーションが進む一方で、メインフレームによるビジネス継続に向けた人材不足に悩む企業も多い。そこには人材トランスフォーメーションで対応する(図2)。
図2 FPTが展開するIT人材不足への対応策
現在在籍中のリタイアが迫る人材のスキルとノウハウを継承。ラボ型体制の構築でマイグレーションと現行システムの保守業務を同時に実施するほか、マイグレーション後も新システムの保守やDXの推進を継続的に行えるようにしていく
例えば「メインフレームの技術者がいない」「仕様書がない」といった課題には、メインフレームの設計者(上流工程担当)と開発者(下流工程担当)を供給しつつ、リタイアが迫る顧客内有識者のノウハウをAIも活用して早期に可視化・継承していく。
また「大規模システムが混在し、移行方法が整理できない」「脱ホストの移行方針が決まらない」といった課題には、有識者のノウハウ継承計画を踏まえ、現行システムの保守とレガシーマイグレーション計画を立案。ラボ型体制を構築することで現行システムの保守業務とレガシーマイグレーションを同時に実施し、マイグレーション後も新システムの保守やDXの推進を継続的に行えるようにしていく。
「こうした人材育成に向け、当社はベトナムでCOBOLアカデミーという教育プログラムを実施しており、COBOLコーディングや日本語での設計書の書き方、お客様企業の業務知識などを教えています。実際にCOBOLアカデミー修了者数十名が、お客様の現行システムの保守を実施しています」(亀山氏)
次なる成長に向けたAI戦略も加速させている。ベトナム・クイニョンにAIのデータセンターを設立。NVIDIAとも戦略的パートナーシップを締結し、高性能・柔軟性・スケーラビリティを備えたエンタープライズ向けGPUクラウドサービスを展開中だ。
人材面では、データサイエンティスト、データアナリスト、プログラマーなどのAI人材をグローバルで育成し、日本企業のAI戦略にも役立てていくという。
レガシーシステムのモダナイゼーションから先端のAI活用まで、日本企業のあらゆるニーズに迅速に応える人材とサービスを提供するFPTソフトウェア。今後もIT人材不足に悩む日本企業を下支えしていく考えだ。
