dSPACE Japan User Conference 2022 Digital特別インタビュー

マツダが「CX-60」向け
インバーターの検証でHILを導入
開発の「手の内化」を目指し
工数を大幅削減

マツダ
パワートレイン開発本部 ドライブトレイン開発部
柳楽 康滋氏

dSPACE Japanは2022年9月28日(水)~29日(木)にJapan User Conference(JUC)をオンラインで開催する。昨年のJUCでは延べ1000人以上のエンジニアが集った。本年は本田技術研究所、豊田自動織機が基調講演を行う。
マツダは2022年9月に、新たなフラッグシップモデルとなるラージ商品群の第一弾「CX-60」を発売する。マツダとしては初めてプラグインハイブリッド車および48Vのマイルドハイブリッド車を設定したのが特徴だ。両車種に搭載されたインバーターの開発に携わった、パワートレイン開発本部ドライブトレイン開発部の柳楽康滋氏に、開発の狙いや苦労した点を聞いた。

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マツダ
パワートレイン開発本部
ドライブトレイン開発部
柳楽 康滋

柳楽さんは大学卒業後、まず農業機械メーカーにお勤めだったと伺いました。

柳楽農機メーカーで田植え機の電装系や電気回路、電子制御など幅広く開発業務を経験し、2014年にマツダに転職しました。マツダ入社後に関わったのは、減速エネルギーを回生する「i-ELOOP」というシステムです。これは電気二重層キャパシターを用いて、回生エネルギーを蓄えるもので、「MAZDA2」や「MAZDA 6」に搭載されています。このシステムの中のDC-DCコンバーターの開発を担当しました。その後、ソフトウエアや制御系の設計に数年携わった後に、2019年頃からラージ商品群に使われるインバーターの故障診断や通信関連のソフトウエアやプラットフォーム開発に携わってきました。

電動パワートレインでも「走る歓び」

ラージ商品群の開発コンセプトを改めて教えてください。

柳楽ラージ商品群は、エンジンを縦置きにして後輪を駆動するFR(フロントエンジン・リアドライブ)レイアウトを採用したのが最大の特徴です。パワートレイン系では、カーボンニュートラルの実現に向けて、マツダとしては初めての設定となるプラグインハイブリッド車と、同じくマツダ初となる48Vのマイルドハイブリッド車を導入しました。こうした電動パワートレインにおいても、これまでマツダが追求してきた「人馬一体」の「走る歓び」を実現することを目指してきました。

こうしたパワートレインでインバーターにはどのような性能が求められましたか。

柳楽プラグインハイブリッド、マイルドハイブリッドともに、モーターをエンジンと変速機の間に配置したレイアウトを初めて採用しました。インバーターには、エンジンや変速機と協調しながらきめ細かくモーターを制御することが求められました。

これまでもマツダはベルト式ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)で駆動力を補助するマイルドハイブリッドシステム「e-SKYACTIV」や、純粋なEV(電気自動車)の「MX-30」の開発を経験してきていると思いますが、それらと比較するとどのような難しさがありましたか。

柳楽例えばプラグインハイブリッドの場合、始めはエンジンを切ってモーターだけで走行しているのですが、ドライバーがアクセルを踏み込んだときにはエンジンを始動してドライバーが求めるトルクカーブを実現したり、逆にエンジン主体で走行したほうが効率の高い領域では、エンジンの駆動力をそのまま変速機に伝えるようにモーターを制御したりというように、エンジン、モーター、変速機をドライバーに違和感を生じさせないように協調制御する点に難しさがあります。