



今年1月に、アルジェリアでテロが起きました。日本人も犠牲になっています。アフリカの治安については、常に不安視する意見がありますね。
アフリカに平和と安定をどうもたらすか。これも今後のTICADの課題の一つです。
残念ながらまだまだアフリカには、サハラ砂漠南縁部にあるサヘル地域を中心に、治安面では不安定な地域があります。私たちは、できる限りこの地域を小さくし、そして成長の方向へ転換させていきたいと考えています。
一方で、日本側のアフリカに対する知識不足、認識不足もありますね。
先日訪れたケニアで日本人ビジネスマンに話を伺う機会がありました。アルジェリアのテロの後にはみな「そんな危険なところにいないで、日本へ帰ってこい」と言われたそうです。でも、地図を見ればすぐわかるのですが、アルジェリアの緯度は日本と変わりません。
一方、ケニアは赤道直下。インドネシアと同じ緯度です。同じ大陸にあるとはいえ、日本とインドネシアくらい物理的には離れている。常識的に考えれば、「アフリカ」でひとくくりにしてはいけないのに、まだまだ私たちは悪い意味で「アフリカ」を一緒くたに考えがちです。
東日本大震災が発生したとき、遠く離れた西日本にいる家族や従業員までをも本国に帰国させた日本在住の外国人の方々と同じ反応ですね。遠い大陸や国の中での物理的な違いというのはなかなか正確に把握できないのでしょう。
ところでケニアでは、池上さんが足を運ばれた頃、ちょうど大統領選挙が行われていたのではないですか。
選挙運動のまっさい中でした。候補者が8人ずらりと並ぶディベートがテレビで放送されていて、それを食堂で大勢の人が見ていましたね。現地のケニア人ビジネスマンは、選挙番組を家で見たいがために「今日は早く帰りたい」と言う人もいて、政治参加に対する意識の高さを感じました。
ケニアの大統領選挙は前回の2007年・2008年で暴動と混乱を巻き起こしました。国内の民族運動を反映したためです。今回も落選した候補者は選挙のあり方に異議を唱えているようですが、前回の大統領選の後のような大きな混乱は起きませんでしたね。ケニアのように経済成長が軌道に乗り始め、わずか5年でずいぶん安定方向へ進み始めた国もあれば、中央アフリカやマリのようにまだまだ安定化しない国もある。どちらもあるのが今のアフリカです。
国際社会は、アフリカの民主化と安定化をできる限り支援し、秩序を確立する努力をしなくてはなりません。
個々の国が、ただ経済成長だけすればいいというわけではありませんね。
アフリカでの民主主義の定着状況は、経済の成長と同様、10年前とは比較できないほど著しく進歩しています。しかしそのスピードには著しい差があります。進歩している国と、依然として混乱している国、どちらもあるのです。
JICAとしてはアフリカの安定という大きな問題にどうやって取り組むのでしょうか。
私たちはインフラの整備、農業の支援なども行っていますが、平和構築も重要な仕事だと認識しています。
紛争が続いているような地域へは入っていけませんが、ある程度落ち着いてから人を派遣し、戦後復興から産業開発まで切れ目なく、目に見える活動を行っています。
2011年には、スーダンから南スーダンが独立した後、日本からは自衛隊がPKOで派遣されましたが、実はJICAが現地にスタッフを派遣したのは、独立以前の2006年からで、戦争からの復興支援に尽力してきました。
独立直前の南スーダンでの日本の国際協力の現場は、2009年、私自身が取材してきました。女性スタッフが中心だったことに驚かされました。ぜひ、こちらのレポートを読んでいただきたいですね。
JICAがいち早く現場に入って、職業訓練などの復興支援を行う。長年戦火にさらされながら暮らしてきた人々に「やっぱり平和の方がいいな」と実感してもらいながら不安定を解消していく。南スーダンの復興ぶりを見ると、やり方としては間違っていない、と実感します。
では、最後に、本ページをご覧のビジネスパーソンへ、メッセージをお願いします。
2012年、アフリカではODAの金額を直接投資の額が上回りました。すでにアフリカは、支援の対象ではなく、投資の対象なのです。マーケットとして見た場合にも、世界経済にとって「ラストリゾート」と見られています。民間からの投資は、ますます増えていくでしょう。
JICAはこれまでのODA事業の経験やネットワークを活用し、アフリカを、さらには日本をいっそう元気にできればと考えています。ぜひビジネスパーソンの皆さん、日本企業のみなさんをはじめとし、様々な方々と一緒にアフリカが元気になるためのお手伝いをしていきたいと思いますので、一緒に参加して下さい!