果樹や洋蘭栽培のスコレー(岡山市)は、2017年にこの実証実験に協力した。洋蘭の仕立て作業やアレンジメントの前後で参加者の唾液を採取して分析したところ、「コルチゾール値が約半分まで減少」(千葉氏)、参加者からは「楽しい体験だった」と評判も上々だったという。
スコレーの大内巌社長は、「実証データがとれることの意義は非常に大きい」と力を込めた。「農閑期の体験希望者の受け入れを事業化すれば、農家にとっては新しい収入源になります。そのためには、データを元に体験プログラムを作り、お客さんに効果を提示する必要がある。実証データは欠かせません」
ちなみに、スコレーでは、来年からブドウの木のオーナー制度をスタートさせるべく、現在準備中だ。「企業にオーナーになっていただき、福利厚生に役立ててもらう。ブドウを育てる、収穫する、食べる、ジュースを作る……。体験しながらゆっくり過ごせる場所とサービスを提供していきたいですね」と大内社長。すでにいくつかの企業が興味を示しているという。
実は、実証実験の狙いもそこにある。
「これからは、人口が減り、国内の『食べる』需要は縮小していくばかり。どうあがいてもこの市場だけで勝負するのは限界です。ここは大きくパラダイムをチェンジして、農地を活用して消費者にストレスをケアするサービスを提供し、そこから対価を得るということを考えていかなくてはなりません」(千葉氏)
実証実験によりエビデンスがとれたことで、このようなサービスの売り込みはエビデンスがないときよりもずっとやりやすくなるはずだ。「企業と提携して農閑期に定期的にアグリセラピーの人を受け入れる、棚田セラピーなどの形で滞在型のストレス解消ビジネスを展開する、定年起業した人が農業を行う選択肢にもなりそうです」と千葉氏は指摘する。
農業者や体験農園の農園主には、ビジネスチャンスの到来と言っていいかもしれない。