深谷市が掲げる2大戦略の1つが「ベジタブルテーマパークフカヤ」構想だ。
簡単に言うと、2022年にオープンする2つの大型商業施設を集客装置として使い、ここ集まってくる人たちを、野菜や飲食関連の様々なコンテンツで市内全域に呼び込み、回遊してもらう戦略になる。
深谷市としては、観光客に商業施設でお金を落としてもらうだけでなく、足を伸ばした先でも消費してほしい。そして、市内回遊によって飲食業、宿泊業、農業の活性化を図り、ひいては深谷の農産物のブランド価値を高めるところまでつなげたいという考えだ。少し詳しく見ていこう。
深谷市の南西部に関越自動車道花園インターチェンジがあるが、この周辺を広域的な交流や連携の拠点にすることを目指す「花園IC拠点発!元気な産業ふかやプロジェクト」という計画が進んでいる。この花園地区に2つの商業設備を2022年に開業する予定で準備が進められている。
1つ目が、マヨネーズのキユーピーが2022年春に開業する「深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム」(仮称、以下、深谷テラス)であり、もう一つが2022年秋にスタートする三菱地所・サイモン株式会社の「ふかや花園プレミアム・アウトレット」(仮称、以下プレミアム・アウトレット)である。いずれも市南部の花園地区という場所に隣接した状態でオープンする。今はその造成が進められている最中だ。
後者のプレミアム・アウトレットは、約17万6,800m2という広大な敷地に平屋で2万5,000m2の上物が建つ巨大施設になる。ここには高級ブランド・ショップや国内アパレルのほか、雑貨店や飲食店など、合計100~120店が入居する予定だ。
残念ながら、これまで深谷市には魅力的な観光資源はあまりなかった。南西部を通る関越自動車道も花園インターチェンジはあるものの、いかんせん降りる人は少ない。市中央部を北陸/上越新幹線が東西に横切るが、市内に新幹線の駅はない。観光的な視点での深谷市は、典型的な「通り過ぎるところ」だったわけだ。移動時間も、車でも在来線でも2時間近くかかる。観光地としての魅力は薄いと言わざるを得ない。
深谷市にとって、花園地区に出来る2つの商業施設は念願の「人を降ろすための集客装置」なのだ。
同市では、ここを起点に、流入客を市内に呼び込むためのコンテンツを準備している。核になるのが「深谷ねぎ」をはじめとする市特産の野菜である。具体的には、季節ごとに市特産の野菜を使った料理フェアを協力飲食店で一斉に展開したり、生産者が主催したりする収穫体験イベントや交流イベント、フェスなどで、2つの施設への来客を市内に誘う。
深谷市産業ブランド室の福嶋氏は「年間650万人の人がいらっしゃるという推計がありますが、ここ(花園地区の2拠点)に寄って帰ってしまうだけでは地域経済への好影響は限定的です。なんとか市内を観光回遊してもらえる仕組み作りを行いたい。ベジタブルテーマパークフカヤ構想をまち全体で展開していこうと考えています」と意気込みを語る。さらに、2021年にはNHK大河ドラマで深谷市出身の渋沢栄一が取り上げられる。「期間限定ですが大河ドラマ館がオープンになりますし、渋沢栄一翁の新紙幣も発行されます。追い風が続きますので、そこをうまく活用していきたいと考えています」と期待は膨らむ。