グローバル体制で推進する
電通グループのAI活用戦略
電通といえば、広告をイメージする人が多い。だが、電通グループはいまや広告・マーケティングの領域にとどまらず、コンサルティングやシステムインテグレーションにまで事業を拡張。顧客の成長を総合的に支援する、「Integrated Growth Partner」へと進化を遂げている。
dentsu Japan
データ&テクノロジープレジデント(工学博士)
松永 久氏
その展開は、国内外にあまねく広がる。国内においては、グループ140社・2万3000人から成るdentsu Japanブランドを構築。加えて、世界約120カ国・6万8000人規模にわたるグローバルネットワークも見逃せない。グローバルな事業展開は、AI活用の面でも大きな強みとなっているようだ。
「AIに国境はない」と松永氏は言う。
dentsu Japan
データ&テクノロジープレジデント(工学博士)
松永 久氏
「AIの活用にあたっては、グローバルな視点と責任あるガバナンス体制の両立が不可欠です。そこで電通グループは、ビッグテック各社とグローバルにおけるパートナーシップを強化。最先端のAIテクノロジーをクライアント様と共に社会実装し、その評価や課題をビッグテック各社にフィードバックすることで、テクノロジーを進化させるエコシステムを構築しています」(松永氏)
もちろん、AI活用を推進する人財も重要だ。dentsu Japanでは、日本ディープラーニング協会のG検定取得者を1100人以上擁し、社内のAIリテラシー向上にも注力。各領域に精通した多様な人財がAI活用に取り組んでいる。
その行動規範となる戦略が、「AI For Growth」だ。
「大切なのは、人とAIのセッションを通じて、互いの知を拡張すること。拡張された人の思考プロセスを学ぶことで、AIはさらに進化します。人とAIはいわばパートナー。共に高め合うことで、新たな価値を創出していきます」(松永氏)
AIと共創して新たなイノベーションを生み出すことで、顧客企業の成長に貢献していく
「効率化」だけではなく
「需要創出」するAIへ
あらゆることがデータで捕捉できる時代。求められるのは、ユーザーのプライバシーに配慮しつつ、企業の多様なニーズに対応できるマーケティング基盤だ。
dentsu Japanは、2016年からプラットフォーム事業者と連携し、許諾取得済みのデータをセキュアに分析できる「データクリーンルーム」を活用。国内最大級の規模と質を有する生活者データ基盤を構築している。
「生成AIの活用により、ID単位に限らない情報の掛け合わせも可能となります。膨大な生活者データと、当社とお取引のある約7000社の広告出稿データや電通独自の広告調査データもAIに学習させることで、真のマーケティングプロセス変革が実現できると考えています」(松永氏)
dentsu Japanが目指すのは、単なる効率化にとどまらない。生成AIの活用により、新たな需要や事業を創出していく。それが、企業と社会の持続的な成長に寄与する鍵だと確信している。
「我々は、『AI For Growth』の戦略のもと、あらゆるプロセスを変革していきます。事業変革、社会変革につながるイノベーションを生み出すことで、企業と社会の成長に貢献してまいります」(松永氏)
近未来のAI×マーケティングを
動画でデモンストレーション
AI活用によって、マーケティングはどこまで進化するのか。会場では、それを可視化したデモ動画も披露された。
2027年のマーケティングを、AIと共作した動画で紹介。マーケティング戦略の立案から企画書作成、生活者シミュレーション、360度体験設計、ROI分析に至るまで、AIが全プロセスをシームレスに支援する様子が示された
舞台は、近未来のマーケティング部署。そこでは、AIが企業内のあらゆる「暗黙知」をデータ化し、吸収・共有する世界が描かれている。生成AIは商品コンセプトやデザイン案を次々と提案し、生活者の反応もAIペルソナがシミュレート。さらに、優れたクリエイティブを引き出すブリーフもAIが学び、クリエイターやプランナーとの共創で新たな表現を生み出す。
制作物は広告から店頭、イベントまで一瞬で生成され、ROIマネジメントもAIが担当。これらすべてのマーケティング結果がAIの学習データとなり、次の進化に活かされていく。
特筆すべきは、「経験しなくても経験できる」というコンセプトだ。現実そっくりのシミュレーション環境を用いることで、売上予測やSNSの反応を事前に検証し、マーケティングの精度を飛躍的に高めるという。
「dentsu Japanは、AI活用における包括的支援体制として、前述のG検定取得者のみならず、800人規模のビジネストランスフォーメーション人財を擁し、お客様の事業変革そのものに伴走する環境を整えています。『AI For Growth』が拓く、近未来のマーケティングにご期待ください」(松永氏)
分科会Discussion Report
AIソリューションを体験
可能性を広げる
AI×マーケティングの未来
分科会では、dentsu JapanでAI活用を統括する並河進氏によるワークショップが開催された。会場では、企業のCMO(最高マーケティング責任者)やマーケティング担当者が参加し、AIソリューションを実際に体感しながら、AI×マーケティングの可能性を議論。ディスカッション内容をその場で整理・可視化するAIの効能を目の当たりにし、会場の熱気は一層高まった。








