日経ビジネスオンラインスペシャル

COLUMN2019.11.22

時計の専門家は時計をどう選ぶのか? プロが自腹で買った本気時計

100のウンチクよりも欲しい衝動を大切に

時計ライター篠田哲生 氏

篠田哲生 氏
しのだてつお:時計専門誌、ファッション誌、ビジネス誌、Webなどに執筆。2004年頃から海外取材を積極的にこなし、時計学校も修了した実践派。

 オーデマ ピゲ、パテック フィリップ、A.ランゲ&ゾーネと、いわゆる“雲上ブランド系”を買い進めていた時期があって、残るはヴァシュロン・コンスタンタンのみとなった時点で、一気にコンプリートしてしまおうと思ったんです。時計を選ぶ際には、使うシーンやファッションも重視するし、私は購入した時計を手放さないので、そうなると次に買うべき時計は、これまで所有していないジャンルになります。残すは“薄型のドレスタイプ”だったんです。狙いはヴァシュロン・コンスタンタンだから、パトリモニーかトラディショナルですよね。

しかしこの手のドレスウォッチは、シンプルゆえに個性が薄い。どうしても既視感があって、これという1本になかなか出合えなかったんです。そんな時に発表されたトラディショナルの日本限定モデルは、ダイヤルに独特なギヨシェが入っていたり、グレーカラーも好み。ひと目見た瞬間に、購入を決めていました。

もちろん時計の仕事をしているので、ムーブメントや精度など、技術面に振ったウンチクで選ぶこともできるんですが、こういった視点は、むしろ“買わない理由”になることのほうが多いんですよ。あの機能が使いにくいからダメとかね。そもそも自分の好みに完璧な時計なんてないので、出合いのインパクトを大切にしています。結局、欲しいという衝動は、100のウンチクよりも、時計選びの強い動機になるんですよね。

< ここ3年で購入した本気時計 >

  • ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル 日本100周年記念モデル」(写真)

ヴァシュロン・コンスタンタン「トラディショナル 日本100周年記念モデル」

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