日経ビジネスオンラインスペシャル

LEADERS INTERVIEW2019.11.22

リーダーが語る「経営と相棒時計」

社長就任や日本法人化などキャリアの節目をともに歩む1本

アフラック生命保険 代表取締役社長古出眞敏 氏

古出眞敏氏

「ビジネスシーンでも、やはり腕時計はよく目につきますね。相手の方がどういうものをしているのかな、と意識します。口には出しませんが、『あ、あんな時計をしている!』と密かに心を躍らせていることもあります。特に社長就任に際して新しい時計を探している時などは、周りの人とモデルが被っては悪いと思い、よく確認していました。一時期はミーティングしている最中も、ついつい人の腕元が気になってしまうこともありましたね(笑)」

古出眞敏氏がアフラック生命保険代表取締役社長に就任したのは、2017年7月。主力商品であるがん保険新契約件数は、18年度にいよいよ100万件を突破し、新契約全体で155万件と前年度比7.5%という大幅アップを記録した。また保有契約件数も2457万件と着実に伸ばし、1974年に創業以来、たゆまぬ成長を維持し続ける。そうした好調を生み出す古出氏の腕に光るのは、オメガ「コンステレーション グローブマスター」だ。

「なぜオメガを選んだのかといえば、極めて単純な理由です。それは私が子供の頃、父が着けていたから。だから大人になったら、時計はオメガをするものだと、ずっと思っていたんです(笑)。今から思うと父はいたって普通の人間ですが、子供からすると父親って立派に見えて、オメガをしている姿がカッコよかったわけですよ」

人生で初めて手にした高級時計は、もちろんオメガだった。紫がかった青色の美しい文字盤に、人気の波模様が刻まれた「シーマスター」。41歳の時、結婚10周年の記念に夫婦でオメガの時計を買い、交換し合ったものだという。以来15年間、プライベートだけでなくビジネスの現場でもこの1本を愛用してきた。だが、結婚25年目の銀婚式を迎える時、同時に大きな節目が訪れた。社長就任が決まったのだ。

ウエアラブル端末
右腕には1 日の歩数や睡眠時間などを計測し、データ化するウエアラブル端末。
オメガ「シーマスター」
人生で初めて手に入れた、念願のオメガ「シーマスター」。「ダイバーズウォッチ特有のスポーティな感じがお気に入り。『大人になった』と感じたことを覚えています」と古出氏。

「そこで考えたのは、社長になったらシーマスターより、もう少しフォーマルな腕時計をしなくてはいけないだろう、ということ。書店で“社長の服装学”について書かれた本を立ち読みしたら、時計の文字盤は正式には白系がふさわしい、と書いてあったんですよ。シーマスターの文字盤は青系ですし、しかもダイバーズウォッチでスポーティなので、ちょっと雰囲気に合わない。引き続き、時計はオメガだと思い込んでいますから(笑)、オメガの中で白っぽい文字盤のエレガントなモデルを探して、銀婚式でまた妻とお互いに贈り合いました」

選んだのは、コンステレーション グローブマスターだった。縦溝が刻まれたベゼルが特徴的で、文字盤は白に近いシルバー。シンプルで美しい外観だけでなく、高い耐磁性能など実用性も兼ね備えるモデルだ。

社長就任に際して購入した、オメガ「コンステレーション グローブマスター」。白っぽいシルバーの文字盤が美しく、エレガントな印象。古出氏の数々の節目を見守ってきた。

「社長に就任した時、そして昨年、弊社の長年の念願であった日本法人化を達成した記念すべき瞬間など、自分のキャリアの節目に寄り添ってくれた特別な1本です」

アフラックでは、社長をはじめ上級役員にはスタイリストが付くのが習わしだ。講演会などのイベント時には、事前に装いに関するアドバイスをもらうという。

「私の場合、スタイリストから『もっと柔らかい感じを出した方がいい』と助言を受け、なんと髪型からメガネ、スーツまですべて変えました。大改造です(笑)。以前のスーツはアメリカントラッドのがっちりとしたものでしたが、今日着ているイタリアブランド、エルメネジルド ゼニアのように、最近は柔らかなイメージのものを選ぶようにしています。トップは組織の顔として、見た目でも自社のメッセージを伝えられることが大切だと考えています」

一方、オメガを着けた左腕に対し、古出氏の右腕には、ウエアラブル端末が巻かれている。歩数や睡眠時間、心拍数などを毎日計測して専用アプリに連動させ、データ化する装置だ。希望する社員全員に無償で配り、健康意識を高めて病気の予防につなげようという試み。現在、そうしたデータを活用してパーソナライズした商品やサービスを提供し、病気の予防にも役立てる動きが次々と登場し始めている。社長自ら、最先端のビジネスを体感する狙いもある。

「今後はコアビジネスであるがん保険、医療保険などのいわゆる『生きるための保険』分野を強化するだけでなく、ヘルスケア分野にも領域を拡げていきたいと考えています」。具体的には、がんに関するスタートアップ企業などに出資したり、彼らと業務提携をしたりすることで「キャンサーエコシステム」を構築し、顧客のがん予防から最適な治療の選択、治療後の暮らしまでをトータルに支援するというもの。「 来年以降、ヘルスケア分野の商品やサービスを発表し、日本での創業50周年に当たる24年にはエコシステムを完成させたい。我々が次に目指すのは、その新たな分野、すなわち生きるを創るリーディングカンパニーです」

文=安藤夏樹、いなもあきこ 写真=吉澤健太、田川友彦、阿部 了

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