menu

このページのコンテンツには、Adobe Flash Player の最新バージョンが必要です。

Adobe Flash Player を取得

各国からの支援はこの5年間に集中

池上

日本の農業支援のあらましがだいたい把握できました。では、2008年以降、増加しているといわれる、民間資金の投資状況はどうなっているのでしょうか?

窪田

全体像を把握するのがとても難しい状況にあります。国レベルでの国際協力はともかく、各国の企業がどのようにアフリカの農業に投資をしているのか、公表されていないからです。また、報道された事例がすべて実際に投資につながったということではなく、そのなかで、ランド・マトリクス・プロジェクトが発表したレポートには、メディアで報道されている全世界のアフリカの農地への投資案件のうち、約3割が実際の契約にまで到っているのではないか、と記されています。

池上

アフリカの土地に対する投資は、面積で言うとどれくらいでしょう。

窪田

調査した対象期間で、合計3430万ヘクタールくらいとされ、全世界の投資対象の土地の約半分を占めています。

池上

ということは、アフリカの農地面積11億6900万ヘクタールの、3%程度、もし、作物を作っている耕作地に限ると2億5800万ヘクタールですからその13%に上るわけですか。この数字は、アフリカの耕地が先進国企業によってどんどん買収されている、と見るべきでしょうか?

窪田

既存の耕地を購入・長期リースしている、という側面もありますが、むしろこれまでただの荒地だったアフリカの土地に2008年以降の穀物価格高騰以降、投資マネーが入り、新たな耕地が増加した側面もあると想像しています。ただ、誰も使っていない荒地だったのか、誰かが休ませながら使っているような土地であったのか、といった土地の来歴については、なかなか現状把握が難しいと思います。

また、投資側は、上記のレポートによれば、中国、インドなどアジア諸国、産油国、また、アフリカ域内からの投資も盛んであることがしめされています。

農業分野への投資というのは、土地だけに限りません。いま、アフリカの穀物生産には、欧米あるいは多国籍の種子会社、化学会社などが大きな興味を示しています。

池上

といいますと?

窪田

2011年、12年と2年連続で、タンザニアとエチオピアで、アフリカ各国あるいはアフリカ連合と世界経済フォーラムとが農業分野への投資会議を共催しています。この一連の会議は、「グロウ・アフリカ投資フォーラム」と名づけられ、タンザニアやモザンビークなど7カ国の構想が紹介され、アメリカの国際開発庁が支援するかたちで、投資の意図のある企業と投資を受けたい国との間のマッチングを行ったと聞いています。

見え隠れするアメリカ政府の思惑

窪田

すでに、欧米の大手ビール醸造会社がアフリカに進出しています。これまで、アフリカでのビール事業は、原料をアフリカ外部から輸入してアフリカ現地で生産してきましたが、今後は原料の調達もアフリカの現地生産品へ切り替えていこうとしています。輸送コストがかかるでんぷん原料はアフリカ産に切り替えていこうとの戦略です。ビールの原料である大麦が生産できる国はかぎられているので、すでに小麦、キャッサバ、ソルガムなどが使われ始めているそうですが、その現地生産比率を高めるための投資を増やしていく、と各社は述べています。

また、穀物メジャーも、まだ扱い量は限られているそうですが、先行投資として現地法人を設立し始めています。

池上

各国からの民間投資は盛んに動き始めているんですね。

窪田

こうした動きに合わせ、先ほど話題にのぼった土地制度の改善や、規制が強い種子セクターの改善など、投資環境の整備をアフリカ諸国に求める民間セクターの声は高まる一方です。

以上の流れを受けて、先進国の政府側も動きを見せています。米国政府は、もともと民間企業がアグリ・ビジネスの展開をアフリカで行うことにさまざまな支援を行ってきましたが、ここ2年ほどは、投資環境を整備しようと、投資家の声を集約し、アフリカ向けの投資フォーラムの開催を支えるなど、活発に行動しています。

池上

やると決めたら、アメリカは政府も企業も迅速に動きますね。

窪田

はい。アメリカは、食料の安全保障が議題の一つになった2012年のG8のホスト国でもあったので、アフリカの農業への積極関与というのは、その布石でもあったのでしょう。

池上

日本企業の動きはいかがですか?

窪田

先ほど紹介しました、2012年5月に開催された「グロウ・アフリカ投資フォーラム」には、主宰者である世界経済フォーラムが欧州主導のイベントであったせいでしょうか、日本企業は一社も参加していませんでした。このイベントだけがアフリカへの投資参入の道ではありませんが、次回からはぜひ多くの日本企業にも参加してほしいと思っています。

というのも、アフリカ諸国への投資に関する情報がまとめて紹介される上に、アフリカにおける投資の規範のあり方などもさかんに議論される場でもあります。アフリカを目指す日本企業にとって、またとない情報収集のチャンスになり得るはずです。

池上

2012年のG8での食料安全保障についての会合では、"種子"に関する話題も少なくなかったと聞いています。アメリカには、種子ビジネス最大手のモンサントがありますからね。アフリカでの農業ビジネスに、米国お得意の種子ビジネスが入り込む可能性はあるんでしょうか?

窪田

大いにあります。実はすでにG8の論議として、アメリカでは民間の力を活かしてアフリカの農業を支援する枠組みを作ろうという動きが始まっています。モザンビークの農業支援に対しては、投資環境の整備に関して、日米で議論をリードすることになっています。

アメリカ政府は、コンサルティング企業に委託して、民間セクターの声を吸い上げる作業を行っています。アフリカ域内やモザンビークの企業の声も反映されているそうですが、内容を見ると、土地制度や種子ビジネスに関する規制緩和などなど、「アメリカを含むアグリビジネス企業の意向」が色濃く反映されています。こうした規制の緩和が民間セクターの発展に不可欠、というのが米国の意思でしょうね。

もちろん、種子ビジネスにしても、最大のお得意様は地域で大多数を占める小規模生産者ですし、アメリカの意図も、海外からの投資が寡占するのではなく、地元のビジネスとパートナーシップを形成するところにあるとされています。

池上

なるほど、アメリカらしいですね。

種も大切だが、栽培方法も大切
SUPPORTED by JICA
日経ビジネスオンライン 会員登録・メール配信このサイトについてお問い合わせ
日経BP社 会社案内個人情報保護方針/ネットにおける情報収集/個人情報の共同利用 著作権について広告ガイド

日経ビジネスオンライン SPECIALは、日経BP社経営情報広告部が
企画・編集しているコンテンツです。

©2006-2013 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.