廃棄していた「摘果みかん」を「宝」に変える

長崎県立大など「みかん発酵茶」開発、機能性表示目指す

 長崎県立大学シーボルト校や長崎県農林技術開発センターなどを中心とする研究グループは、「みかん発酵茶」と呼ばれるまったく新しいタイプの飲み物の開発を数年前から本格化させている。これは従来廃棄されていた「摘果みかん」と、「一番茶」に比べ香味が劣る安価な「三番茶葉」を利用して作る発酵茶の一種で、「血流改善」など健康の維持や増進に貢献する多くの機能性が期待されている。
「食と健康」に対する人々の関心が高まるなか、健康食品としての新たな需要の掘り起こしが見込まれ、地域創生の起爆剤としても期待されるみかん発酵茶について、研究開発の中心的役割を果たしてきた長崎県立大学教授 田中一成さんと、長崎県農林技術開発センター主任研究員 宮田裕次さんの2人に話を聞いた。

 長崎県中央部の大村湾南岸を町域とする長与町は高度成長期以降、隣接する長崎市のベッドタウンとして都市化が進んだが、もともとは自然豊かな農業地域。丘陵地で育てられているみかんが名産品として有名だ。このため、町のほぼ中心部に位置するJR長与駅の外観も地元の特産の「みかん」をイメージして作られており、駅前東口には長与町のイメージキャラクター「ミックン」の像がこの町を訪れた人々を迎えている。

ミックン
長崎県立大学シーボルト校の最寄駅(長与駅)前にある、長与町のイメージキャラクター「ミックン」の像。地元の特産品であるみかんをモチーフにした「ゆるキャラ」だ。
地元のバス
名産品であるみかんの絵が地元のバスにも描かれている。

 今回、みかん発酵茶の開発物語を聞くために、長与駅から徒歩15分ほどの場所にある「みかん発酵茶」の研究拠点の一つ、長崎県立大学シーボルト校に同大学教授の田中一成さんと長崎県農林技術開発センター主任研究員の宮田裕次さんを訪ねた。

田中一成さん、宮田裕次さん
みかん発酵茶の開発を進めている長崎県立大学教授の田中一成さん(左)と、長崎県農林技術開発センター主任研究員の宮田裕次さん(右)。(写真:荒川修造)
長崎県立大学シーボルト校
長崎県立大学シーボルト校(長崎県長与町)。栄養健康学科では栄養学の専門家として社会の幅広い分野で貢献できる人材を育成するとともに、食品開発や食品の機能性・安全性の研究に取り組んでいる。(写真:荒川修造)