日経ビジネスオンラインスペシャル

LEADERS INTERVIEW2022.12.15

リーダーが語る「経営と相棒時計」

腕時計とは仕事の合間にその美を眺めて愛でるもの

サザビーズジャパン 代表取締役会長 兼 社長 石坂 泰章 氏

石坂 泰章氏

ニューヨークに本社を構えるオークション会社大手、サザビーズ。その日本オフィスを長年率いる石坂泰章氏は言う。

「昔は売上高が景気の影響を受けやすかったのですが、2008年のリーマンショック収束後はお陰さまで基本的に右肩上がりが続いています」

オークションが開催されるのは、香港、ニューヨーク、ロンドンなどの9カ所。好調を牽引するのは現代美術、中国美術、腕時計、宝飾といった分野だ。新型コロナを機に、オークション業界でもオンライン化が加速。カタログの発行も特別な場合を除いてオンラインのみになった。

「オンラインで取引される作品の価格といえば、以前は1000万円程度が上限でしたが、今は4億円に跳ね上がりました。グローバルでの売上の3割強をアジアが占めます」

売り手と買い手が1対1で取引するプライベートセールの売上も、約10年前の1割程度から3割ほどに増加した。

「プライベートセールの利点は、いつでも売り買いできる柔軟性と、売買内容を秘匿できることが大きいですね」

パテック フィリップ「3970E」はパーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフ付き。以前から所有する同ブランドの「カラトラバ」と、気分によって付け替える。

石坂氏が愛用する腕時計は、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、クロノグラフが搭載されたパテック フィリップの「3970E」。実は3年前、自社のオークションで落札したものだという。事前に書面で入札するなどいくつかの社内規定をクリアすれば、同社のスタッフもオークションに参加可能なのだ。

「小さめでクラシックなデザインの腕時計が好きなので、気になって弊社の担当スペシャリストに詳細を聞いてみました。すると、『91年製の第2世代で、パテック フィリップにとって非常に重要なモデルの一つ。しかも04年で生産は中止されていて、コレクションするにふさわしい』と助言があったんです」

事実、この3年で市場価値はさらに高まった。が、喜びはそれだけではない。

「私にとって腕時計とは、仕事の合間などに時々眺めて楽しむためのものです。機会があれば、いつかA.ランゲ&ゾーネやブレゲも手にしてみたい。いずれもメカニック的な面白さと、アートに通じる手仕事の美しさがあると感じます」

文=いなもあきこ 写真=阿部 了、田川友彦

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