【ストラテジック部門 最優秀賞|UBS銀行】日経BP Marketing Awards 2017

受賞者インタビュー

UBS銀行 カスタム書籍を軸にした
新しいマーケティング手法で
富裕層ビジネスを牽引

写真:ビクター・チャング氏

ビクター・チャング
UBS銀行 東京支店
ウェルス・マネジメント ジャパン ヘッド

森田 富裕層向け金融サービス「プライベートバンク」の顧客獲得のため、日経マネーから出版した解説ムック『初めてのスイスプライベートバンク入門』のキャンペーンが高く評価されました。この本に協賛された理由をお聞かせください。

チャング UBSウェルス・マネジメントが日本に進出して10年余りが経ちますが、富裕層向けプライベートバンクの市場がなかなか育たないというのが大きな課題でした。そんななか、格差社会がテーマにあがることが多くなったのですが、メディアに取り上げられるのは下層の問題ばかりで、ある意味、上層が取り残されているのではないかと思いました。そこで、2015年にマーケティングの責任者が代わったタイミングで、富裕層向け金融サービスへの認知度を高めようと、積極的なマーケティングの展開に取り組み始めました。

森田 日経BP社からは、2つの企画をご提案しました。1つは高級なイメージのブックレットの配布、もう1つは市販のムックの出版です。後者を選択なさったのは、どういうお考えがあったからでしょうか。

チャング 書籍の社会への影響力は大きいと考えています。しかも、日本ではプライベートバンクが何かということもよく知られていない状態でしたので、まずは名前を広く知っていただくことが大切です。ですから、豪華本をつくって書店の片隅に置かれるよりも、一般の人の目につくようにしなければなりません。極端なことをいえば、コンビニに置いてもらえるような気軽な本でもよかったのです。

複数のツールを連動させることで
ターゲットに刺さるプロモーションとなった

森田 書籍のプロモーション活動にも積極的でした。

チャング まず、750万のIDを持つ日経のデータベースを活用して、その中から年収2000万円以上の富裕層にターゲットを絞ったメールを送信しました。また、日本経済新聞のほか、富裕層が講読している『日経メディカル』やウェブ『日経ビジネスオンライン』への広告出稿。そして、大型書店での販促活動にも力を入れました。新宿の紀伊國屋書店に大きな垂れ幕を出したのは、これまでプライベートバンクに関心がなかった方の目を引いたようです。

森田 ずいぶんタッチポイントが多いプロモーションだという印象です。

チャング 普通はPRのメールをもらっても、すぐに購入まで至る方は少ないでしょう。とはいえ、頭の隅にはメールに書かれた本のタイトルが残っているはずです。たまたま書店に足を運んでみたところ、メールで見た本の販促をやっていれば、「これだ!」と思ってもらえます。ですから、パソコンの画面、新聞、書店など、タッチポイントを多くすることは最初から狙っていたのです。日経BP社さんに相談しながら、こうした複数のチャネル連動を設計したことで、ターゲットに刺さるプロモーションになったと思います。結果的に、アマゾンの「投資・金融・会社経営」のランキングで最高3位になりました。

森田 今回「スイスはどういう国なのか?」といったビジュアル的に読みやすい雑誌的なコンテンツも取り入れたりしました。御社でもカスタム出版という形式は初めてとのことで、どのようなご苦労や工夫があったのでしょうか。

チャング UBS銀行の色をある程度出しつつ、宣伝臭のないものにするというバランスは難しかったですね。ただ、出版を得意とする日経BP社の方々との議論によって、大変良い書籍ができたと思います。たとえば、銀行別の預かり資産のランキングというのは、これまで私どものお客様はほとんど見る機会がなかったはずで、かなりのインパクトがあったと思います。社内でつくるパンフレットでは、他社との比較を出すことはできません。その点、市販本という形をとったことで、第三者の目から見たプライベートバンクの特徴やメリットが一目瞭然となり、しかも信用度の高い日経のデータが出ているということで、一石二鳥の効果がありました。

営業がつかみきれていない地方で
新規の問い合わせにつながった

写真:森田 聡子

森田 聡子
日経BP社
前 日経BP総研
ビジョナリー経営研究所 上席研究員

森田 新規のお客様獲得につながったなどの事例はありますか。

チャング 地方のお客様からの問い合わせが増えました。私どもは東京支店のほかに、大阪と名古屋にもオフィスを置き、全国をカバーしていますが、地方の富裕層の方へのリーチも更に増やしたいと思っていました。今回は、本をご覧になった地方のお客様からのお問い合わせが増え、全国を網羅する書籍販売の力を感じました。また、既存のお客様にも、改めてプライベートバンクについて理解を深めていただけたようです。

森田 社内では反響がありましたか。

チャング アジア太平洋地域では、ほかの国でも同じような本を出版したいという意向があるようです。スイス本店でも評価を受けたのはうれしかったですね。アイデアがおもしろいという意見が多かったようです。これまでのキャンペーンでは広告やタイアップ記事がメインだったのですが、「日経」ブランドと一緒に認知を広めたところに、新鮮さを感じたようです。

森田 今後のキャンペーン展開とUBS銀行の中長期的な戦略を教えてください。

チャング 引き続きマーケティングに力を入れていきたいと思っています。国内でも、富裕層をターゲットにした書籍やテレビ番組が出てきていますが、日本の市場はまだこれからです。富裕層ビジネスを牽引していける金融機関となるべく、今後も取り組んでいきたいと思います。

↑PAGE TOP