VAIO
開発本部 プロダクトセンター長
黒崎 大輔 氏
コンシューマー向けPCとして数々のヒット作を生み出してきたVAIOだが、現在は法人向けPCの販売が約9割を占める。とくにコロナ禍以降は法人向けPCビジネスが急成長しており、PC市場全体が減少もしくは低成長を続ける状況にあって、VAIOは出荷台数を大きく伸ばしているという。その要因について、VAIOの黒崎氏はこのように分析する。
VAIO
開発本部 プロダクトセンター長
黒崎 大輔 氏
「好調の原因はコロナ禍を経たことによる意識変化です。在宅勤務の頃は1台のPCに向き合って黙々と1人で作業することになりましたが、それを機に、PCへの意識が高まりました。素敵なオフィスを提供するのと同じように、より良いPCにもっと投資すべきではないかとの傾向が強まったのです。このニーズに、VAIOが提供する『生産性が高く働けること』『働くモチベーションを高める道具であること』『日本のものづくりを生かした高い信頼性』という3つの価値がぴたりと合致しました」(黒崎氏)
働く人たちの意識の変化は総務省調査でも裏付けられている。コロナ禍でのノートPCの導入目的はあくまでも非常時対応だったが、収束後はワークライフバランスや業務効率向上へと目的がシフト。「つまり、『働き方を良くしたい』という本来の意味でのモバイルワークとして、再び進化しているのです。我々はこの状態をシン・モバイルワーク時代と捉えています」(黒崎氏)。
シン・モバイルワーク時代に鍵となるのは、「場所に主従のない働き方」や「働く人のエンゲージメント重視」だと黒崎氏は説く。「PCを道具として使えればいいだけではなく、気持ち良く、愛着を持って使えることが求められるようになってきました。そこでVAIOでは『生産性も働く気持ちも高めるPC』をテーマに開発を進めています」(黒崎氏)。
感性に響く、気持ち良い使い勝手を追求。細部にまで工夫が施されている
生産性の観点で紹介したのが、Web会議にフォーカスした機能だ。VAIOの調査によると実に89%の人がオフィス自席でのWeb会議を余儀なくされており、多くの人がノイズ抑制に悩んでいるとの結果が報告された。そこで役立つのが、周囲の音を極限までカットするAIノイズキャンセリングである。黒崎氏によれば、VAIOの本体マイクで明瞭に話者の音声だけを伝えることができるという。また、特定方向の声だけを拾うプライベートモードも実装している。
「VAIOの最新機種は3Dマイクと、数億サンプルのデータを学習済みのAIを組み合わせているので、どのような場所でも周囲の音を気にせずにWeb会議を行えます。キーボードに専用キーを設け、Web会議のシーンに合わせたモードを簡単に選べるようにしています」(黒崎氏)
続けて、集中して作業するためのソリューションについて触れた。2024年7月には、約325gの超軽量ながら14.0型ワイドを確保したモバイルディスプレイ「VAIO Vision+™ 14P」を発売。付属スタンドを用いてノートPC画面の上側に設置できるのが特徴で、「両方をメインディスプレイとして利用でき、姿勢が良くなる利点もあります」と黒崎氏は説明する。電源ボタンをなくし、PCからケーブル1本で給電する仕組みだが、これはセットアップに極力手間をかけず迅速に使えることを狙ったからだ。
もう1つのテーマである「働く気持ちを高めるPC」では、2024年10月にフラッグシップの14.0型ワイドのモバイルPC「VAIO(R) Pro PK-R」を発表した。高いデザイン性を誇り、1kgを切る軽量・堅牢ボディで持ち運びやすさにも配慮。中でもこだわったのがカラーバリエーションで、新色「ディープエメラルド」は法人向けPCとは思えないほどスタイリッシュだ。
「社員一人ひとりに好きなカラーを選んでいただいた法人のお客様もいます。『多彩な色のPCを持ち込めば会議でも多様な意見が出ると思っている』とのコメントを聞いて、社員のモチベーションを上げることが生産性にも影響することを改めて実感しました」(黒崎氏)
かねてより重んじてきた「持つ喜び」のDNAを投入したVAIOは、確かに働く人たちの気持ちを高めてくれるデバイスだ。これからも国産PCメーカーの雄として、「生産性も働く気持ちも高めるPC」を進化させていく。