
LEADERS INTERVIEW2023.11.17
リーダーが語る「経営と相棒時計」
株式会社山本海苔店 代表取締役社長 山本 貴大 氏

「ビジネスシーンで着用するのは、常にこの時計。妻からの結納返しにリクエストした、グランドセイコーです」
1849年創業、170年以上の歴史を誇る日本橋の老舗、山本海苔店の代表取締役社長・山本貴大氏はそう切り出した。
「私たちの販売する海苔は、いわば日本を代表する食材のひとつ。『日本ならではの文化を守り、継承している』という点で、セイコーのものづくりに共感を覚える部分が強かったんです。なので、他のブランドは考えられませんでした」
モデルのセレクトにあたっては、いくつか譲れない条件があったという。
「清潔感を重視して、文字盤は白。スーツ姿にしっくりくる、カチッとした印象のブレスレットタイプを選びました」
創業以来、高品質な海苔の販売で業界を支えてきた山本海苔店。だが昨今、中元歳暮市場が縮小、2021年に代表となった山本氏は、大きな舵取りを迫られる。
「2013年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されて以来、本格的な日本食店が世界中で増え、海苔の需要も高まっています。しかし、その需要増への対応において、韓国など海外勢に比べ日本企業は遅れをとっているのが現状です」
この状況を打開する一手として、2022年7月に、業界大手の髙岡屋と資本業務提携契約を締結。今年8月には完全子会社化した。高岡屋は、売り上げの約3分の2が海外向け。生産体制も、日本国外では米国、中国、メキシコ、ポーランドの4拠点に工場を持つ国際企業だ。この子会社化を足がかりに、世界マーケットでの躍進を狙う。
「おいしい海苔は価格面でもきちんと評価される。そうした本物の海苔を世界規模で流通させることで、日本の海苔漁師たちを守りたい。それが我々の使命です」
2024年には、日本橋の再開発で、本社移転を控えている山本海苔店。そのタイミングで、同社初となる飲食事業、手巻き寿司店のオープンを計画している。
「かつては多くの家庭に、贈答品としての高級海苔がありました。でも今となっては、その味すら知らない人が多い。そんな層に本物の味を伝えられれば、結果、新たな市場を生み出すこともできる。ピンチはチャンス、そう考えています」
文=中村真紀、いなもあきこ 写真=吉澤健太、菊池陽一郎、本浪隆弘
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