
アプリケーションのテストに多くの時間とコストがかかり、思うようにDXを推進できない――。そのような状態に陥っている企業は少なくないだろう。Tricentis Japanは、この問題を解決するアプローチとして、TCoE(Testing Center of Excellence)を中心としたテスト自動化を提唱している。取り組みを成功させる4つの要素と、テスト自動化の基盤となるプラットフォームについて紹介する。

多様なデジタルアプリケーションを迅速に開発し、顧客やパートナー、そして業務現場に早いサイクルで提供していく。ビジネス変革を実現する上で、これが不可欠な条件になっている。そこでボトルネックになっているのがアプリのテストプロセスだ。
「IT予算の1/3がテストに費やされているほか、開発プロジェクトの中でテスト時間が占める割合も大きくなっています」と語るのはTricentis Japanの片倉 俊輔氏だ。Tricentisは2007年に創業したテストソリューションベンダー。国内外3000社以上の企業が同社のソリューションを活用している。
「テストのボトルネックを解消するためには、『TCoE(Testing Center of Excellence)』という専門部隊を設置することが効果的です。実際、世界では多くの企業がTCoEを中核とした組織横断型のテスト自動化の取り組みを開始しています」と片倉氏は言う。
また同社によれば、その際は「標準化」「アカウンタビリティ(説明責任)の醸成」「透明性の確保」「コラボレーション推進」の4つを意識することがポイントになるという。
まずテストの手法やツールを標準化して反復可能なスキームを構築する。その上でKPIを設定し、効果を測定・説明可能な状態をつくる。組織が使用するアプリケーションはポートフォリオ化し、誰もが確認できるようにする。そして、テストチームだけでなく、事業部門の意見を取り込むことで、利用頻度が高い機能や障害時のインパクトが大きい部分などを優先的にテストするといったコラボレーション体制を確立することが肝心だ。
「TCoEの運営モデルにはいくつかのパターンがありますが、コラボレーション推進を考えると、プロジェクト横断型のテストプラットフォームを用意し、その活用に向けた教育や支援をTCoEが行うモデルが有効だと当社は考えています」と片倉氏は話す。
Tricentisは、このようなTCoEを中心としたテスト最適化を支援するためのソリューションを網羅的に提供している(図1)。具体的には、エンド・ツー・エンドの機能テスト自動化を担う「Tricentis Tosca」、パフォーマンステストを自動化する「Tricentis NeoLoad」、データ整合性テストを自動化する「Tricentis Data Integrity」、テスト管理・分析を行う「Tricentis qTest」だ。
エンド・ツー・エンドの機能テストの自動化からパフォーマンステスト、データ整合性テストの自動化、テスト管理・分析まで、幅広い機能を提供する
「ドラッグ&ドロップと簡単な入力だけのノーコードでテストケースを作成できるため、ビジネスユーザーでもテスト自動化の仕組みを容易に作成できる点は大きな特徴です。あらかじめ用意されているモデルを下地にする、あるいは画面をレコーディングすることでテストケースを作成できます」と片倉氏は説明する。
機能テストの対象システムも幅広い。SAPやSalesforceなどのエンタープライズアプリ、Webアプリやモバイルアプリ、データベース、API連携の仕組みのほか、メインフレームのエミュレーターのテストも実行可能だ。「モバイルアプリのテストについては、モバイルデバイスの環境をクラウド上で提供するサービスも用意しています。ネットワーク帯域別の動作テストやGPSを利用したテストが実施可能です」と片倉氏は付け加える。
また同社は、AIベースのテスト自動化にも早い時期から力を入れている。2024年には生成AIを組み込んだ「Tricentis Copilot」も提供開始。これによりテスト自動化のメンテナンス性が格段に上がる。例えば、第三者が作成したテストケースの内容と結果を把握するにはそれなりの時間を要するが、AIを搭載したCopilotは、テストが何を行いどのような結果になったのかを要約をしてくれる。またこのような新機能以外にも、テスト対象の画面や機能が修正された際、変更点を自動で検知し、連動してテストケースを自動で修正・実行するといったことを実現できるという。
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「パフォーマンステストでは、オンプレミスでもクラウドでも負荷をかけることができるほか、ビルトイン監視やSLA設定などの機能も用意しています」と片倉氏。APMツールとの連携も可能なので、ボトルネックの詳細情報を参照するのも容易だという。さらにTricentis Toscaと連携させれば、機能テストとパフォーマンステストをシームレスに実行することも可能になる。
データ整合性テストは、SAPやOracleなどの基幹系システムからデータウエアハウス(DWH)へデータを抽出する際、抽出前後でデータが一致しているかを確認するものだ。ここでは事前スクリーニング、フィールドチェック、データ数確認などのテーブル単位のチェックから行単位の完全一致性チェックまで実行できる。BIツールと連携することで、レポート上のデータを最上流のデータと突合してチェックすることも可能で、エンド・ツー・エンドでデータの整合性を確認できる。
「さらに、一連のテストプロセスを管理する仕組みも提供しています。自動化したプロセスをしっかり管理することで、さらなる改善・効率化につなぐことができます」と片倉氏は述べる。
開発ライフサイクル全体の管理・分析が可能なほか、DevOpsワークフローやプロジェクト管理ソフトとの連携、複数の自動テストの統合などを行える。例えば、Jiraと連携して要件定義を行い、そこからテストケースを自動で作成して機能テスト・パフォーマンステストを実行した上で、その結果をJiraで管理するといったことが可能だ。これを組織全体で行えば、潜在的リスクの存在や一層の効率化の余地などを、全プロジェクトで確認できるようになるだろう。
「Tricentisのソリューションを活用することで、テストのコストを50%削減、テストスピードは10倍に高めたお客様も存在します」(片倉氏)。DXを加速するテストの高度化に向け、Tricentisは検討すべきソリューションといえるだろう。
SAPやOracle、Salesforceといったエンタープライズアプリから、自社開発のアプリ、モバイルアプリ、各種エミュレーターまでを幅広くカバーする
