特別講演
アイレット
「現場の知恵」を起点にDXを加速!
不動産・製造業での生成AI活用最前線
平野 健介 氏
アイレット
執行役員/アジャイル事業部 事業部長
生成AIの導入で成果を上げる企業には共通点がある。現場の課題を熟知した担当者のアイデアとAIの処理能力を組み合わせることだ。AWS活用に強みを持つアイレット 平野健介氏は、同社が支援した不動産と製造業の2つの企業の事例に言及し、AI活用の実践的なヒントを語った。
月5000件の物件情報を自動処理
不動産仕入れ業務のAI活用
まず平野氏が紹介したのは、不動産投資を中心に事業を展開するベルテックスの事例だ。同社は仕入れ業務に大きな課題を抱えていた。毎月約5000件もの物件情報がメールで届くが、画像やPDFなどフォーマットはバラバラであり、担当者が一件ずつ目視で確認し、Excelに手入力していた。この課題に対し、同社はアイレットの支援の下でAI OCR(※1)とAmazon Bedrock(※2)を組み合わせたシステムを構築し、物件情報を自動で読み取りJSONデータに構造化してSalesforceへ連携する仕組みを実現。生成AIを組み込むことでフォーマットの揺れがある情報からも必要なデータを高精度で抽出できるようになった。
- ※1 画像やPDFに含まれる文字情報をAIで読み取り、テキストデータ化する技術
- ※2 AWSが提供する生成AI基盤サービス
「物件情報をメール添付で取得する既存のフローを変えずにこの仕組みを構築できた」と平野氏は語る。開発期間はわずか2〜3カ月。AWSのマネージドサービスを最大限に活用したサーバーレス構成により、短期開発と低コスト運用を両立している。
平野氏は「最大の成果は、担当者のリソースを単純作業でなく創造的な業務に振り向けることができた点」だと強調する。具体的には、顧客への提案やエリア分析といった付加価値の高い業務に注力できるようになった。
データ可視化からAI検品まで
製造現場を支えるAWS活用
続いて平野氏が紹介したのは、三菱マテリアル加工事業カンパニーの事例だ。同社は、工場内に点在する膨大なデータの活用に課題を抱えていた。そこで、月間約20億レコードにも及ぶ稼働データをリアルタイムに可視化するため、Amazon S3, AWS IoT Core(※3)と Amazon Data Firehose(※3)を活用し、分析用データの蓄積・連携基盤を構築。これにより工場の「今」をクラウドで一元管理し、リアルタイムなモニタリングとスムーズなデータ分析を可能にした。
- ※3 AWSが提供するIoTデータの収集から可視化、転送までを担うサービス群
この他、近年取り組んでいるのがAIによる検品業務の効率化だ。製造現場では大量の部品を数える単純作業が発生するが、従来は作業員が目視でカウントを行っていた。これは作業員の精神的な負担も大きく、ヒューマンエラーのリスクも拭えない。
この課題に対し、物体検出アルゴリズム「YOLO」を採用した独自のAIモデルを開発。スマートフォンで撮影するだけで瞬時にカウントを完了できる仕組みを構築した。本システムはサーバーレスで構築されており、高価な専用機器を必要とせず、手元のスマホだけでDXを実現。作業負担の軽減に加え、カウント精度の安定化や業務効率の向上といった効果を現場にもたらしている。
紙もデジタルも一元管理
AIでWikiを自動生成する新発想
アイレットでは、これらの経験を踏まえた様々なソリューションを開発している。例えば製造業向けには、手が塞がってPCやタブレットを操作しにくい現場作業者のために、音声で生成AIとやり取りしながらIoT機器のエラーを解決する仕組みを提供している。
また、業種を問わない汎用的なソリューションでは、「書類からWikiを自動生成するシステム」がある。電子データやスキャンした紙の書類をクラウド(AWS)に送信すると、その内容を生成AIが中身を解析して、その概要のWikiを自動生成するというものだ。さらにそのWikiに基づいた内容の質問もチャットで行うことができ、回答には参考となる元資料へのリンクを付与することで、詳細を確認できるためハルシネーションの不安も解消できる。
最後に平野氏は、「本質は作業のAI化ではなく、それによってビジネス価値を最大化すること」と語り、アイレットが目指すのは、お客様に寄り添い、現場の知恵と生成AIをうまく融合することで、企業の真のDX実現を支援していくことだと強調した。
アイレット
