特別講演
プレイド
AI時代の競争力の源泉
「顧客コンテクストデータ」
牧野 祐己 氏
プレイド
CTO Office, Data Mind CTO
昨今、多くの企業で生成AIの導入が本格化する中、活用が想定ほど進まないという現状も散見される。そうした中で、「生成AI導入成功の鍵を握るのは『顧客コンテクストデータ』である」と指摘するのがプレイドの牧野祐己氏だ。
この「顧客コンテクストデータ」は、サービスや商品を「求めている理由」や「目的」「過去の行動」など様々なものが含まれる。例えばホテル予約でも、ビジネス目的の顧客と、子連れの顧客では文脈が全く異なる。このように文脈が違えば、宿泊予約サービス側も提案内容を変える必要がある。
だが、このようなデータの活用は決して簡単ではない。その代表的な課題が、社内の様々な部署やシステムにデータが散在するデータのサイロ化である。データの蓄積自体は「AI Ready」なシステム環境の実現に向けて極めて重要だが、それだけでは顧客体験の向上に直結するわけではないのだ。
体験を劇的に変える
ヒアリング不要のAIエージェント
そこで牧野氏が訴えるのが、企業が蓄積してきたデータを顧客コンテクストデータとしてAIが理解できる形に統合・変換し、活用できるソリューションの存在だ。
例えば映像配信サービスでユーザーにコンテンツを案内するAIエージェントがあるとしよう。一般的なAIエージェントはユーザーへヒアリングを重ねて提案を行うが、本当に好みのものを提案できなかったり、視聴済みの作品を提案する恐れもある。だが、もしユーザーの嗜好や傾向を文脈として持っていれば、ユーザーにヒアリングせずとも最適な内容を提案でき、ユーザー体験も大きく向上する。
さらに、顧客コンテクストデータはユーザー向けサービスのAIエージェントだけでなく、企業の戦略策定エージェントにも活用できる。映像配信サービスを例に取ると、作品から「迫力の映像」「冒険物」といったデータを抽出し、コンテンツのDNAを可視化。そこに顧客コンテクストデータを掛け合わせ分析し、コンテンツ施策立案や顧客層ごとの事業インパクト予測などが可能になると牧野氏は説明する。
顧客理解から事業戦略までを
貫くプラットフォーム
こうした顧客コンテクストデータを自動理解して活用するAIソリューションとして、プレイドが開発・提供するのが「Context Lake」だ。多様な構造化・非構造化データを含むデータウエアハウスの上位レイヤーにこのContext Lakeを配置し、そこからAIエージェント活用やデータ可視化・分析につなげていく。
プレイドではContext Lakeによるコンテクストデータを活用できる2つの機能を提供している。1つ目が、顧客を深く理解したAIエージェントを自社のサービスに組み込める「Context Agent」である。AIが顧客のアクションへのフォローアップからコミュニケーションを開始でき、その人の文脈を捉えた体験を提供できる。
もう1つが、顧客軸で事業環境を可視化し戦略策定支援を行う「Context Cube」である。まずデータを売上・利益といった事業指標で可視化し、次にそれを顧客軸で分解。さらに「なぜその行動をとったのか」というコンテクスト軸で深掘りする。この3段階のアプローチを採用することで、高LTV顧客群の購入製品内訳や購入理由など、高度な分析が可能になる。Context Cubeでは、蓄積されたデータから事業戦略として実行すべきことを可視化でき、経営の意思決定や商品開発、マーケティングなど様々な業務に応用できる。
最後に牧野氏は「まず顧客コンテクストデータをしっかり作り、コンテクスト軸でデータ分断を解消すること。そして、そのデータを人が理解できるようにすることが非常に重要。こうした仕組みによって企業の持続的な競争力強化と成長を実現できる」と締めくくった。
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