ブリヂストン
製造・物流の自動化が加速する一方で、「つかんで運ぶ」はなお現場最大の難所である。様々な形状やサイズの部品を安定して扱うことは難しく、多くの工程が人手に依存してきた。ブリヂストンのソフトロボットハンド「TETOTE」がその“柔軟性”で壁を越え、自動化の適用範囲を広げる。
ブリヂストン
ソフトロボティクス ベンチャーズ CEO(最高経営責任者)
音山 哲一氏
ブリヂストンがなぜソフトロボティクス事業に取り組むことになったのか。工場において、従来の産業用ロボットは「早く」「力強く」「高精度に」という価値で加工などの作業で発展してきた。一方で、自動化できておらず人手が介在する複雑な作業があり、製造・物流・小売などの分野の特定作業に寄り添いながら、「人と協働する」ロボットの重要性が高まると同社の音山氏は指摘する。そこで重要になるのが、“様々なサイズ・形状の物を持ち運ぶ”という人間にとって当たり前の能力だという。
そのためにブリヂストンが提示する解が、ゴム人工筋肉を指として搭載したロボットハンド「TETOTE」である。この人工筋肉は、中のゴムチューブに空気を注入することでしなやかに曲がる。これにより、人の手に近い“いい感じにつかむ”を実装する。音山氏は、こうした柔らかいロボットが安心・安全という利点に加え、微小なズレや接触を許容できる点を強調した。
続いて講演では、TETOTEの具体例として実際に現場で採用されている自動車工場での事例が動画を交えて紹介された。重量物対応モデルであるTETOTE ストロングモデル-12は加工工程で大型部品を投入する作業などに使われ、10kg超のエンジンケースをパレットから持ち上げ、指定の場所にセットするシステムを紹介。音山氏は、「従来の金属ハンドと金属部品の組み合わせでは、少しでも接触すると過負荷でロボット動作が止まることがあるのに対し、TETOTEの指が空気ばねのように働くことで衝撃を吸収しスピーディーかつ安定稼働に寄与します」と説明する。
中型のTETOTE ストロングモデル-6は、長尺で扱いにくい樹脂部品の射出成形機からの取り出し・棚入れなどに適用される。さらに、他にも「従来、2人程度かかっていた作業の部品搬送をロボットが担うことで、人はより難しい組み付け作業に集中できる」という役割分担が示された。
また組立前段取りのキッティング工程では、「棚から仕切り箱を引き出して多品種部品を正確に取り出し、定位置に置く」ところまでを行う作業を紹介。ラベルや保護カバーの取り外し、置き姿勢を変えるための器用な作業までを含めて自動化している。
治具をフレキシブルに置き換えながら多品種に適応する運用では、柔軟な把持が有効であることを強調した。音山氏は、こうした工程こそ「現場の知恵が集約された工程」だと述べる。最後に、TETOTEによる人とロボットの共生が「現場のモチベーション向上にもつながっていく」と説明した。
ソフトロボットハンド「TETOTE」のラインナップと採用・検証事例
人工筋肉を指として搭載したソフトロボットハンド「TETOTE」が様々な対象物の安定把持を実現。製造の多様な工程に適用されている
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