意思決定の柔軟性で
進化のスピードに対応
伊藤忠テクノソリューションズ
デジタルサービス事業グループ
データビジネス企画・推進本部
本部長
久保田 さえ子氏
創業50年以上、ITで社会課題の解決に取り組むCTC。社員の7割がエンジニアだ。技術と知見で1万社を超える顧客企業とともに、価値創造に挑戦し続けている。AIに対する取り組み方について、久保田氏は「トップダウンによるAIリスクへの対処と、ボトムアップでAIを活用する組織文化醸成の両輪で進めることが大切です」と指摘する。
伊藤忠テクノソリューションズ
デジタルサービス事業グループ
データビジネス企画・推進本部
本部長
久保田 さえ子氏
CTCは、機密性の高いAI活用環境、AIサービスに関するガイドライン策定といったリスク対策を強化。安全を確保したうえで、日常業務はもとより開発プロセスにAIを適用して生産性向上を図っている。
AI技術は日進月歩だ。今日のベストプラクティスも、明日には劇的に製品群が変わる。「進化のスピードに対応するためには、意思決定の柔軟性も重要です。目的達成に向けて自ら動き、様々な外部システムと連携しタスクを実行するパーソナルエージェントは、ビジネスのあり方を大きく変えると思います。CTCはパーソナルエージェントが連携する仕組みにも取り組んでいます」(久保田氏)
分科会Discussion Report
DX担当者が語るAIの現在地と、
課題解決のポイント
全日本空輸、出光興産、三井倉庫ホールディングス、花王からDXやAIを推進する担当者が参加したCTCの分科会。少人数で膝を交え、活発な議論と意見交換が行われた。ファシリテーターは、日経BP 総合研究所の菊池隆裕。
左から、伊藤忠テクノソリューションズの溝井英一氏、三井倉庫ホールディングスの名取裕基氏、花王の浦本直彦氏、出光興産の澤井隆慶氏、全日本空輸の西郷彰氏、伊藤忠テクノソリューションズの寺澤豊氏、日経BP 総合研究所の菊池隆裕
AIはまだ特別な存在
本格的な活用はこれから
最初のテーマは経営戦略と、その実現に向けたAI活用の課題について。各社の現状把握から議論をスタートしたいと思います。
澤井
出光興産は、カーボンニュートラル実現に向けて様々な取り組みを進めています。地域の特性に合った循環型エネルギーのプランニングは、AI活用の貢献度が高い領域の1つです。課題は、AIが特別なものという感覚があることです。AI活用が習慣化しないと、AIをどう使うかという発想に至らないと思います。
西郷
コロナ禍後、ANAは新・経営ビジョン「ワクワクで満たされる世界を」を策定し、2030年に向かう成長軌道へ転換を図っています。ビジョン実現に向け、公共インフラの責務である安全安心・定時性の実現とともに、顧客価値体験の最大化、生産性向上などにAIの活用を推進していますが、まだ道半ばです。
名取
三井倉庫ホールディングスは、物流の中心である倉庫保管事業を軸に、港湾運送事業などを展開しています。「社会を止めない。進化をつなぐ。」というパーパスのもと、物流の使命をこれからも果たしていくためには、人手不足への対策が必要です。AIを活用した請求書の支払い処理の自動化などに着手しています。
浦本
花王では、グローバル成長戦略が重要なテーマとなっています。いかに世界のお客様から選ばれるか。化粧品は、欧米とアジアでは成分もコンセプトも異なります。また各国によって規制も違います。AIを活用し各国のトレンドや嗜好などの情報収集・分析をすることで、販売体制の早期化が図れます。
溝井
CTCが重きを置いているのは、お客様の経営戦略や「企業のあるべき姿」を未来図として、ともに実現することです。お客様の視点に立ち、最適な手段とノウハウを提供し経営課題の解決、持続的成長に貢献します。
AI活用は構造改革の視点が重要
AIと人との役割分担も大切
ビジネスでAIを活用する場合、費用対効果が問われます。どういう指標がありますか? また、費用対効果以外でAIを活用する領域について議論を進めたいと思います。
名取
AIを活用することで、人が作業するのと比べて時間、工数、コストがいくら削減できるか。数字で示す効果が指標になっています。AIに限らず、他のツール導入も同様です。
澤井
当社でもコスト削減効果は重要な指標です。燃費を最適化する輸送ルートをスケジューリングする際、様々な条件が複雑にからむため、人による対応では限界がありました。AIを活用することで、大幅なコストダウンを実現し、仕組みづくりに投資した費用も回収できました。このケースでは費用対効果が出ています。
溝井
CTCでは、お客様とAIを活用したPoCを多数実施していますが、投資対効果の観点では工数削減のメリットだけではなく、人材のリスキルや配置転換など全体的な課題解決も効果の1つかと考えています。
寺澤
ベンダーとして、どうしてもIT視点で考えてしまうのですが、経営観点からのアプローチも必要ですね。
浦本
花王も生成AIの活用を進めています。会議の要約やレポート作成、壁打ちなど仕事のやり方が変わっていくと思う半面、これは個人的意見ですが、本当に変革につながるのだろうかと感じています。生成AIを活用し、会社の構造自体を変えていく視点が重要だと考えています。
名取
費用対効果以外でAIを活用するケースでは、人材不足への対応があると思います。労働力人口が減少する中、AIを使わないと仕事が成立しないケースも出てきています。
澤井
今の仕事をAIに奪われるという働く人の危機感のもとで、AI導入を進めざるをえない国は、抵抗が大きいと思います。人手不足を解消するためにAIを導入する状況の日本は、AI活用を進めやすい側面もあります。
西郷
AIと人との役割分担も重要なポイントになると思います。ANAではAIを活用しカスタマージャーニーの様々なタッチポイントでスムーズな体験を提供しています。一方で「おもてなし」の気持ちは人ならでは。海外航空会社との明確な差別化要因となります。
時間がたつのを忘れていました。本日は示唆に富むお話をいただき、ありがとうございました。








