Generative AI Conference REVIEW
Generative AI Conference REVIEW

パーソルワークスイッチコンサルティング

BPMNを生かしたAIエージェント導入
失敗から生まれた成功モデルとは

大嶋 利生 氏

大嶋 利生

パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社
テクノロジーコンサルティング事業部
エンタープライズビジネス統括部 部長

人材事業国内大手であるパーソルグループにてビジネスコンサルティング事業を手掛けるパーソルワークスイッチコンサルティング。講演では同社の大嶋利生氏が登壇し、「AIエージェント導入の成功と失敗を分ける要因」というテーマを、実際に同社のプロジェクトでの経験を踏まえて解説した。

大嶋氏によると、AIエージェント導入の失敗は「言語化」「要件」「過剰な期待」「整合性」という4つのキーワードから振り返ることができるという。まず、前者2つについては、業務部門は暗黙知を言語化できないためにAIエージェントで実現したいことを要件としてうまく伝えられず、対するエンジニアも業務自体の知識がないため、暗黙知の部分を深掘りができず業務部門の真のニーズを要件に落とし込めないという課題がある。

「過剰な期待」については、生成AIは「一見すると良さそうなもの」を即座につくれるため、逆に期待値を高めすぎてその後のハードルを上げてしまう側面がある。4つ目の「整合性」は全体で見たときの完成度の視点だ。AIエージェントは細かい機能が集合してできる存在であるため、1つひとつが完成度60%の「そこそこのもの」であったとしても、それが組み合わさった際に実用性を欠いた品質になりがちだという。

人を中心とした業務を設計し
継続的改善の仕組みを管理する

大嶋氏は自社で直面した課題を踏まえ、AIエージェント導入の成功要因における重要なポイントとして「転換」「改善」「管理」の3つを提言する。

1つ目の「転換」とは、人を中心とした上でヒトとAIが協働する設計への転換である。ロボットやAIのアウトプットを人がどう受け取れば全体のパフォーマンスを最大化できるかを細部まで設計する。そのために、業務部門への要件ヒアリングでは、要件や業務内容を聞くのでなく、人の真意や価値観、言葉の意味・意図を深掘りすることがポイントだという。

2つ目の「改善」については、一度AIエージェントをつくって終わりではなく、エキスパートからのフィードバックやプロセスマイニングの仕組みを通じて継続的な改善を実行することが重要だという。

3つ目の「管理」は、この改善活動そのものを管理することである。BPMN(業務プロセスモデリング表記法)を活用し、既存の業務プロセスとヒトとAIの役割を整理して現状とあるべき姿のイメージを作成し、例えば四半期単位など期間を区切ってPDCAを実行していく。

失敗要因とその対処法
パーソルワークスイッチコンサルティング自身の例から見るAIエージェント導入の失敗要因とその対処法

コール業務を変えた6つの
AIエージェントと改善サイクル

次に大嶋氏は、同社のAIエージェント活用および改善事例を紹介した。同社ではインサイドセールス業務にてコールの質向上と業務効率化に向けて6つのAIエージェントを導入。コール前では企業情報の分析・調査・トークスクリプト作成を、コール後では会話内容の分析・改善のアドバイス・商談担当者への引き継ぎ情報の作成をAIエージェントが担う。このアプリケーションはUiPathのRPA機能と画面開発機能で構築されている。

特徴的なのは改善の仕組みが組み込まれていることだ。アプリケーションにはAIのアウトプットに対するフィードバックを送る機能が用意され、プロンプト改善に利用される。またUiPath Maestroを活用することで、このAIエージェントを組み込んだ業務プロセスをデータフローで示し、ボトルネックになっている部分をヒートマップで可視化できるため、改善点を抽出しやすくなる。

この同社の取り組みの結果、コール担当者の業務効率向上のほか、AIエージェントの的確な情報収集による質の高いコールの実現、コールの準備時間や内容整理の時間短縮など数多くの成果を挙げていると大嶋氏は語る。最後に「AIエージェント成功のためには、人を中心とした設計を前提に、エージェントそのものの改善とプロセス全体の改善の仕組みを構築し、それを継続的に実施していくことこそが鍵となる」と総括した。

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