次世代開発にシミュレーション技術が不可欠な理由

完全自動運転
実現への課題とは

高度なシミュレーション技術を活用した
データドリブン開発

 MBDは、これまで主にエンジンやモーターなどのパワートレーンを制御するECU(電子制御ユニット)の開発に用いられる場合が多かった。しかしここに来て活発化しているのが自動運転分野への応用だ。「自動運転の開発では安全性と信頼性の確保が不可欠です。しかし自動運転用ソフトウエアの規模はパワートレーン向け制御ソフトウエアに比べても非常に大きくかつ複雑なので、人手での検証ではほぼ不可能。そこで近年dSPACEが力を入れているのが、シミュレーションツールを活用した自動運転用ソフトウエアの開発・検証ソリューション『データドリブン開発』です」(宇野氏)。

dSPACEによるデータドリブン開発

vol1_img03

dSPACEはこれまで強みとしてきたMBDに加え、実際に収集したデータを活用したシミュレーションを行うデータドリブン開発の取り組みを強化している。

 自動運転用ソフトウエアの開発において、これまでの車載ソフトウエアの開発と大きく異なるのが、膨大な「テストシナリオ」をどう作成するかということ。「自動運転ソフトウエアでは人間のドライバー以上の安全性を確保することが必要ですが、それを検証するためには100億km以上もの試験走行が必要とされています。これを実車で検証しようと思ったら、1万台の試験車両を用意し、年間10万km走行させても10年以上かかることになり、事実上不可能です」と宇野氏は言う。

 従って、自動運転用ソフトウエアの検証では、パワートレーン以上にシミュレーション技術の活用が欠かせない。例えば画像認識用ソフトウエアの検証では、実際に走行しているかのような画像情報を大量に用意して、道路や他の車両、歩行者などを的確に認識できるかどうかを確認する必要がある。

 このためにdSPACEでは、実際に試験車両を走らせた場合に発生する膨大なテストデータを記憶させるための記録装置や、道路上で撮影した膨大な画像を検証試験用のデータに自動変換する技術、高解像度のシミュレーションが可能な画像を作成できるツール、さらにはミリ波レーダーを試験するためのツールなど、様々な自動運転システム開発用のツールを用意する。

 「dSPACEは、こうした膨大なシナリオを効率的に作成し、テストするためのソリューションをトータルで提供できる体制をいち早く整えてきました。お客様が実現したいことに寄り添いながら、当社からも様々なソリューションを積極的にご提案していくことで、システムの安全性や信頼性の向上、開発の効率化に貢献していきます」と宇野氏は語った。