大学農業サークルと農家が「いい関係」を続けられる理由

~神戸大学農業サークルと丹波篠山市西紀南地区の「恋」ものがたり

拠点と収益があること、自主的な参加の尊重が活動のベースに

昼食は恵さんの手作り。この日はおでん「寒いから体が温まるように」との思いが込められている(写真:水野浩志)
昼食は恵さんの手作り。この日はおでん「寒いから体が温まるように」との思いが込められている(写真:水野浩志)

 活動が発展的に続いている要因はいくつかある。

 1つは、まちづくり協議会の集会所「みなみ・ほっと・サロン」を拠点として使用できることだ。宿泊など活動拠点になっているだけでなく、第2第3のふるさとになる。休日に訪れれば誰かしらがいるため、OB・OGも参加しやすい。5月の連休には1期生、2期生も集合して農家へ手伝いに行き夜はみんなで集まる、同窓会さながらの集いになっている。

 2つめは、サークルにも収益がもたらされる仕組みを作っていることだろう。耕作地を北山さんが学生に提供。学生は「にし恋 Farm」として黒枝豆を育て、販売している。昨年は収穫後、東京へ新幹線と夜行バスの2チームに分かれて運びこみ2日間で80㎏を完売。学内や関西各地・東京のマルシェで合計580㎏を売り切った。その収益が交通費補助やプロジェクト活動の原資になり、幅広い活動を支えている。

 3つめは、「学生たちの活動を、問題解決の救世主と考えないこと」だと北山さんは指摘する。人手不足、後継者不在、高齢化など農村の問題は山積しているが、「農家や地元のみなさんには、『学生たちに知恵を貸して、何とかしてほしい』と言わないでほしいとお伝えしています」(北山さん)。問題を前面に出すと、まじめな学生たちにとって負担や重荷になり、結果的に離れていってしまう。「学生にとって本業は学問。気楽に来ることができる環境をつくり、また篠山に、西紀に行きたいと思ってもらえればいいというある種の割り切りが必要です」。

 人との交流や農作業のなかで、感じ取るものや意識してくれるものがあれば、自ら取り組もうという気持ちになる。

 「行きたい」という意識を尊重して関係を築くことに徹してきたことが、継続的な活動につながっているのだ。

北川さんのアドバイスを受けながら黒枝豆を選別する(写真:水野浩志)
北川さんのアドバイスを受けながら黒枝豆を選別する(写真:水野浩志)

 実際、活動を重ねてきたことで信頼関係が築かれ相互の自発的な動きが広がっている。

 「私たちは土日しか来られないため、「にし恋 Farm」の黒枝豆の防除をしてくれる農家さんがいたり、天気が荒れたときに畑を見に来てくれる方がいたり、助けていただいています」(田口さん)。学生たちと農家以外の地域とのつながりも生まれている。地域のスポーツ大会に学生チームで参加を頼まれたり、学生が独自に企画をして冬はもちつき大会、夏は流しそうめんなどのイベントを行ったりと、交流を深めている。