石崎 徹
専修大学 教授
新たに生まれ変わって3回目の「日経BP Marketing Awards」の審査会に臨んだ。3回目ともなると、審査会もだいぶ安定してきた感がある。今回も選りすぐりのエントリー作品ばかり、純広告あり、タイアップあり、多メディア展開ありと、多様な展開方法がとられていた。また、どの部門でも入賞してもおかしくない作品がたくさんあり、そういう意味では審査員泣かせのクオリティの高さであった。
審査員で一致した見解が出たのは、見事グランプリに輝いたパナソニックの「未来コトハジメ」である。同社によれば、ビジネスパーソンが気にする社会課題の所在と解決策、そして解決された後の豊かな未来の姿をテーマにしているとのこと、特番サイトと雑誌純広を用いて上手に訴求している。クリエーティブ面でも同社の得意とする特徴が十分出ており、あらゆる面でクオリティの高さが見受けられた。文句なしのグランプリ作品である。
クリエーティブ部門は比較的に審査基準が分かりやすいが、イノベーティブ部門とストラテジック部門はなかなか悩ましい部門であったというのが正直なところである。優れた作品は、イノベーティブでありストラテジックであるからだ。そうした中で、コミュニケーション戦略としてのイノベーティブ性やストラテジック性に審査員は注目したように思われる。また、オーソドックスな展開の作品も選ばれているのが、このAwardsの一つの特徴になりつつあるようだ。