ブローカー方式によって、セキュリティー対策とその運用は大きく変わる。
まずVPNは不要になる。企業ネットワークの内側/外側のどちらにいても、ユーザーはブローカーの認証を受けることで、利用したいアプリにセキュアに接続できるからだ。「攻撃対象になる装置自体を撤去できます。装置の脆弱性管理や、入れ替え、EOLに伴う対応も不要になります」(林氏)。
また業務上、アクセス不要なサーバーには通信させないという運用をしている企業は少なくないだろう。しかし、「必要最低限の通信だけを許可する」運用は非常に手間がかかる。加えて、社員の異動や担当業務の変更、システムの入れ替えなどがあれば見直しが必要になる。ブローカー方式を採用すれば、この問題自体が存在しなくなる。
「あらゆる通信がブローカーを通り、認証を受けるので、『いつ』『誰が』『どのサーバーにアクセスしているのか』を可視化することもできます。アクセス可能な社内アプリをユーザー単位で制御するといった高度な運用も、容易に実現できるようになります」と林氏は付け加える。
アクセスできるサーバーを限定することは、脆弱性管理の対象を絞り込むことにもつながる。例えば、人事部の社員には人事の仕事に必要な社内アプリにだけアクセスできるようにすることで、仮に社員のPCが感染しても、他部門のサーバーやアプリに影響が及ぶことを防げる。被害が想定されるサーバーに対して優先的にパッチを適用すれば、効率よく脆弱性対策を進めることもできるだろう。「ファイアウオールやルーターなどでIPアドレスベースの通信制限をしたり、手間のかかる通信のセグメンテーションを行わなくても、ブローカーで同様の効果を得ることが可能です」と林氏は言う。
さらに、ブローカー自体が脆弱性攻撃を緩和する機能を備えている(図2)。例えば、「OWASP(The Open Web Application Security Project) TOP 10」の攻撃をブロックする機能をそなえているという。これにより、脆弱性が存在していることは分かっているが手が回らない、あるいは既にサポート切れのOS/アプリでパッチそのものが存在しないといった場合にも、ブローカーで保護できるのだ。もちろん、順番にパッチを適用していく間の、一時的な保護に使うことも可能だ。
このように、ゼットスケーラーが提案するブローカー方式であれば、既存のサーバーやアプリに手を入れることなく、シンプルかつ簡単にネットワークの安全性を高めることができる。何より、無数の対策作業に追われるセキュリティー担当者の負担を大きく軽減できる点は大きな魅力といえるだろう。侵入前提のセキュリティー対策を考える企業は、ぜひ一度検討してみることをお勧めする。