
今後の持続的な成長に向け、多くの企業がDXを推進している。クラウド活用やシステム間連携、業務プロセスの自動化、生成AI活用などはその一例だ。これらの取り組みの効果を最大化するために最も重要なカギとなるのが、システム/サービス間のデータ連携である。データ連携はなぜDXの成功のカギとなるのか。また、どのようなステップで進めていけばよいのか。日立ソリューションズの講演では 、その実現に向けた具体的な方法が紹介された。

DXに取り組む上で「データ利活用」は不可欠な要素である。先行きが不透明な時代では、データを守りと攻めの両面でいかに活用するかが、企業の競争優位性を左右するからだ。
それではどのようにデータ利活用を進めていけばよいのか。これについて「データ利活用には、3つのステップがあります」と話すのは日立ソリューションズの井上 直樹氏だ。それは「データ基盤構築」「デジタルオペレーション改革」、そして「データ利活用強化」の3ステップだという。
第1ステップの「データ基盤構築」では、基幹システムの刷新およびクラウドシフトが取り組みの柱となる。基幹システムがレガシーのままでは、自在にデータ利活用することができないからだ。
「システムの標準機能に自社の業務を合わせる、いわゆるFit to Standardの考え方に基づいて基幹システムをクラウドに移行します。また、周辺システムもクラウドサービス化を進め、オンプレミスを含めたデータ連携を行い、企業のデータ基盤を構築するわけです。その際にはiPaaSなどのデータ連携ツールを活用し、短期間でのインテグレーションを実現し、保守性と拡張性を確保することが肝要です」と井上氏は説く。
第2ステップの「デジタルオペレーション改革」では、各種クラウドサービスを導入した後に、それらをつなげることでデジタルオペレーションの改革を目指す。
ここで井上氏は、デジタルオペレーション改革の1つのユースケースを示す。それは、新入社員のオンボーディング(新しい社員を育成する施策やプロセスのこと)をハイパーオートメーション化することで業務プロセスを改革する例である。
「このユースケースでは、全社的な業務のクラウドシフトを進める中で、人事管理システムに『Workday』、IT資産管理に『ServiceNow』、コミュニケーション基盤に『Microsoft Teams(以下Teams)』をそれぞれ導入されています。しかし業務全体のデジタル化が不十分で、部門間でのメールのやり取りや手作業の設定変更が多く、手間と時間がかかっています」(井上氏)。
こうした際に有効となるのがデータ連携ツールを使ったハイパーオートメーション化だ。具体的には、Workdayに新しい社員が追加されると即座に検知してServiceNowで必要な機器やライセンスを手配すると同時に、各種システムのアカウントや権限のプロビジョニングを自動化。加えてTeamsを使って組織内の確認フローも自動化し、その結果を自動で反映させれば、ビジネスプロセス全体が自動化できるという。
そして第3ステップの「データ利活用強化」では、クラウドとオンプレミスに分散したデータをクラウド上のデータウエアハウスに集約。BIツールやAIと連携して分析を行い、データドリブン経営を実現していく。「さらに点在するデータをAPIとして集約・公開し、社内だけでなく取引先など社外の相手ともリアルタイムで連携していけば、システム間でのデータ利活用をさらに促進できます」と井上氏は語る。
ここで注意したいのは、これら3つのステップは、DX実現というゴールに向かって一連の流れとしてつながっているという点だ(図1)。「基幹システムのクラウド刷新、APIによるデータ連携、それによる周辺業務のハイパーオートメーション化、データ利活用など、これらはバラバラなデータ連携ではありません。経営ビジョンに合わせ、将来を見据えたデータ連携のイメージを持つことが重要なのです」と井上氏は強調する。
基幹システム刷新とクラウドシフトによる「データ基盤構築」、ハイパーオートメーションなどを活用した「デジタルオペレーション改革」、蓄積されたデータによる「データ活用強化」はすべて一連の流れの中でつながっている
それでは部分最適ではなく、将来を見据えつつデータ連携を進めるにはどうすべきなのか。重要なキーワードとなるのが「内製化」である。というのも、内製化には大きく3つのメリットがあるからだ。
1つ目は「変化への対応力および開発スピードの向上」だ。組織内での迅速な意思決定とコミュニケーションにより、市場の変化や顧客ニーズ変化に対する即応性が高まり、迅速な改善や更新が可能となる。
2つ目が「コストの最適化」だ。最初こそ人材の確保や研修にコストがかかるが、長期的には外部委託費用の削減、無駄な開発コストの抑制により全体の開発コストを最適化することができるという。
そして3つ目が「知見・ノウハウの蓄積と人材育成」だ。技術的なスキルやナレッジが組織内に蓄積されるため、組織の競争力が向上。また、学習機会の提供により従業員のモチベーションが高まり、人材が定着しやすくなる。
これら内製化を推進する技術として、近年注目を集めているのがローコード/ノーコード技術だ。その有力な選択肢の1つとして、日立ソリューションズが活用しているのが「Workato(ワーカート)」である。これはiPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれるクラウド型のインテグレーション&自動化プラットフォーム。ガートナーのマジッククアドラントにおいて6年連続でリーダーポジションを獲得。単にアプリケーション開発の領域だけにととまらず、複数のシステム間をまたいだデータ連携の領域でもローコード/ノーコードで推進できるという。
TeamsやSlackに対応したチャットボットを提供していることも、一般的なデータ連携ツールには見られない特徴だ。さらにクラウドやオンプレミスに分散するデータをつなげて、外部にAPIとして公開することも可能だ。
「非ITエンジニアの方も含め、誰もが簡単かつすぐに扱えるようになるので内製化が促進されます。また、クラウドネィティブなプラットフォームであるため、サーバーのサイジングが不要な上、処理量の変化に合わせて自動でスケールアウトも行われるため、契約時からすぐに開発・運用を始めることができます」と井上氏は話す。
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ここからはWorkatoが、実際にどのようにデータ連携を実現するのか、詳しく見ていきたい。
まずWorkatoでは「レシピ」と呼ばれるデータ連携のフローを作成することが基本となる。レシピは、特定の処理がいつ動くのかを定義した「トリガー」と、動いた後に何をするかを定義した「アクション」から構成される。要はこの2つの要素をGUI上のマウス操作で組み合わせるだけで、簡単にデータ連携フローを作成できるわけだ。
「例えば『Outlookで件名○○のメールを受信した』、『Salesforceに新規案件が登録された』といったトリガーを設定し、『BOXに添付ファイルを格納する』、『Teamsを通じて担当営業に連絡する』といったアクションにひも付けることができます。このようにWorkatoでは、ITの専門知識を持たない業務現場のユーザーも、情報システム部門に頼ることなく必要なデータ連携を自ら作成できます」と井上氏は説明する。
それでは、なぜWorkatoは様々なシステムと接続し、データを集約できるのだろうか。実現できる理由は、前述のレシピから使用できる「コネクタ」という部品だ。Workatoに標準搭載されたもので400種類以上、さらにベンダーなどが提供し公開しているコミュニティーコネクターを含めると、現在1000種類以上のコネクタが入手可能で、「著名なクラウドサービスにほぼ対応しています」と井上氏は強調する(図2)。
Workatoはクラウドやオンプレミスに分散する複数のシステムやサービス間の連携をワンプラットフォームで自動化する。データ連携で必要な機能やAPIをローコード/ノーコードで開発&変更することが可能だ
もちろん、オンプレミスのシステムとも、OPA(オンプレミスエージェント)を社内ネットワークに配置するだけで、シームレスなデータ連携が可能となる。
このようにWorkatoは、クラウドシフトの先にあるハイパーオートメーションやデータ利活用をワンプラットフォームで実現し、DX推進を支えていくiPaaS製品だと言えるだろう。
なお、日立ソリューションズでは米Workato社と販売代理店契約を締結しており、Workatoを外販するとともに、システム統合やデータ連携に関する様々な悩みを抱える企業を強力に支援していくという。
