バリュエンステクノロジーズ株式会社 執行役員 CIO/CISO/
バリュエンスホールディングス株式会社
木戸 啓太氏
多くの経営者が、セキュリティーを経営課題と捉えるようになっている。ただ、セキュリティー予算や人員を戦略的に増強している企業・組織はまだ少ないようだ。
「この状況でCIO/CISOの重要な役目となるのが、セキュリティー投資に対する経営層の理解を得ることです」とバリュエンステクノロジーズの木戸 啓太氏は語る。バリュエンスグループ各社へのシステム導入やアプリ開発を担う同社は、その経験を通じて培った知見と技術を活用し、AI活用やDX推進に関するソリューションを提供。最近はAIチャットボット「helpmeee! KEIKO」をリリースするなど、生成AI技術で社内ヘルプデスク業務の効率化を支援している。
「私はグループ外のお客様からも相談をいただくことがあります。そこで感じるのは、経営層からの『セキュリティー投資はいつまで続ければよいのか』という質問にどう回答すべきか分からず、戸惑っているセキュリティー担当者が多いということです」(木戸氏)
実際、インシデントを経験したことのない企業の経営者は「うちは大丈夫だ」と考え、セキュリティー投資を削減しようとするだろう。しかし、今は安全でも、永久にサイバー攻撃を受けないという確証はない。これは業種や企業規模によらずどの企業でも同じだ。
「セキュリティーに対する経営層の誤解を解くためには、『攻撃を受けるとどのくらいの機会損失が発生するか』などを金額で可視化して、明示することが重要です。私が相談を受けたケースでは、合わせて3年間の対策ロードマップも作成し、より具体的なイメージを持っていただくようにしています」と木戸氏は説明する。
この考え方のもと、バリュエンステクノロジーズのIT部門もグループのセキュリティー強化に向けて継続的に取り組んでいる。「進捗管理と問題解決」「知識と技術の向上」「円滑なコミュニケーション」「セキュリティー意識の強化」という4つの指針に基づき、会社全体のセキュリティー強化、業務効率向上を図っているという。
「半年に1度、半日を費やして課題を徹底的に洗い出します。その上で、目指すべき姿を示すロードマップを毎年作成し、さらにシステム構成図にまで落とし込みます」(木戸氏)。これを基に、具体的に何のツールを導入したいのか、その目的は何か、どの程度のROI(投資利益率)が見込めるのかなどを経営者が理解しやすい形にまとめる。ROIに関しては「セキュリティー対策の原価」と「インシデント発生時の損失額」の比較を記載することで、より分かりやすくするよう工夫しているという。
「このように、ビジネス成長に貢献する視点を持つことが、これからのセキュリティー担当部署にとって非常に重要だと考えています」と木戸氏は強調する。