



そのTICADは今年、5回目を迎えますね。6月に横浜で開催されます。テーマに「質の高い成長」を掲げています。具体的にはどんな内容になるのでしょうか?
アフリカは21世紀に入り、この10年で経済的に急成長しました。ただし、あくまでアフリカの治安が安定し、一次産品と資源の輸出が増えた、というのがその主な理由です。一次産品と資源輸出に経済を依存する、というのはとても危ういのです。
なぜですか?
一次産品や資源は、世界市場での価格変動の影響を容易に受けてしいます。世界的に需要がある状態が続けばいいのですが、もし、世界市場で価格が下がれば、一瞬にして収入が減ってしまいます。そうなると、アフリカの経済全体は変調をきたしてしまいます。
アフリカの経済は、国際市況に大きく影響されず脆弱性の少ない体質に変身する必要があります。これまでは、まず自分たちの持っている資源を売ることで経済成長の基礎を固めました。次は、どんな経済成長を行うのか、というその中身、つまり「質」が問われるようになってくるわけです。
それが、持続可能で健全な経済成長を促進することになる、というわけですね。
その通りです。そのためには、製造業やサービス業のように、国内で付加価値をつけられる二次産業、三次産業の成長が欠かせません。また内需を拡大し、国内経済そのものを大きくする必要が出てきます。
そのためには何をすべきですか?
「質の高い成長」には、まず「質の高い雇用」が欠かせません。アフリカ諸国は、社会の年齢構成がとても若い。20代の若者たちがたくさんいます。未来を創る彼ら彼女らの雇用を適切に確保し、給与所得者として、消費ができるようにする。そうなって初めて国内の経済が回り始めます。
現状はどうでしょう?
一次産品や資源の輸出だけに頼っていると、「質の高い雇用」はなかなか担保できません。若年層の雇用チャンスは限られてきます。結果、若年層の失業率が高くなる。そうなると国家そのものが不安定になります。2010年から2012年にかけて、北アフリカや中東で多発した民主化運動「アラブの春」は、まず若年層の失業率の高さが政府への不満につながっていた、という背景がありました。
どこから手を付ければいいのでしょうか?
教育です。質の高い雇用を実現するには、まず、雇用内容に見合った教育を人々が受けているかどうかが問われます。サハラ以南のアフリカ諸国では、小学校も通っていない児童が少なくありませんでした。近年、小学校をはじめ学校施設が充実し始め、小学校の入学者数が確実に増え、教育レベルが上がり始めました。
持続可能な経済発展と質の高い教育は、切っても切り離せませんね。
ええ。まずは国民がみな質の高い教育を受ける。識字率を上げ、「読み書きソロバン」が出来るようになる。その結果、質の高い雇用が担保される。弱者を切り捨てることのない強靱な社会の基礎がそうやってできます。