日経ビジネスオンラインスペシャル

LEADERS INTERVIEW2021.11.25

リーダーが語る「経営と相棒時計」

父との深い絆を象徴する思い入れの強い1本

アース製薬 代表取締役社長 CEO 川端 克宜 氏

川端 克宜氏

アース製薬代表取締役社長 CEOの川端克宜氏の左腕で、灼熱の砂漠を思わせる個性的な文字盤が目を引く。フランク ミュラー「カサブランカ サハラ」だ。

「2年前に父から譲り受けた、思い入れの強い腕時計です。もともと父はお洒落な人で、腕時計もたくさん持っていたんです。病気になってから少しずつ整理をして、最後には僕たち3人兄弟に渡す3本だけを手元に残していました。そして亡くなる間際に、『1本ずつ選べ』と」 

フランク ミュラー「カサブランカ サハラ」
川端氏が亡くなった父から譲り受けたという、フランク ミュラー「カサブランカ サハラ」。社長就任の際には父からロレックスを贈られた。腕時計は父との大切な絆でもある。

決め手は、父が手に入れた時のエピソード。スマホなど普及していなかった時代、どうしてもこの時計が欲しくなった父が、苦労して調べた“唯一の購入できる場所”が、東京のショップだった。

「両親は大阪に住んでいましたから、母を説得して、旅行がてらわざわざ新幹線に乗って買いに行ったそうです。欲しいものがあったらがむしゃらに突き進む、父らしいエピソードだなと思います」

この時計を着けるのは、主に社内で仕事をこなす時。腕時計は20本ほど所有するが、会う相手やシチュエーションまで考えて何を使用するか選ぶという。

「前日には必ず、翌日着ける時計からスーツ、シャツ、ネクタイ、そして靴まで大体決めておきます。朝起きてから適当に選んだことは一度もない。きちんとした準備の重要性は、仕事と同じですね」

アース製薬は16年連続で増収を達成し、過去10年で売上高を約2倍に押し上げた。その立役者が、近年力を入れている掃除用品や介護用品などだ。

「僕はドラッグストアを訪れると、売れ筋商品が好調な理由が気になって仕方がないんですよ。データを軽視しているわけでは決してないのですが、数字だけではお客様が即決したのか迷った末に選んだのか、購入に至るまでのプロセスが見えない。でも僕はそこに興味がある。選択には必ず、理由があるはずだから」

社会や暮らしの中で起こる様々な問題に対し、解決策を探して提示するのが、自分たちの大切な仕事、と川端氏は言う。

「だから平均値の商品は要らないんです。今後も需要は小さくても誰かの役に立ち、必要な理由をきちんと語れるような商品を作っていきたいと考えています」

文=いなもあきこ 写真=吉澤健太

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