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池上

トイレの習慣と、手洗いの習慣、同時に普及しないといけませんね。

更家

ウガンダでは乳幼児と5歳未満の子どもの亡率がまだまだ高いんです。死因はマラリアやエイズもありますが、実は下痢による死亡がとても多いんです。食中毒や不衛生な手で食べ物を口に運んだりした結果、ともいえます。

池上

その話は私も聞いたことがあります。アフリカでは下痢が小さな子どもたちの命を奪う可能性が高い。そこで下痢をしたときに、水分と栄養分を同時に補給できるパックを普及させようというキャンペーンを行っている人たちもいます。ただ、その前に、下痢そのものを防ぐことが、第一ですね。

更家

そう思います。そのためには日常を衛生的な環境に変える。そして手洗いの励行で、口から細菌が入る可能性を徹底的に減らす。これでずいぶん変化するはずです。

池上

60年前の日本で薬用石鹸液をつくり、学校の「手洗い運動」を支えてきた経験が、21世紀のウガンダで役に立つ。しかも最初からCSRとビジネスの両輪で活動を展開する。アフリカにこれから進出しようという日本企業にとって、とてもよいお手本となりそうな話ですね。

ちょっと素朴な質問をしていいですか?

更家

どうぞ。

池上

アフリカ50数カ国ある中で、どうして、ウガンダ、だったのですか?

更家

手洗い運動を展開するにあたって、ユニセフの方に相談したところ、「まずはウガンダがお勧めです」と言われたからです。「なぜですか」と聞いたら、「ウガンダはアフリカの中では治安も気候も良いからです」とのことでした。つまり、我々のようなアフリカ初心者に向いているという判断があったのだと思います。

池上

納得です。

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更家

私も現地を訪れるまで知らなかったんですが、まず赤道直下のアフリカの国、というイメージに反して、とっても快適な気候ですよね。

池上

私も3年前にやはりJICAの取材でウガンダに行きましたが、夏の軽井沢のような気候ですね。からりとして風が涼しくて。避暑地のような感じでした。ウガンダの気候の良さは、こんなエピソードからもわかります。第2次世界大戦後の一時期、ユダヤ人の間に自分たちの国をウガンダにつくろうという動きがあったんです。

更家

え、知りませんでした。

池上

そもそもウガンダはイギリスの植民地でした。イギリス軍に入ってウガンダに駐留していたユダヤ人たちの間で「ウガンダの気候は最高だ。こんなにいい場所はない」と評判になったそうです。その後、ユダヤの国の建国の機運がユダヤ人社会で盛り上がったときに、ウガンダは候補地としてあがったそうです。最終的にはユダヤ人の聖地エルサレムがあるパレスチナに決まり、いまのイスラエルができたわけですが。

更家

もしウガンダの一部がユダヤの国になっていたら、世の中はずいぶんと変わっていたでしょうね。中東情勢は激変していたでしょうし、もしかすると東アフリカの開発はもっと早かったかもしれませんね。

池上

歴史に「if」は禁物ですが、それくらいウガンダというのは欧州に住んでいる人たちにとっても魅力的な土地、ということなんでしょう。

更家

ウガンダの現地法人の代表を務めているのは、実は青年海外協力隊のOBなんです。協力隊時代からウガンダで活動し、その土地柄に惚れて、隊員任期を終えて日本に帰国したものの、ウガンダに戻りたいという思いが募り、恋人と急いで結婚して夫婦揃ってウガンダに渡り、マイクロファイナンスのNGOを設立しました、うちがウガンダに拠点を設けることになったとき、JICA関係者から彼を紹介いただき、Saraya East Afiricaの構想に共感してくれた彼はうちの社員となったわけなんです。

池上

筋金入りの方がいらしていて、頼もしいですね。今現地法人の規模はどのくらいですか?

更家

総勢5人です。

池上

日本のオフィスと現地とのコミュニケーションはどのように?

更家

スカイプを使ってパソコン経由でテレビ会議をしています。今はこうしたインフラがタダ同然で使える、というのは本当にありがたいですね。

池上

そういえばウガンダに4年前に行ったときには、すでに携帯電話もほとんど普及していました。

更家

地方でも携帯電話の普及率は9割近いそうです。田舎では太陽光発電を使った充電器を持っている人がいて、その人が道ばたに店を構えて、バッテリー切れになった人の携帯電話を日本円にして3円とか5円とかで充電してくれるサービスを展開していたりする。

もっとも携帯電話は例外で、都市部と地方の格差が大きいですね。地方では、いまでも茅葺きの丸い土壁の家に15人くらいで暮らしている。一方、首都のカンパラのような大都市は高層ビルがたち始め、昼間はしょっちゅう交通渋滞が起きています。

池上

私もウガンダの首都カンパラで渋滞に巻き込まれました。動かない車中から外を眺めていると、日本語の文字が描かれた中古車がけっこう走っているのに気づきました。傑作だったのは、××幼稚園と書かれた幼稚園バス。これにでっかい身体のウガンダ人たちが、ちょこんと並んで座っていました。

更家

日本の中古車は大人気です。車体に書いてある文字は、消さずに使っています。これは、日本に対する信頼感が非常に厚いことの表われですね。

池上

消えそうになると、彼らの考える日本の文字が上書きされるんですよね。西濃運輸のロゴが描かれたトラック、見たことがあります。西濃運輸、ウガンダに進出?と一瞬勘違いいたしました。

更家

それだけ日本製品への信頼と評価が高いんですよ。実際にはかさ上げして評価していただいている面もありますので、とにかく今のお客様の高評価を裏切ってはならないと思っています。

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