アビームコンサルティング
AIの進化は製造業の競争軸を大きく変えつつある。アビームコンサルティングの橘氏は、グローバルトレンドと日本の現状を踏まえ、現場データを起点に事業価値を再設計する重要性を指摘。「技術立国」から「統合立国」への転換が日本の勝ち筋となる。
アビームコンサルティング
執行役員 プリンシパル
Head of Intelligence &
Research Institute
橘 知志氏
「CES 2026」を訪問した橘氏は、コンシューマー向けから産業技術の社会実装へと流れが大きく変わり、AIが産業基盤となる「Intelligent Transformation(知能化を前提とした産業変革)」が進展していると指摘。特に、ロボットと結びつき動作を担う「フィジカルAI」の活用が進み、AIが実空間で価値を生むフェーズへ移行している点を強調した。
だが、日本の立ち位置は楽観できない。元来、ロボティクスは日本が強みを持ってきた領域であるが、AIの進展に伴い主導権は徐々に米中へと移りつつある。一方で例外やノイズを含む豊富な現場データは日本の強みであり、これこそが差異化の源泉になると橘氏は語る。
しかし、その強みは十分に生かされていない。暗黙知への依存や部門サイロなどが壁となり、データが意思決定に活用されない。「データはあるが価値変換装置がない」という構造的課題が、DXをPoC止まりにとどめている。
日本の製造業は何を変えるべきか。橘氏は3つの方向性を示す。1つ目はロボットを「学習・判断する労働力」と捉え、AIで人の技能を継承すること。2つ目は、企業や業界を越えてデータを安全に共有・活用できる仕組みを構築し実装を進めること。3つ目は、全社横断のデータ統合で現場と経営のKPIを連動させる基盤を整備することだ。
さらに重要なのが、全体最適の視点だ。個別工程の効率化にとどまらず、生産・物流全体の工程を細分化し、自動化の余地を見極める。こうした積み重ねが部分最適からの脱却につながる。その先にあるのが、日本の勝ち筋の再定義だ。海外勢が資本力などで勝負する中、日本は統合・集約で競争力を発揮すべきと橘氏は説く。「技能者から設計・統合者への転換」が必要だ。技術単体ではなく、設計・統合・運用まで一体で価値化する力が目指すべき方向だとする。自社事業の勝ち筋を見極め、それを支えるビッグピクチャーとAI活用戦略を描けるか。豊富な現場データを産業全体の価値へと引き上げる構想力と実装力の両立が、今、製造業に求められている。
アビームコンサルティングが示す日本の製造業の勝ち筋
現場・品質・信頼という強みを核に「統合・集約」で勝つ戦略へ転換。従来の「技術立国」から、技術を組み合わせて価値を創造する「設計・統合・運用立国」へのシフトが鍵を握る
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日経BP 総合研究所
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東京エレクトロンデバイス
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