
DXを推し進めるには先立つものが必要だ。既存のIT投資の在り方を抜本的に見直し、新たな投資バランスを検討すること、およびその方向性に対して組織全体が共通認識を持つことが求められている。Apptio, an IBM Company(以下、Apptio)はそのためのIT/クラウドファイナンスにおける可視化のソリューションを提供。グローバルのベストプラクティスに基づき、IT投資の意思決定をタイムリーかつ継続的・高頻度に行うことで、DX戦略を加速することが可能になる。

総務省の情報通信白書によると、日本企業のIT投資額はこの20年、ほぼ横ばいの状況にある。また内訳も、IT投資全体の8割が現行システムの維持・運用費に費やされており、DXなどに充てる新規開発投資はわずか2割しかないという。
さらに問題なのが、年間IT予算の平均7%が未消化のまま残っている※ことである。足りないはずなのに残る。このような矛盾はなぜ起こるのか。要因についてApptioの小南 崇樹氏は次にように分析する。
「当社の調査では、年度末にIT予算が余った部署と、IT予算が不足してプロジェクトを諦めた部署が同じ企業内に存在しているケースもありました。つまり、企業全体のIT投資状況を俯瞰的かつ高頻度に見るすべがなく、投資の優先順位も明確になっていないことが、期中に柔軟な予算の再割当ができない大きな要因だといえるでしょう」
新規開発投資がなかなか増えない理由はほかにもある。新しいアプリケーションやシステムを構築しても、サービスイン後にROIやビジネス貢献度を定量的に測定できていないため、継続的な投資へのモチベーションが生まれにくいのだ。
「システム自体を評価することはもちろん、ビジネス貢献度も確認し、不十分な場合は合理化・最適化を行うことも必要です。それが行えていないため、システムが増えていき、連動して運用費も増えていくという悪循環に陥りがちなのです」と小南氏は言う。
※Apptio 調べ
悪循環を断ち切るためには、全社のITファイナンスを可視化することが不可欠だ。Apptioは、その指針になる方法論として「TBM(Technology Business Management)」を提案している。
これはApptioが設立に携わったNPO法人TBM Councilが提唱するもの。データドリブンなアプローチによってITリソースから利用者までを可視化し、そのデータを基にIT部門、ビジネス部門、経営層などのステークホルダー間の関係性改善を図る。具体的には「現行運用費の削減」「新規開発投資の最適化」という2つのゴールに向け、「IT予算と統制」「コスト最適化」「利用部門との関係性改善(協力関係の構築)」というアクションを実践するという。
「多くの企業がソフトウエア、ハードウエア、減価償却費などの総勘定元帳ベースの情報でITコストを把握しようとしています。しかし、このやり方では実際のアクションにつなげることは難しいでしょう。なぜなら、ビジネス部門は通常、インフラのコストを意識することはないからです。現場が実際に使うアプリケーションやサービスにまで落とし込んで、コストを可視化・提示することが肝心です」(小南氏)
このように、一口にITコスト管理といってもIT部門、経営層、ビジネス部門はそれぞれ見たい情報が異なる。必要なのは、テクノロジーが組織にもたらす価値をステークホルダーが理解できる共通言語で表すことだ。
これを実現するのがITコスト可視化モデル「ATUM(Apptio TBM Unified Model)」である(図1)。ファイナンスを軸に、各ステークホルダー向けに情報を整理して提示することで、ステークホルダー全員が自社のIT投資の効果やコストを把握できるようにする。そうすることで、投資の妥当性や優先度を全社最適の観点で議論できるようになる。
図の4つの階層でITコストを構造化して可視化する。全体の関連性が可視化されるため、非IT部門でもコストインパクトを把握しやすい
Apptioは、これら一連の取り組みを支えるSaaSを提供している。必要なデータを自動連携し、ATUMに基づいてダッシュボード上で可視化する。IT予算と実績値の不整合や改善点を提示するほか、投資計画に基づく将来コストを管理することもできるという。
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また、近年はパブリッククラウドの利用が急拡大している。これに伴い、ニーズが高まっているのがクラウドファイナンス管理だ。Apptioはこれを支援するソリューションとして「Cloudability」を用意している。
特徴は「FinOps」に準拠したクラウドファイナンス管理を実現できること。FinOpsとは、クラウドファイナンス管理の規律やカルチャーに関するベストプラクティスで、国内でも注目する企業が増えているアプローチである。
「FinOpsを実行することで、各部門がクラウドサービスを共通の認識のもとで管理・活用できるようになります。コストの可視化やリソースの最適化、クラウドベンダーが提供する割引制度の活用などの運用の見直しが可能になるでしょう」と小南氏は紹介する。
実行のステップは次のようなものだ。まず組織全体のクラウドコストの現状を把握する。その上で、コスト最適化に関する計画を策定し、実行に移す。結果は現場にフィードバックして、サイクルを継続的に回していく。「中でも重要なのが現状把握です。クラウドサービスごと、または利用部門ごとにグルーピングしてコストを適切に配賦することで、オーナーシップを醸成します。これにより、後のプロセスの効果をより一層高めることが可能になります」と小南氏は述べる。
Apptioのソリューションは、既にグローバルで1800社以上に活用されている。日本でも幅広い業種・業態の企業が導入し、成果につなげているという。
新たなテクノロジーやサービスを活用し、DXを加速する。そのためには現状のIT投資の状況を可視化し、あるべきバランスに是正して管理していくことが肝心だ。その際、前提になるのがステークホルダー間の合意形成である(図2)。
インフラ、クラウド、アプリケーションなどのIT資産とビジネスプロセスをつなぎ、共通言語で可視化する。データドリブンな仕組みによって、IT投資に関わる組織の合意形成と意思決定を支援する
オンプレミス、パブリッククラウドを含むトータルなITファイナンスの可視化と最適化を実現し、組織一丸でのDXを推進する上で、Apptioの提案は大いに参考になるものといえるだろう。
