




続けて、今度は刈り取ったお米を精米している場所を2カ所取材してみました。
1カ所目は地元の農業組合が運営している半公営の精米所です。こちらでは田んぼから収穫したお米をまとめて精米して、袋詰めしたあと、ケニア国内各地へ販売するところまでを一手に引き受けます。日本の農協のような役割を担っているわけですね。
ケニア最大の穀倉地帯のお米の大半はここから出荷される、というわけです。
ただし、農家からするといくつか不満があるそうです。それぞれつくったお米を組合がまとめて出荷するため、最終的に個々の農家にお金が入るまでにどうしてもタイムラグができてしまうんですね。
すぐにでも自分の作ったお米を現金化したい、あるいは自分のお米は自信があるので自ら売りたい、という農家のニーズに応えるサービスが、こちらの農業組合の施設から1キロほど離れたところにありました。民間の精米会社です。
こちらでは、個々の農家がじぶんの作ったお米を持ち込んで、個別に精米してくれます。このためすべての米袋にはそれぞれの農家の名前が書いてあります。精米会社は精米と袋詰めのサービス料を農家からもらう仕組みです。農家は自分のつくった米をこちらで精米してもらい、すぐに自分の手で持ち帰り、販売できる、というわけですね。さきほど、農村に自分の米を売りにきたおじさんも、こちらのサービスを利用していました。
そもそもムエアの農協ができたのは90年代終わりのことだそうです。
それまでムエアの稲作事業は国家主導ですべて行われていました。けれどもお米作りの腕を上げていった地元農家たちが、もっと自分たちの自由に米を売りたい、という声を上げるようになり、結果としてできたのが、こちらの農協だったそうです。
ただし、農協が主体となると、やはりすべての農家のお米が一緒くたに売られてしまいます。農家の中には、自分の米に誇りを持ち、自分のブランドで売りたい、というやる気のある人たちも出てきました。
民間精米所はそんな農家のニーズもくみ取っているわけですね。日本でいうところの「××さんのお米」という売り方が、ケニアでも始まりつつあるのです。

農協と民間、どちらの精米所にも共通課題がありました。それは精米機の水準が著しく低いため、凄まじい粉塵が立ちこめていることです。特に民間精米所のほうでは、マスクを借りて取材したのですが、それでものどに粉が入ってくるほどのひどさでした。
長く現場で働いていると、確実に気管支系に障害をもたらしかねないレベルです。聞くとどちらも中国産の精米機を使っていました。日本の精米メーカーはケニアに進出していないそうです。JICAのスタッフの話によると、「価格競争で中国産にはかなわない」そうです。が、ケニアの農村部がもっと豊かになれば、市場規模も広がるわけですから、十分に参入余地が出てくるはずです。
現場で働くひとの健康を鑑みても、ぜひ日本の精米メーカーには進出してほしいものだ、と実感いたしました。