CNAPPは、クラウドにおける設定ミスの検出やワークロード保護、権限管理といった複数のセキュリティー機能を統合したクラウドセキュリティープラットフォームである。
そもそもクラウドセキュリティーでは、何百種類にもおよぶクラウドサービスそれぞれで守るべき点が異なるため、単一のソリューションのみを使ったとしても安全であると言い切れない。例えば、サーバー保護はEDR、アプリケーション通信はWAFといったように1つずつ検討・導入していては、膨大な手間と時間がかかってしまう上に、対処漏れが発生してしまうだろう。「そこで、様々なツールや製品で構成された包括的なプラットフォームを用意して守りましょう、というのがCNAPPの基本コンセプトです」と大峠氏は説明する。
とはいえ、CNAPPにも弱点がある。シャドーIT化してしまったクラウド環境は監視対象にできないことである。企業では、複数の部門がそれぞれ別のクラウドサービスを使っているケースが多くある。また、ホールディングス全体で導入する場合、子会社ごとにどんなクラウド環境があるかを洗い出していかなければならない。マルチクラウド構成や、子会社・複数部署ごとに異なる環境を用意できてしまうことが、CNAPPを開始する際のボトルネックとなる。
「また、様々なリスクを検出できるツールのため、リスクの対応順の見極めには知見とノウハウが必要です。氷山のたとえ話でいえば、CNAPPでは水面の下にある領域も検査できますが、その分、通知されるアラートも膨大になるため、どこから手を付ければよいか分からなくなりがちなのです」と大峠氏は話す。
ここで、ASMとCNAPPの特徴をよく見ていくと、互いの課題を補い合えるツールであることが見えてくる。ASMによる外部からの簡易検査と、CNAPPによる内部までの精密検査を組み合わせることで、デメリットを相殺できるのだ。
例えば、CNAPPの弱点として挙げた「クラウド資産の収集」は、ASMが得意とする。あらかじめASMでクラウド資産を収集しておき、その後CNAPPで精査するという流れを構築できる。
アラート対応の優先順位付けも、ASMで検出された資産に注目すれば効率的に絞り込めるという。「ASMで検出できるということは、その情報は攻撃者も同じく知っていると言い換えることができ、狙われる可能性が高いと判断できるからです」と大峠氏は言う。
反対に、ASMの限界をCNAPPで補うこともできる。例えば、リスクの詳細な場所については、CNAPPを使ってどのディレクトリのどのファイルに存在するのかまで、詳細に特定することが可能だ。
「手順としては、まずASMでIT資産の棚卸しを行い、次にCNAPPでクラウドリスクを網羅的に検出します。さらにASMで外から見えるリスクを特定し、その場所をCNAPPで特定して対処する。このようなフローをお勧めします」と大峠氏は解説する(図1)。